かあちゃんタクシー -2ページ目

変わる常識

この日本では、始まりの季節と言えば4月。
新入学、新社会人が新しい環境へと飛び立っていきます。

しかし、そのお客さんは言いました。

「最近は秋に新卒を採用するっていう会社もあるんだ。
 外資系なんかだと、帰国子女も狙うでしょ、
そうすると、秋に卒業する外国に合わせたりするんですよ。」

へー、そんなところでも外国の影響があるんだ

と思った母ちゃんなのでした。

歴史

「世界貿易センタービルへ行ってください。」

向かう母ちゃんタクシー。
つぶやくお客さん。

「昔は汐留にビルなんかなかった。
 今はビルだらけで、どれが目的のビルかわからん。」

「国鉄の貨物駅があったくらいだ」

そうですよね。
昔は海でしたものね。

そう思った母ちゃんなのでした。

無賃乗車のテクニック

そのお客さんは、

「遅刻、遅刻」

と、急いでいる様子でした。

料金は4200円。
5000円札を料金支払い用のトレイに置きます。

「ちょっと時間がかかってしまったので、200円おまけしますよ」

と、母ちゃんは言って、1000円のおつりを渡しました。
そこで、そのお客さんが言いました。

「やっぱりカードで支払っていいかな」

母ちゃんは
「いいですけど、カードだと割引出来ないんですよ」
と答えました。

「じゃあやっぱり現金で。」

母ちゃんはカードを返しました。
急いでお客さんは降りていきます。
しかしそこで


「あれ…お金がない!」

母ちゃんびっくり。

そこにあるはずの5000円札がないのです。

「やられた」

やられたどころか、1000円のおつりを渡してしまったので、1000円の損です。

このお客さんが確信犯かどうかはわかりません。
けれど、これはよくある手口なんだそう。

くやしがる母ちゃん。
しかし、ここで負けません。

お客さんが降りたのは、Y新聞社の前でした。
きっとここの社員にちがいない、と思い会社に乗り込みます。

受付嬢に

「今急いで出社した方をお願いしたいのですが」
と聞くと、

「K林ですね」

と、あっさり教えてくれました。
呼び出してもらいます。
K林さんが現れました。

母ちゃん

「料金を頂いていないんですけど。」

K林さん

「ああ、ごめんなさい。」

あっさり支払ってくれました。
そりゃ、ここまで来たら払わないわけにはいかないですものね。

とにかく一件落着となりましたが、良い子はマネをしないでくださいませ。

K林さんの手口も、それを追いかけていく母ちゃんのマネも!

です。