London Business Schoolでは、さまざまなスチューデントクラブが存在し、大体1人当たり3つから4つのクラブに参加する。

スチューデントクラブもビジネス系のコンサルティングクラブやインベストメント・バンキングクラブなどの業界クラブや、フランスクラブや日本クラブ、アフリカクラブなど国・地域ごとのクラブ、ラグビーやサッカー、セイリングやクリケットなどスポーツクラブなど約50クラブが存在している。

とりあえず、僕も、業界クラブ、地域クラブ、スポーツクラブなど10程度登録した。
今後の活動状況をみて、4つか5つに絞る予定であるが、2年生が9月末まで夏休みのためほとんどのクラブは活動していない。

ただ、ラグビークラブとサッカークラブだけは毎週末の日曜日に練習を行っており、8月から、サッカークラブとラグビークラブの練習に参加して、ラグビークラブに入ることに決めた。

ラグビークラブといっても、ただのお遊びクラブではなく、毎週3日練習があり、企業のスポンサーもついて、アメリカやヨーロッパの各ビジネススクールが参加するトーナメントに遠征もする。

しかも、練習といっても10月くらいまでは、朝7時から授業が始まるまでの1時間半みっちり朝練があり、体力と筋力向上の基礎練習から始まって、タックルやフィジカルコンタクトの練習、タッチラグビーなど、卒業生のコーチがついてかなり本格的だ。メンバーも50人ぐらいいるだろうか。

10年間のブランクがある身としてはかなりきつい。ましてや相手が2まわりも3まわりも大きい外人となると。。。

ただ、なんといっても芝生のグランドで走り回れるのはこの上なく爽快である。
ましてや、ここロンドンでラグビー特有のウェットなチームの団結力を再度味わえると思うと楽しみでならない。

日本人のKJと一緒に、とりあえずまずはポジションの確保を目指してがんばらなくては。

学校のジムでフィジカルアセスメントをしてもらい、筋トレメニューを作成してもらう必要がありそうだ。




オリエンテーションも4週目に入り、あと1週間でAutumn Termに入ろうとしている。

1年目のAutumn Termは、授業の準備やら宿題やらでMBAコースの中でもっともタフな時期との噂であるが、オリエンテーション期間中の現在でも、General Managementのケーススタディや統計学、リーダシッププログラムやビジネスコミュニケーションなど基礎コースがあり、しっかり成績がつくので結構忙しい。

オリエンテーションのどの科目でもグループワークがあり、グループワークを通してリーダシップとチームワークを学ぶことを求められているのだが、その中でも、Global Leadership Assessment for Manager(通称GLAM)といわれるクラスでは、基本的にケースディスカッション以外はチーム単位でアクティビティを行う。

そもそも、このクラスでは、まず最初に、事前に3つのアセスメントを実施して、そのフィードバックをもとに自分の長所・短所を理解して、どのようにチームワークを行い、リーダシップを発揮してチームに貢献するかを自分で考える。

さらに、その検討結果をもとにして、チームでのビジネスシミュレーションやケーススタディを通して、グループワークをどのように行ったら効率的か、リーダシップをどのように発揮できるかをチームとして話し合うというもの。

大体どこのスタディグループもグループ内での問題が顕在化して、各グループごとに決まりごとを作ったり、問題の解決を自主的に話し合ったりするようだが、僕のチームでも問題が表面化して、皆で話し合った。

1.360 Degree Assessment
このアセスメントでは、上司、同僚や部下など数人から、自分の得意分野や長所、短所、リーダシップやチームワークを評価してもらい、自己評価とのGapを認識する。このアセスメントでいい点は、上司や同僚・部下が自分のことをどのように評価しているかが明確にわかることだ。なんとなく認識していた欠点をあからさまに突きつけられる。

2.NEO Professional Development
NEOは、これまでにも多くの企業で使用されている評価モデルらしいが、数百の質問に答えることで、自分の特徴をつかむテストである。SPIのようなもの。この手のテストは、正直な自分に対する考えと、こうありたいと願う自分とが入り混じる可能性があるので、信憑性には多少疑問があるが、360 Degree Assessmentと重なる結果が結構あったので信頼できるかもしれない。

3.Emotional Intelligence
これは、まだ開発されて余り時間が経っていないので一長一短のあるアセスメントらしいが、自分の感情のコントロールや相手の感情を読み取る能力を測定する。このアセスメントは初めてやったが、異文化の人の感情を読み取る能力は日本人は特に劣っているかもしれない。

日本人は自己評価において最低点と最高点はあまりつけない傾向にあるのか、大体平均的な結果となったが、この3つのアセスメントでの結果を無理やり手短に要約すると、1)頭が固くてあまり人の意見を聞かず競争的、2)相手の感情を理解するのが下手、3)芸術的な分野で洗練されていない。ふー、結構どうしようもない奴らしい。

このアセスメント結果をもとに、1週間のビジネスシミュレーションやケーススタディを通して、どこのスタディグループでも問題が顕在化し、それに対して自主的に話し合ったり、効率的なグループワークのためのルール作りをしたりするようだ。

例えば、議論の噛み合わないグループ、問題をほったらかしにするグループ、さらには、そもそもメンバがクラスを欠席してグループ作業にならないグループなど。。。

僕のスタディグループでも、ビジネスシミュレーションにおいて、人の意見を全く聞かない頑固な6人組が、噛み合わない議論で限られた時間をつぶし、時間切れ数分前にあせって適当な結論を提出する。

いきなり細かい議論から始めたがる人、人の意見も聞かずにもくもくと一人で考える人、人の意見に割って入って”反対”って言って終わる人、細かい議論は置いておいて、まずハイレベルの戦略やアプローチを話したい人など、本当に議論が噛み合わない。

1日のビジネスシミュレーションを終えて、皆疲れきってうんざりしていた。

異文化から来た人が集まっていきなり議論したらそれはまとまらないよ。でも、問題があればあるほど、そしてそれをひとつづつ解決していけば行くほど、リーダシップとチームワークスキルを高められる気がして、自分だけはなぜか興奮した。

早速、1日の授業のあとに、何が自分達の問題で、どのように解決すべきかを議論したが、思いのほかこの議論はスムーズに進んだ。皆何が問題で何を直すかを理解しているから。

”皆、他のメンバを尊敬して、人の意見をよく聞こうね!” 

まずは、ここから始めた。簡単だけど難しい。

グループ内でコントラクト(誓約書?)を作成して皆でサインして各自帰路に着いた。



"What does a general manager do?"

教授のこの問いかけから、初めてのケースは始まった。本田のケースだ。

このケースの事前リーディングでは、本田がどのようにして戦後の日本のマーケットで成功し、USマーケットに参入して現在の海外での成功をおさめたかが書いてある。

概略はこうだ。

本田は、本田宗一郎の主導による技術的優位をもとに、戦後の日本のマーケットにおいて、1)複数製品ラインを提供し、2)技術的優位を確立し、3)デザインと生産を統合することで規模の経済効果を利用して成功した。とくに、小規模ビジネスにおけるデリバリーに着目して、潜在的な需要を引き出した。

その成功をもとにUSマーケットに参入し、これまでモータサイクルはマッチョな男の乗り物だったモータサイクル市場に、手軽なレクリエーションとしてのSupercubという新しい価値を提供し、莫大な宣伝広告とプロモーションを元にマーケットシェアを得て成功した。

恥ずかしながら、本田については、あまりよく知らなかった。モーターサイクルでUSマーケットに参入したことも。。。

"What kind of person was Soichiro Honda?"

教授がさらに生徒に質問し、皆がいっせいに手を挙げて答える。

"Creative"、"Aggressive"、"Visionary"、"Skillful"、Great leader"・・・。

10数個の形容詞が並んだあたりで、次になぜ本田がアメリカで成功したかを議論し始める。

それにしても教授の議論の誘導の仕方、生徒に質問するタイミング、生徒のいろんな意見をまとめていくプロセス、どれをとっても新鮮で素晴らしい。

結局、技術的優位をもとにした優れた製品を提供し、マーケットシェアを拡大するにつれ規模の経済でコスト効果を得て、それをもとに、低価格とR&D投資による価格優位と製品優位を確立してさらにマーケットシェアを拡大するという一連のロジックにまとまった。

事前リーディングで読んだことをまとめたものと大体おなじであった。なんか味気ないなぁと感じながら、ここで20分の休憩。
LBSでは、3時間1コマの授業となっていて、大体途中で休憩がはいる。
休憩の前に本田の次のケースが渡された。
休憩中に誰か他の生徒と一緒に読んで、後半の授業でディスカッションするという。

隣に座っていたブラジル人のAndreとJPとスペイン人のRafaと読むことにした。

知っている人も多いかもしれないが、本田は、本田宗一郎が作り上げた会社ではなく、その影にもう一人のGeneral Managerの存在が大きく影響していたらしい。

本田宗一郎が"Visionary"で技術志向だったのに対し、もう一人のGeneral Managerであった藤沢武夫が、マーケティングや販売戦略とその実行を担っていたという。知らなかった。。。

当初、生徒が想像したSupermanのような本田宗一郎は、実際にはとんでもない変わり者で、その裏で本田のとんでもないアイディアを実現するRealistの藤沢武夫がいたらしい。

日本での成功の裏には、卸業者を通した既存のモータサイクルの販売網ではなく、小規模の自転車屋での直接販売網を構築したことが要因としてあった。

さらにUSマーケットには、ブランド構築の観点から、Supercubではなくてアメリカやヨーロッパのメーカと競合する排気量の大きいモーターサイクルの販売をしようとしていた。そして、突然大手スーパーマーケットのSearsがSupercubを販売したいとの申し出をしてきた。当初のブランド戦略と一致しないことから断ろうとしていた、しかし、その申し出にのるしか手がないほど当初行き詰っていたという。

さらに、UCLAの大学生が授業の傍ら作成した広告キャンペーンが偶然にも広告代理店の手に渡った。その広告代理店はそのキャンペーンを本田に売り込んだ。そのキャッチフレーズ"You meet nicest people on a Honda"が、後の本田のSupercubの大成功につながったんだって。

前半の教科書のようなお話から、後半の泥臭い実情を議論するにつれ、General Managementが教科書で語られるようなフレームワークに当てはめてすんなり考えられるようなものではなく、時には全く考えもしなかった"幸運"によってビジネスを成功に導くこともあるんだという。教授がPasteurの言葉を引用した。

"Fortune favours the prepared mind." ~ Pasteur

本田は、当初考えていた大型2輪から、想定もしなかった幸運をつかんで、SupercubでのUSマーケット参入と成功を果たし、それを基礎として中型、大型2輪のシェアを拡大した。

最後に、教授が、General Managementでは、目に見えない企業のValueと、目に見えるFrame(その企業はどのように世界(マーケット)を見ているか)、Process(その企業はどのように行動するか)、Relationship(その企業は内外のステークホルダどのような関係でビジネスを行うか)をもとに考えることが重要だとまとめた。

そして、幸運をつかむこと、それに対して準備をしておくことも大事だと。

それにしても、英語の議論についていくのは一苦労だな。

LBSはヨーロッパのMBAスクールであり、多様性をその最大の特徴としている。


今年入学したMBA2008の日本人のバックグラウンドもいろいろである。


○某ビールメーカで医薬事業のセールス&マーケティングをしていたM君

○大手商社で新規事業投資をしていたO君

○自動車会社、外資化粧品会社でマーケティングとブランドマネジメントをしていたTさん

○某IT企業でプロジェクトマネージメントをしていたT君

○戦略コンサルティングファーム出身のG君

○心臓外科医をしていたU君


そして僕の28歳~32歳の総勢7名。


それにもまして、日本人以外の学生のバックグラウンドは本当にいろいろである。


やはり、MBAだけあって、国籍を問わず、戦略コンサルティングファーム、投資銀行出身が多いが、この1週間のソーシャライズで聞いたバックグラウンドの多様さには驚くばかりだ。


例えば、世界銀行で発展途上国のインフラ投資をしていたインド人、アテネオリンピックのマーケティングをマネージしていたギリシャ人の女性(見た目がどう見てもアーティスト!)、アメリカやイギリスの空軍や陸軍でイラクやエチオピアに派遣されていた人。ロイターでジャーナリストをしていた韓国人の女性やカナダで国家安全会議で対テロリズムのポリシーを提案した経験を持つカナダ人など。。。


すでに事業会社のCEOやCOOの経験をもっている人や世界銀行やIMFなどのPublic Organizationで働いていた学生が結構多いことに驚いた。医者だって、今年の学生320人のうち、僕が知っているだけで6人もいる。


ヨーロッパスクールなのに、アメリカ人の比率の高さにも驚いた(約10%)。アメリカでもLBSは結構人気が高くなってきているらしく、特にInternationalityに惹かれてくるらしい。


ちなみに、今年1年間グループアサイメントをこなしていく僕のスタディーグループのメンバは以下の5人プラス僕。


○Financial Analystをしていたテキサス出身のアメリカ人のDrew

○BrasilでCorporate Bankerをしていたブラジル人のAndre

○USとUKでコンサルティングファームで働いていたアメリカ人のKathleen

○FranceとJapanでマーケティング会社のマネージャだったフランス人のFlorence

○Indiaでファミリービジネス(財閥?)の御曹司でアパレル会社と不動産会社のCEOだったViren(なんと22歳!)


MBAプログラムで学ぶことは、授業からよりも他の学生からのほうが多いと聞いている。楽しみだ。




オリエンテーションも2週間目に入り、週の初めはロンドン郊外のアスレチックフィールドに朝7時半から連れて行かれた。このトレーニングは、これから1年グループアサイメントを行うスタディグループのチームビルディングとチームワークを学ぶことを目的としたものだが、コンセプトがはっきりしていて楽しかった。


人間には、自分にとって快適な"Comfortable Zone"、自分の苦手領域に踏み込んだ"Stretching Zone"、そして、これ以上いくと自分を失ってしまう"Panic Zone"の3つの領域がある。 アスレチックフィールドで、ちょっと危険な体験をしながら"Stretching Zone"に踏み込んでチームワークを学ぼう!というものである。



例えば、15メートルほどの柱の上にある30cm四方の板の上に順番に4人(!)が登り、4人で手をつないでバランスをとる。


まず、順番に4人が登っていく。


Awayday2


そして、全員がポールの上のわずかなスペースに到着。


Awayday1


結構高いので、とにかく皆しがみついて恐怖心と闘っている。

ここから、手と手をつないでその手を広げて"花"を作るために、後ろにのけぞっていく・・・。と、


Awayday3


当然、こうなる。


ポールの上ではいろいろな会話が繰り広げられる。結構パニックになるものだ。


皆手をつながないと"花"を作るために手を広げることすらできない。だが、やっぱり何人かは高所恐怖症でなくても上に上っていると普通じゃなくなる。


John "I have no space to put my right foot! Move to the right a little!"

Tim "No, I can't move!"


とか。


そこで、誰かが、


"Ok, we are all right so far. Nobody can have enough space. Now let's make a flower! First, we need to shake hands. John and Cin-dee, are you shaking hands?" 


という風にみなをリラックスさせ、ある意味極限状態でやるべきことを冷静に行っていく。


他にも、同じようなポールの上に2人で立って、1メートルほど離れたバーにジャンプするというもの。

これも二人が横にしっかり並べるような幅がないしタイミングもぴったり合わなくてはならないので、結構難しい。


こんなアスレチックを通してチームビルディングとチームワークを学んでいく。そして、最後はお決まりのBBQ。


このプログラムは皆に好評であった。

確かに、チームビルディングの効果が出ていたようで、帰りのバスではグループのメンバの仲が行きよりはるかによくなっていた。


こんな感じでスタディーグループが1年間うまく機能するといいなとふと思いながら帰途についた。

ロンドンは、8月なのにすでに長袖が必要なほど肌寒くなってきた。
LBSでも8月末からついにMBAプログラムのオリエンテーションが始まった。

LBSでは、通常、10月から12月がAutumun Term、1月から3月がSpring Term、4月から6月がSummer Termとなっているが、MBA1年目は、8月末から9月の約1ヶ月で、オリエンテーションがある。

オリエンテーションの初めの2日間は、大学の入学式のように、DeanやAlumniからの挨拶や、企業スポンサーのマネジメントからのスピーチなどがあったが、それ以降はMBAコースの授業となる。

LBSの現在のDeanは、元UC BerkleyのDeanのLaura Tysonだが、彼女は今年一杯で退任することになっている。もともと彼女はクリントン元大統領の経済顧問であったため、ヒラリー・クリントンの大統領選出馬準備を手伝うための帰国との噂も聞かれた。

オリエンテーションのスピーチで一番印象的だったのは、元P&GのGeneral ManagerだったMohan Mohanという名の変わったインド人のおじさんだ。Columbia Business Schoolの卒業生だが、現在はLBSのSpecial Advisorになっている。

とにかく、声がでかい、というか叫ぶ。明らかに60過ぎだが、とてつもなく情熱的で動き回って、飛び跳ねる!

"Anything is possible!"という限界のないMagical Thinkingと "I am unstoppable!"という疑うことを知らないHeroic ThinkingをすることをMBAでの2年間で実践しろ!ということだった。

こんな情熱的なスピーチは今まで見たことない。その情熱に圧倒された。。。

Mohan Mohanは、その2日後のCareer Serviceにおいてもレクチャーをしてくれたのだが、そこでも熱く問いかける。

"What are you really good at?" 
"When are you humming or singing?"
"What are your dreams?"
"For what purpose does your dream serves to the world?"

就職活動をするにあたって、この4つをよく考えろ!そして、何が自分にとって幸せか。

最後の問いはLBSらしい。"London experience, World impact"がLBSのキャッチコピーだからね。

世界にどのようなインパクトを与えられるか・・・、今まで考えたこともなかった。2年間ゆっくり考えてみようかな。

London Business Schoolは8月28日から2006年度(MBA2008)のMBAプログラムが開始されるのだが、一部のNon-nativeの学生は、2週間のBusiness EnglishのPre-courseに参加することになる。

参加したのは、ブラジル、イタリア、スペインなどのラテン系の学生とロシア人、それに韓国、中国、日本のアジア系で合計20人弱。

投資銀行出身でクールなブラジリアンのJPや、ヘルスケア企業のCOOをしていたロシア人のYakov、モスクワの日系企業で何十人もの部下をマネージしていたOmar、シリアとレバノンで現地法人のGeneral Managerをしていた中国人のGangなど、国籍、バックグラウンドや経験も本当に多様である。

コースの内容は、Englishというよりは、ミーティング、交渉、プレゼンテーションなどにおけるコミュニケーションやビジネスレター、Emailなどのビジネスライティングを、シミュレーションやケースを用いて学習するというもの。特に、文章表現の強弱や単語の使い方、顔や体の表情までいろいろ指導されるので、面白い。
これまでに、会話で使用する英語とライティングで使用する英語の区別なんてほとんど考えたことなかったからね。

それに加えてよかったのが、MBAでもっとも大事な一要素になるであろうソーシャライズの方法、つまり、どのように会話をスタートして発展させていくかというシミュレーションもあったことだ。

先週、今週とMBA2008の学生が続々とLondon入りして、毎夜、学校付近のパブに繰り出している。これは、ルームメート探しを主目的として毎夜開かれるイベントだが、”いきなりロンドン来たけど友達もいないし、とりあえず今度同級生になる奴が集まってるところに行って友達探そう”的な人もいる。毎夜ではないが、Business Englishのブラジル人やイタリア人と一緒にソーシャライズしに行ってきた。

ソーシャライズと言っても、”はじめまして、○○です。”からはじまって、出身地やバックグラウンドの話、そして、”フラット(家)はもう見つかったか”とか、”ルームメイトさがしているんだけど・・・”とかの話題に移っていく。大体一人当たり2~3分話したら、次という感じになる。何人か話して、興味のある人がいたら、またその人と話題を掘り下げて話したりする。

結局、僕は住居も見つかっているので、あまり話自体が長くなることはない。ただ、不思議と前職が同じ会社のNYオフィスだったり、日本で働いたことがあったり、日本語を少しできたりとなると、意気投合するのである。

先日もパブで中国系カナダ人のThomasと出会った。彼は、いきなり、つたない日本語で挨拶してきて、日本人だと紹介された(実際には中国人)。ロンドンに来る前は、サンフランシスコの有名IT企業でEngineerをしていたらしい。よくしゃべる。面白い。とまらない。昨日も今日も一緒に飯を食べた。

来週のMBAコースが始まるともっとソーシャライズも本格化するんだろう。

どこにいても引越をすると、いろいろとセットアップのためにやらなければならないことは多い。
ましてや、これまで暮らしたことのない外国となるとなおさらである。
これが終わらないといろいろ不便なことに直面するわけで、ここLondonでも同様である。

今週の月曜日から、一部の外国人留学生に向けたBusiness English Pre-courseが始まった。
このコース自体については、また別の機会に書くつもりであるが、その中でブラジル人の一人がこう言っていた。

"In Brazil, Japan is considered as the country of Technology, nice food, and polite people."

だが、ここにもうひとつ付け加えてほしい、"Excellent Service"を!

引越ししてから、電話の接続、銀行口座の開設、必要な家具の購入などなどいろいろやらなくてはならないことはあるが、
ここLondonではなかなか進まないのだ。

たとえば、電話の接続。
こちらでは、British Telecom(BT)が日本のNTTのような存在であるが、BTに電話をかけてみると・・・。

オペレータ: 「あなたにはイギリスでクレジットヒストリーがないので、50ポンドのデポジット支払いが必要です。クレジットカードで払いますか?それともバンクチェック(小切手)で支払いますか?」

私: 「まだ銀行口座の開設ができていないので、クレジットカードで。番号は・・・で、名前は・・・で、名字は・・・で、有効期限は・・・で・・・」

オペレータ: 「コンピュータがカードを受け付けないんですけど、他のカードはありますか?」

私: 「あります、あります。○○○のカードで、番号は・・・で、名前は・・・で、名字は・・・で、有効期限は・・・で・・・」

オペレータ: 「このカードもだめみたいです。たぶんコンピュータの問題なのでまた明日こちらにかけ直してもらえますか?」

私: 「わかりました。明日またかけます」

そして次の日に再度電話したところ、イギリス以外で発行されたカードは受け付けないとのこと。本当?結局、郵便局でポスタルオーダー(郵便為替?)を発行して送ってくれと言われました。

他の日本人学生に確認したところ、そもそも、このディポジット支払いというのは、普通、要求されていないようです。
この点についても問い合わせると、住所によるとのこと(!?)

次の日、郵便局でポスタルオーダーを作成してもらって郵送し、さらにその翌日に電話してみました。

私: 「電話の接続をお願いしていて、昨日ポスタルオーダーで送ったんですけど受け取っているか確認いただけますか?」

オペレータ: 「まだデポジット待ちの状態です。2日ほどかかると思うので、来週に再度電話していただけますか?そのときにアカウントナンバーもお知らせします。」

このアカウントナンバーをもらわないとブロードバンド開設ができないのでインターネットにつなげないのである。
我慢して待って、次の週に再度電話してみる。

オペレータ: 「ディポジットを受け取って今日から電話がつながっています。」

私: 「ブロードバンドを開設したいのでアカウントナンバーを教えてもらえますか?」

オペレータ: 「BTのポリシーで、電話ではアカウントナンバーを教えることはできないのです。回線接続の確認書が郵便で届くので、それを見てください。」

私: 「わかりました。2~3日で届くんですよね?」

オペレータ: 「はい。」

そう言われてからとりあえず2日経っているが、まだ届く気配はない。
これが到着してからブロードバンド接続まで2週間程かかるらしいので、結局、最初に回線接続のお願いをしてから1ヶ月近くかかることになるかもしれない。

家具を購入しても配達は、"2週間以内"としかわからない。しかも、配達時に家にいないと、近くの集配所まで自分でとりに行かなくてはならない。

それを考えると、日本の翌日配送、時間指定、再配送サービスはやっぱりすごいなぁ。

日本の誇るTechnologyと同様に、日本の素晴らしいサービスを輸出できれば、大きなビジネスになるかもしれない。
(問題はどうやってやるかだけど。。。)

今後のビジネスにおいても、サービスビジネス自体はホットなトピックになりそうだな。

ってことで、まだまだブロードバンドにつなげないので、次に日記を書けるのはいつになるのだろう?

大した事前調査もしないままLondonに降り立ち、そのままホテルに直行。次の日から学校近くのエリアで住居探しと、Londonについて何も知らないまま、1週間を過ごした。


学校から徒歩10分程のちょうど手ごろなFlatを見つけて一段落となり、一人の時間を無駄にしまいと、最初の週末にまずは旅行者の気分でLondon散策を。


Londonといえば・・・あれ、何があったっけ?ということで、ガイドブックを片手に観光名所をめぐってきた。


ハイドパークコーナ駅まで地下鉄で移動し、手始めにバッキンガム宮殿まで歩く。


バッキンガム宮殿


その後、ウェストミンスター寺院、国会議事堂(Big Ben)を見てからトラファルガーコーナーへ。


ウェストミンスター寺院


ナショナルギャラリーも外観だけ楽しんだ後、ハイドパークで1時間ほど休憩をかねて昼寝。


ハイドパーク


ハイドーパークを縦断してマーブルアーチまで歩く歩く。ざっと2時間。

ついにはホテルまで歩いて帰った。


とりあえずLondonの約3分の1は地理感覚をつかんだ気がする。


ニューヨークに1年半いたときも歩いて街を覚えたけど、やっぱり歩くと街を知るのが早い気がする。


"When a man is tired of London, he is tired of life; for there is in London all that life can afford".


「ロンドンに飽きた人は、人生に飽きた人だ。なぜなら、ロンドンには人生が与えるもの全てがあるから。」


                                             ~Samuel Johnson


2006年8月からLondon Business SchoolにMBA留学することになった。


ロンドンマニアと言われるような一部の方々だけでなくとも、Londonは飽きることの無い街らしい。


これまでの人生において、アメリカはNew York、Los Angels、Bostonなどの主要都市をはじめ、ヨーロッパもパリ、ミラノ、ローマ、バルセロナなどを訪れたことがあったが、Londonは初めて降り立った。


なぜか、Londonを訪れようと思ったことが無かった。


社費留学の選考に合格してからちょうど1年が経った。プロジェクトに追われながらの出願準備、そして合格通知。

いくつかの米国のビジネススクールと迷った結果、6月にLondon Business Schoolへの進学を決め、渡英準備となった。

(London Business Schoolについては、日本人在校生作成のHP->http://www.geocities.jp/london_bizschool/ をご覧ください)


連日の壮行会と出発前日から出発直前まで止まることなく続いた乱痴気騒ぎから早2週間、住居探しなどSet upが落ち着いて、Pre-courseの始まるまでのほんのちょっとであるが、久しぶりに一人で過ごす時間となった。


今は、世界中から集まるビジネスパーソンとの出会いとLondonという街に少し興奮を覚えつつ、Londonでの2年間をこれまでのキャリアと今後の人生について考えるいい機会になるよう願っている。