4月に上演予定だったけど、コロナ禍により中止となってしまった「VIOLET」が3日間5公演の上演決定!!
ステージ構成、出演者変更、演出変更を行っての再出発。


公式Twitterにもあるように、奇しくもヴァイオレットが旅する日程と同じく出発が9月4日、終着が9月6日。
こんな事もあるんですねびっくり

どこか1回観られたらとエントリーしたら、まさかの複数回当選してしまいびっくり(笑)
連日行く事の後ろめたさと1人が何度も行く申し訳なさ?がなんとなくあって、1番観たかった優河さん回を残してあとはお譲りに出してしまいましたキョロキョロ

少ない機会、少しでも多くの人が観られますようにキラキラ ← 白々しい
いつか私に帰ってこいよ〜 ← おいっ


芸劇は去年のグレコメ以来。
地下のWEST、EASTは閉まってました。



本来ならば4方席となるはずだったのですが……



〈あらすじ〉

1964年、アメリカ南部の片田舎。幼い頃、父親による不慮の事故で顔に大きな傷を負ったヴァイオレットは、25歳の今まで人目を避けて暮らしていた。しかし今日、彼女は決意の表情でバス停にいる。あらゆる傷を癒す奇跡のテレビ伝道師に会う為、西へ1500キロ、人生初の旅に出るのだ。長距離バスに揺られながら、ヴァイオレットは様々な人と多様な価値観に出会い、少しずつ変化していく。長い旅の先に彼女が辿り着いたのは―。
(公式HPより)


登場人物は、主人公のヴァイオレット、バスの乗客の黒人兵士のフリック、白人兵士のモンティ、息子の家に向かう老婦人。
メンフィスの人々、伝道師とシスター、ヴァイオレットの父親、そして幼い頃のヴァイオレット。


キング牧師の演説の映像から物語が始まる。

差別、コンプレックス。
主人公ヴァイオレットと共に、人々の抱える傷や弱さを見つめていく。
目に見えるモノだけに囚われるな、その人を形成している中のほんの一部分でしかない、と言われているようだった。


私、あらすじ以上の事は知らないでの観劇だったのですが、私の中のヴァイオレット像とかなり違っていた笑い泣き

てっきり
顔に傷があることがコンプレックスで頑なな心を持ってしまった内向的な女の子が ← なんか違う
個性的なバスの乗客達と共に旅をして、様々な人達の問題を知り、
それでも逞しく生きる姿に勇気をもらい ← ちょっと違う
出会う人々の善意に癒され ← 間違い
いつしか心を解きほぐす ← うーん?
話だとばっかり…(笑)

なんとなく、ふうかちゃんの可愛らしいイメージでそう思ってたっぽい。
でも幕が上がったら、泣いたら負けって感じにがっちり武装した女の子だったし、周りの人もべつに善人じゃなかったニヤリ
生々しい人々が出てくるミュージカルだった。


13才の時に飛んできた斧の刃によって大きな傷を負ってしまったヴァイオレットは、テレビで見た伝道師の奇跡の力で傷を消してもらうために旅に出る。
役者さんの顔には傷はないので台詞や仕草でその傷を想像するしかない。
ヴァイオレットは女優のグラビアをいくつも持っていて、〇〇の目が欲しい、〇〇の眉、〇〇の頬、〇〇の髪…
美しい自分になりたい、と願望を語るので…チュー
それ、傷の範囲を越えてるよね?
見た目のコンプレックスから、完璧な美しさを夢見ている。
人に気を許す事ができず、テレビ伝道師の癒やしの力だけが心の支え。
外側の傷を消す事で内側の傷も消えると思ってるのよね、たぶん。
結局は伝道師に会っても治してもらう事は出来ないのだけど、夢の中?で亡くなった父親に会い、ずっと引き摺っていた思いをぶつけ、わだかまりが解けた事により顔の傷が消えるような錯覚を得る。
心の重りが無くなって自分を愛する事が出来て、顔の傷を思う気持ちが軽くなったからなのかな。
喜んでモンティ達に報告するけど、実際にはなにも変わっていなく、それに絶望するヴァイオレットに、フリックが声をかける。
「俺を見ろ(うろ覚え)」
己の傷ばかりを見てきたヴァイオレットに自分…というか、他者を見ろってことかな?
そこには外形に囚われずに愛を向けるフリックが居る。
二人は抱き合い、ハッピーエンド!と思いきや、最後はヴァイオレットが1人、歩き出す。
他者の思いを受け取ることで自分を肯定する事ができ、でも誰かを頼ることなく新たな一歩を踏み出すかのよう。
傷と願望を運んでいたバスから外の世界に出て行くのね!と勝手に解釈。



[ 私的、ここが気になるVIOLET ]

周りの人の傷の痛みまで感知できないのか、けっこうキツイ事言っちゃうヴァイオレットさん。

〈ひどいわ!その1〉
「昇進出来るなら顔を交換してもいい」
って冗談に
「あなたじゃだめ」
のちにフリックの顔の造作ではダメって意味と言い訳をするのですが、それ以外の意味はまったくなかったと言えるのかな、なんて。
ちなみにフリックはブラックフェイスにはしていません。
昨今いろいろ論議されていますが、今回は目に見える情報を取り払うって意味で有効かも。
(ロンドン公演は黒人キャストだったようですね)


〈ひどいわ!その2〉
パパにずっと思ってたことをぶつけるのですが、
「わざと顔に傷をつけた!綺麗になった私が離れていかないように!」
はい?!?!
娘いわく、わざと斧の刃を飛ばした。負傷後の処置を怠った。
父いわく、そんなことあるか!だいたい近くで遊んでたのが悪い。直ぐに医者に連れていった。
たぶん白人でも貧困層だった親子だから、たいした医療も受けられなかったのでしょうね。
だいたい狙って斧飛ばすとか、被害意識が過剰になってしまってます。
ヴァイオレットは顔に傷を負ったが、自分だって心に傷を負ったという父親に
「見えない傷でよかったね」
…うーわーガーン

パパはヴァイオレットが幼い頃、算数が苦手で買い物の釣り銭をチョロまかされていた娘の将来を心配して、人の気持ちを推し量る事と算数が出来るようにとポーカーで訓練。(金をかける)
ポーカーの腕は上がったが、人を思う心を読み取る事はできないみたいよ。
教材が悪かったんじゃないかな…キョロキョロ

親子のわだかまり、というか、ヴァイオレットの誤解は解けて、最後に「私はどう見える?」ってヴァイオレットが問いかけるのですが、それになんの答えも返さない父親。
ちょっと意外だったけど、その答えはヴァイオレットの内から生まれるものだから必要ないのかも。


ヴァイオレットも、今までひどい事されてきてるんです。
算数が苦手なのは黒板に書かなきゃいけないのだけど、まわりの人達が顔をジロジロ見るから。
容姿で虐めてきた男の子が突然「好きだ!」って言ってきて。当然
信じられないから「寝たらいくら貰えるの?」と聞くと「5ドル♪半分こしてもいいよ?」と悪びれずに答える。
屈辱よ。
バス旅でモンティに彼氏いないだろうって言われた時に、家の前に列を成すみたいな事言うんだけど、これって虚勢じゃなく、そういう事なんだろうなぁと思った。
“綺麗”だったらそんな事にならなかったと思ったに違いない。
だからテレビで見た伝道師の癒やしの力に縋ろうと思ったんだろうな。


〈フリック〉
ヴァイオレットとの会話で出てくるのですが、フリックはあだ名で少年院で付けられたらしい。
わざわざ言うには意味がある?
勝手な推測ですが、名前の英語表記はFlickだけどあだ名は"Frick"なんだろうか、なんて。
少年院に入った原因
「なにをしたの?」
「産まれた」
肌の色だけで色眼鏡で見られる。
酷い話だけど、現在もまだそんなことが行われているんですよね。
フリックにとって差別は日常的なもので、傷付かないわけではないけど、ぐっと飲み込んで生きてる。
痛みが分かるから他者にも手を差し伸べられる、そんな優しい強さを持ってる。
その強さがヴァイオレットの目を外に向けさせるんだろうな。


〈モンティ〉
フリックを侮辱したバーテンダーをやり込めたりするところを見ると、肌の色に拘りがないよう。
内側を見ようとするフリックとは対照的に目に見えるモノをそのまま受け取ってしまう人なのかな。
ヴァイオレットと良い仲になったあと、フリックから「泣かすな」との忠告に「その時俺はいない」とケロっと言っちゃうし、
グリーンベレーとしてベトナム行きが決まっていて、母に報告をしたけど喜んでもらえなかった。「内心はきっと喜んでいる」というヴァイオレットに「そうならそうと言ってくれ」と、分かりやすさを求めるし、
傷が消えたと喜ぶヴァイオレットに、何も変わってないよとズバッと言っちゃう。
モンティは愛称。フリックから聞いて?ヴァイオレットが「モンゴメリー〇〇(覚えてない)」って呼んで、それを嫌がるんだけど…
なんだったかなキョロキョロ
その名前、意味があったんだろうか…


〈老婦人〉
黒人には少なからず差別意識があるのかな。
バス旅の行く先は息子の家。
同居をするためなんだけど
「嫁が憎い」
と。
嫁となにがあった??
ぜひ、詳しく教えてくれ。
たとえば嫁が有色人種だったなら面白くないのだろうな、なんてね。


〈伝道師〉
ペテン師なのかな?なんて思ってたけど、そういうわけでもないっぽい?
昔はほんとに癒やしの力があった(と信じている?)のかな。
今は疲弊したおじさん。
ヴァイオレットへの一言は考えさせられる。
「力があったら片っ端から癒やす、でも君はどこも損なってはいない」
みたいな事言うのです。(台詞は忘れちゃったチュー)
伝道師から見たら、顔の傷はヴァイオレットという人を危うくするものではないって事よね。


キャストさんについて。

優河さんはシンガーソングライターで、今回が初舞台だったのだそうで。
すごいな!とてもそんなふうには見えなかった!!
歌がすごく良かったおねがいキラキラキラキラ
表情豊かなアルトボイス。
ずっと聴いていたい歌声でした。
気が強くて、ちょっとスレた感じで、でも伝道師を一途に信じる純真さを持つヴァイオレット。
しっくりしすぎて、ふうかちゃん版がどうなっていたのか想像が出来ないくらいだったウインク
成河さん、吉原さんはいうまでもなく。
島田歌穂さんは老婦人、娼婦、シスターと忙しく。袖に引っ込んだと思ったら直ぐに出てきて、びっくりの早替えびっくり
エリアンナちゃんのシンガー、パワフル&ソウルフルで素晴らしい!
歌穂さん、谷口ゆうなさん、エリアンナちゃんの重唱は感動的だったな〜ラブ
全体的に楽曲が良いラブラブラブラブ
優河さんの『On My Way』、吉原さんの『Let It Sing』は割れんばかりの拍手拍手拍手拍手拍手
客数半分だよね?!ってくらいすごかった!!
伝道師の畠中さん。
カリスマに滲む胡散臭ささ(笑)
原田優一くんが別の舞台に出演するため畠中さんが出演となったのですが、ハマってましたねウインク
これ原田氏でも観たかった。


2時間ノンストップのバスの旅。
本来の形で再演されますように。


外はいい天気でした。
管楽器の音が聴こえるな〜と思ったら、野外ステージで演奏してました。
(聴こえてきたのはルパン三世のテーマだった口笛)
久々の池袋、芸劇前の広場もいつの間にか変わっていた。