こころ (まんがで読破)/イースト・プレス

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若いころ島田雅彦の「彼岸先生」を読んで面白かったので、
この小説の下敷きとなっているという、夏目漱石の「こころ」も読まなければと思うも、
「昔の小説だから文体が堅い」
という印象により冒頭で挫折、今まで放置していた。

「まんがで読破」という、
古今東西の名作文学を、一時間くらいで読める感じのマンガにしてくれるという素晴らしい企画シリーズがある。
堅い?と感じた文体も含めての漱石であるし、
本来「こころ」が一時間で読破出来るはずもなく、
かなりの情報量が抜け落ちているはずで、
あくまであらすじ、ダイジェストのコミック化である。

しかしあえて言おう、漱石の「こころ」は読んだよ、と。
(…マンガで)
このお手軽な爽快感、達成感がこのシリーズの素晴らしいところだ。

サクッと読んでみると
これは人間の欲望、執着心、とりわけ嫉妬心を鋭く描きだした青年文学ではありませんか。
己れの矛盾とかを突き詰め過ぎて自殺しちゃう系の。

こういう話は青年期の潔癖でナイーブなハートにぐっさりくるんですよね。
自問自答しちゃう感じで。
発表以来、これを読んで多くの青年が、
「俺は嫉妬に駆られて友情を裏切るようなことはすまい。あとあと死にたくなっちゃうからね」
と思ったに違いない。

青年期をとうに過ぎた中年としては、
人間、欲望・執着心・矛盾があるのは当たり前、
自責の念にとらわれないように、いかに折り合いをつけて上手いことやっていくかという風に、開き直っちゃっているので、
出来ればなるべく若い時に読んでおきたかった本です。