オムロンの体重体組成計でエラーが出る件について、各レビューサイトの投稿を見ると困っている人が多いようだ。主にErr2、もしかしたらErr1も同じかも知れない。
★下記対象機種一覧に修理実績を追加(22/01/10)

前に分解してガラスとの接続部分を清掃するとなおる事を書いたが、分解などあまりやった事のない人でも不安なく出来るように手順をまとめてみた。



不具合の原因は単純で修理も簡単なので、ダメ元でやってみようと思う方は以下の手順を参考にどうぞ。

導電処理されたガラスと基板を接続するためのリード線に付けられた金属クリップをガラス面に直接接触させている構造上の問題なので、同じ構造の製品では同じエラーが頻発しているようだ。調べたところ、
HBF-252F(私が修理した機種)
HBF-253W
HBF-254C(修理できたとの報告を頂いた
HBF-255T(修理できたとの報告を頂いた
HBF-256T(255Tの型番違い)
などがあるようだ。(HBF-253Wは少し形状が違うのでガラスの接続部の構造が違うかも知れない)


1.電池を取り外す
★電池を取り外すと地域番号と時計だけ再設定が必要になるが、個人情報や前回測定値は保存されている

2.裏のネジをすべて外して裏蓋を取り外す
(電池カバーの内側にも1ヶ所ネジがあり、計10ヶ所)
★裏蓋を外した後、本体をひっくり返したりするときに、四隅にあるロードセル(体重を測るセンサー)兼足の部分に指をかけないように注意
不用意に持ち上げようとするとカバーだけ持ち上げて壊すおそれがある



3.両側に付いているプラスチックの部品(電極のカバー)のネジを外して取り外す
★裏蓋カバーと同じネジなので混ぜても大丈夫

4.足を乗せる部分のガラスをはさんで留めてある電線付き金属クリップをピンセットなどでこじって取り外す

★★256Tを修理した方からガラスとクリップの間に銅箔が貼ってあったと言う情報を頂いた
クリップを外す時に銅箔がよれてしまう事があるそうなので注意
(メーカーでこの不具合の対策をしたと思われるが、購入後1年経たずに症状が出たとのことで、効果は無かったと言うことか)

★電線は色分けされていて取り付ける場所が決まっているが、本体のプラスチックに色名が書かれているので組立時に間違える心配はない


5.クリップが付いていた部分のガラス面を清掃する
★水拭きで十分、洗剤や溶剤は使わない

6.取り外したクリップの内側、特にガラス面と接触していた部分を綿棒などを使って清掃する
★水拭きで十分、洗剤や溶剤は使わない

7.清掃した部分が完全に乾くまで待つ

8.クリップの内側とガラス面を素手で触らないように注意しながら元々付いていた場所にクリップを戻す

9.組み立てる前に一旦電池を取り付け、注意しながら本体を裏返して電源を入れる

10.地域番号と時計合わせの初期設定をし、通常通り体重と体組成が測定でき、エラーが出ないことを確認する
★もし、エラーが出たり、動作がおかしいときはすぐに電池を外して清掃が不十分でないか、クリップの取り付けが正しいかなどを確認する

11.正常に動作したら一旦電池を外す

12.両脇のプラスチック部品(カバー)を取り付け、ネジで止める

13.裏蓋を取り付け、全てのネジを止める
★この時、本体側面にあるボタンが完全にカバーの穴に収まっていて正常に押せる事を確認する
ボタンがカバーに引っかかって押された状態になってしまうことがあるので注意

14.電池を取り付ける

15.電源を入れ、再度初期設定して終了

この手順による作業で必ずしもなおるとは限らないし、作業中に誤って正常な部品にダメージを与える可能性もあるので、結果について当方は責任はもたない。あくまでも自己責任で。

とは言え、普通にやればメーカーでも分解したかどうか分からないと思うので、保証期間内でもメーカーと送料負担など不毛なやり取りをする前にやってみる価値はある…かも知れない。

さてこのエラー、新品では起こらず、しばらく使っていると発生する。ガラスとクリップの接触面が水分などの影響で時間をかけて徐々に導通不良になるためと思われる。どれ位の期間で症状が出始めるかはガラスとクリップの接触具合によるので個体差があるのだろう。運悪く保証が切れた頃に発生すると始末が悪い。

レビューやクチコミを見る限り、オムロンは根本的な対策や修理に積極的ではなさそうなので、現行品でも改良されていないかも知れない。保証が切れてからこのエラーが出始めると有償による修理や諦めて買い替えたりするしかなくなってしまう。この方法で復活出来れば残念な思いをせずに済むかも知れない。

但し、清掃するだけで根本原因を取り除いていないので、しばらくすると再発すると思われる。その度にこの手順で清掃すれば延命できるわけだが、あまり面白くない。

硬いガラスと金属を面で直接接触させていて、ミクロ的には微小な点でしか繋がっていないのが問題(恐らく)なので、液晶のガラス電極と回路基板を接続する時のように導電ゴムを間に挟む事で根治させる手もある(導電ゴムの抵抗値が測ろうとしている生体インピーダンスに対して無視できるなら)。しかし、ガラスとクリップの間にそこまで隙間が無いので、クリップを加工する必要が出てきて、簡単ではなさそう。かと言って接点復活剤のような流動性のある油性物を使うのも避けたい。

現実的なのは導電性接着剤を塗って隙間を埋めること。つまり、より面に近い接触状態を確保しつつ、隙間に水分などが入り込まないようにして経時変化を抑えようということ。

次の機会にやってみようと思うが、それで根治したかどうかの判断は年単位?の観察が必要なので難しいかも。そもそも、そこまで使うかな??😙