9月9日から19日まで、2021 DC Shorts International Film Festival(ワシントンDC国際短編映画祭)が首都ワシントンの各会場とオンラインストリームとでハイブリッド開催されています。現地の作家の作品から外国からの出品まで、世界に向けて発信するような意図を持った作品も多く、ここから後にアカデミー賞短編賞にノミネートされるような作品も輩出しています。

 

 

何年か前にたまたま出張で訪問していたワシントンDCで開催されていた時に上映されていた短編集を観て以来、ずっと気になる映画祭だったのですが、今年はハイブリッド開催の恩恵を受けて、ワシントンまで出向かなくとも自宅で鑑賞しています。短編映画の魅力は、気軽に、そして思いがけずに自分の知らない世界、例えば遠い国の出来事や物語、あまり興味のなかった分野の話などに遭遇できることです。そして、強いテーマ性を持ったものから観客に解釈を委ねるような余韻を持ったものまで、とても知的好奇心を刺激されます。また、アフリカやアラブ世界など、経済的要因と思いますが、なかなか長編映画作品を見かけない地域からの出品作も魅力的。

 

この映画祭もそうですが、短編映画祭では、大抵4−5本の短編映画がセットにまとめられて上映され、ドキュメンタリーからアニメ、そして短編小説のような物語まで、色々なジャンルの作品を一堂に楽しむことができます。今年も、世界26ヶ国から100本近い作品が参加し、18の短編集になってアクセスしやすくなっています。(オンラインパスの購入で期間中見放題!)お目当ての作品を見る際に、同じセット内の数本の短編も見ることになるのですが、こういった映画祭のコンペ部門に出てくるような作品はどれもすでに厳選されているので質は高く、多くお目当て作品を見る際に、意外な良作と巡り会うこともあります。

 

今日現在で、半分以上のセットを観終えましたが、2作品、印象に残った短編をご紹介。まずは、「The Ephemeral 」。スペインからの参加です。地下鉄で隣り合わせた二人の見知らぬゲイ男性同士(ゲイ同士はだいたい初対面でも互いがゲイかどうかわかる)が、そのタイトル通りほんの束の間の遭遇からそれぞれの過去、現在、そして未来を分かち合うようなストーリー。解釈に色々余地のある気がしましたが、私もこの感覚、以前味わったことがあるんですよね。NYであるコンサートに行ったときに隣り合わせたある男性と。一言二言言葉を交わしただけなのに、昔から見知っているような。映画はたった20分の短編ですが、観賞後は、懐かしい、というだけでは言い表せないような不思議な気分に浸りました。

 

 

そしてもう一本のお勧めは、「Dear Future Me」。勝手に訳して「未来の私へ」。ニュージャージー州にあるメイプルウッド・ミドル・スクールでは毎年6月に、12歳の生徒が6年後の未来の自分に手紙を書いてタイムカプセルに投函するというイベントが4半世紀続けられており、今、18歳になった生徒たちがその手紙を開封して読む、という内容の短編です。色々なバックグラウンドを持った生徒が登場しますが、皆明るく、瑞々しい感覚が眩しい!コロナや、昨今の政治的分断で何かと暗くなりがちなアメリカですが、Dear Future Meに登場するティーンエイジャー達をみて、やはりこの国の将来は明るいな〜と妙に安心してしまいました。

 

 

 

今年のDC Shorts、残り3日になりましたが、オンラインパスが20%オフの$60で購入できるようです。(オンラインクーポンCODE: DCShorts20off)北米にお住まいの方で、ご興味がある方はぜひご覧になってみてください。

 

https://watch.eventive.org/dcshorts2021/play/61144d16cd253a00557ce8af/610c2dd51bf8210037d503f1?m=1