遠くで楽しそうに笑っている少年がいた。
なんだか僕も嬉しくなって、自然と近くに歩み寄っていた。
近づくにつれ、異変に気付いた。
少年は笑っていたのではなく、口が顔の端まで裂けて、苦痛に
顔をゆがめていた。
僕は、途中で歩を止め、しばらく少年を見つめた。
何か言おうとして、やめた。
そして、少年と反対側に歩き出した。
あのとき、何を言おうとしたのか、覚えていない。
何を想ったのか、覚えていない。
覚えているのは、少年の端まで引き裂かれた口と
とても、とても辛そうな、悲しそうな瞳だけだ。
ケガをした少年
キャンバスに油彩 130.3×97.0 cm