新生スカイ・フォー | SFショートショート集

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SFショート作品それぞれのエピソードに関連性はありません。未来社会に対するブラックユーモア、警告と解釈していただいたりと、読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。長編小説にも挑戦しています。その他のテーマもよろしく!!

本編は「ルスラン博士」…続編です。

 

 クリスチーヌたちスカイ・フォーメンバーはウィン博士の研究所オフィスに集まっていた。もちろん彼らをアップグレードするためである。4人は操作室に入った。そこには縦に並んだ透明のケースに入った4つのボディスーツが並んでいた。ヘルメット様の頭部と一体になっていて、それぞれブラックの下地にレッド、ブルー、シルバー、グリーン系統のツートーンカラーが施されていた。

「これをいつも腕に付けていなさい」

・・・と言って、ウィン博士は4人にスマートウォッチ風の小さなカプセルを手渡した。カプセルの色はスーツの色と同じ。それをレッドはクリスチーヌ、ブルーはジョージ、シルバーはデビット、グリーンはミニョンが受け取った。

デビットが

「これは何ですか?」

「基本的には、ボディスーツの格納庫だよ。カプセルを一度長押しするとボディスーツを纏うことができる。2回押せばスーツはカプセルに格納される。このボディスーツには数々の機能が備わっている。その一つは高速で空中を飛行することだ。さらに目視できる範囲なら自分を転送できる。操作は簡単、頭で考えるだけだ」

 

 なんと素晴らしいテクノロジーなんだ。4人は驚きの表情で博士を見つめていた。

「これだけではないぞ。君たちの身体能力は飛躍的に高まる。君たちの受け取った色はそれぞれの機能を象徴している。レッドは熱、勇気 、ブルーは氷、信頼、シルバーはエネルギー、幸福、グリーンは生命力、希望を象徴している。どんな効果があるかは君たち自身で見つけてくれ。正直言って私にも分からない」 

クリスチーヌは尋ねた。

「分からない・・・というのはどういうことでしょうか?」

「実はこのボディスーツは地球人類以外のテクノロジーを参考にしてつくったものなのだ」

「地球人類以外・・・?」

「そうだ、でなければこれほどまでの機能、能力は搭載できなかった。君たちも、もう察しがついたと思うが・・・」

ジョージが、

「博士に接点があったというのは予想できませんでした」

「接点なんてなかったよ。ただ、 国連難民高等弁務官事務所に古くからの友人がいる。彼のつてで紹介されたのだよ」

 

 国連難民高等弁務官事務所は、第二次世界大戦後、依然として避難を余儀なくされていた100万人以上の人々を援助するために1950年に設立された。当初は3年の予定であったが、その後は5年ごとに更新されていた。

 遥か昔2003年、総会は「難民問題が解決するまで」その期限を延長した。しかし、その延長は気候の変動や希少資源に対する競争によって、さらに悪化する紛争や迫害によって、延々と続くことになってしまった。第一の目的は、難民や庇護を求める人々、帰還者、無国籍者、強制された国内避難民の権利を保護、擁護するとともに、いかなる人も自己の意思に反して迫害を恐れる理由のある国へ送還されないようにすることだ。政府による国際法の順守を監視し、難民の権利を主張し、その保護のもとにある人々に緊急援助や物的援助を提供する。こうしたことは多くの政府、非政府組織、市民社会、信仰に基づいたグループや、その他の国連機関との協力のもとに行われている。

 

「私は、リビアの各都市にミサイルが降り注ぎ、60万人以上の市民が難民になったことを知り、友人に詳細を聞こうと連絡を入れてみた。話が・・・国連の対応におよび、リビアを支援しようとする国は多かったが、頼みの綱となるサイボーグがウイルス性兵器によってあてにならないという状況を知らされた。打開策を検討していたら突然彼からある提案を持ち掛けられた。それが、地球人類以外のテクノロジーの導入だよ。友人の名はノバクというのだが・・・」

 

 

 その時、操作室にメッセージが流れた。

「お客様が到着されました」

「中に通してくれ、待ちかねておったぞ」

 ドアが開きふたりの若い女性と中高年男性が現れた。そしてウィン博士はスカイ・フォーメンバーに3人を紹介した。国連難民高等弁務官事務所のノバク・アダムスキー、そしてカーラ・ファーナムとメグ・バークリーだった。

 

 そう・・・グローバルネットワークを通して人類が初めて地球以外の生命体と接触し、その「血の継承者」として惑星ヒュームへ招待されたあの二人である。

 

 

…続く。