繋がらない④
正直に言うと、配線とか機械とか、本当に苦手だ。
2箇所にあるルータを交換し、ケーブルをただ同じように差し込む。
そんな単純なことが苦手。
できるけど、本当にストレスフルでしかない。
「差し込み口って、どれがどれ?」
——見るだけで、もう目を背けたくなる。
確認しながら、できる。
でも、どうにもやりたくない。
だから私は、今までも「誰かがやってくれるだろう」と思っていた。
夫とか、業者さんとか、誰か詳しい人とか。
今回の通信障害も、
最初のうちは「まあそのうち直る」と思っていた。
電源を入れ直すくらいはしたけれど、
それ以上のことは、どこか他人事だった。
でも数日経っても復旧しないと、
さすがに焦り始める。
ようやく重い腰を上げ、
ケーブルを手に取り、ルーターを持ち上げてみる。
すると、見えてくる。
埃にまみれた隙間、何本も束ねられた配線、存在すら忘れていた説明書。
苦手だったはずの作業を、
私は少しずつ、進めていくことになる。
不思議と、怖さはなかった。
むしろ、目の前の問題に直接触れていることが、
心を落ち着かせてくれた。
集中している。
「苦手」とは関わっている時間が足りていないこと。
時間をかけて、関わっていくことで苦手は克服できる。
子供にそう教えてきたし、私もこの認識で人生を生きてきた。
今回のトラブルは、私への挑戦のようだった。
やらなければ、ずっと“分からない”ままだったこと。
気づけば私は、
配線と一緒に、自分の思考の絡まりもほどいていた。
「苦手なこと=他人に任せるもの」
そんな理想で生きていられたら良いのに。
復旧には時間がかかった。
でもそれ以上に、
“向き合った自分”に手応えが残った。