評価

☆☆☆☆☆
 

本文

 とりあえず何からレビューするかなと悩んでいましたが、まあ最近の作品の中で一番良かったと感じた作品が良いかなと思いこれにしました。
 1月18日から2月7日までの間全文無料公開という狂気の沙汰みたいな企画が為されていた作品として記憶している方も多いかなと思います。
 作品の概要に関しては集英社の作品紹介ページを見たほうがはるかにわかりやすい説明になると思うので省きますが、まあ奇をてらった作品というよりは王道の作品って言うのは見て取れるかと思います。
 ただ、それらを著者である冲方丁が本当に上手く調理して面白く仕上げているんですよね。
 エリートとして描かれている人物がしっかりと優秀な人物として見えるように描かれていますし、主人公の片割れである真丈太一はとてつもない戦闘能力を誇るタフガイですけど、だからと言って彼の活躍によって敵がしょぼく見えたりはせず、しっかりと優秀なキャラクターが優秀に見えるように描かれています。
 協力者などもそれぞれに思惑があり無条件に力を貸してくれるわけではないので一筋縄にはいかないですし、敵もまた一枚岩ではないのでそれぞれの思惑によって協力したり離反したりとして単純な解決は計れません。
 事態の解決策どころか勝利条件すらも最初の段階では見通せていなくて、それらを突き詰める段階から物語は動き出しますし、そうこうしているうちにも敵対者の計画は刻一刻と進んでいきます。
 読んでいて本当にこれらは解決可能なのか、この先どうなるのかと終始はらはらさせられますが、最終的にそれらをきちんとひも解いて一冊の作品として完結させてくれてすっきりとした読後感を提供してくれます。
 読み終わった後の感覚はとても出来の良いド派手なアクション映画を見終わったときのような感じであり、爽快な気分を味わえます。
 キャラクター達の魅力も素晴らしく、展開は複雑でありながら読みやすくなっていて飽きが無い、読後感もさわやかであり娯楽小説として間違いなく最上級の作品であると思います。
 冲方丁の25年目の本気というものを存分に感じ取れる一冊でした。