望月峯太郎先生は、デビュー作からほぼリアルタイムで読んでいる、僕の最も好きな漫画家です。


なかでもデビュー作の「バタアシ金魚」 (とその続編「お茶の間」)は、青春もので、主人公カオルくんと同い年くらいの多感な時に読んだので特に思い入れがあります。


読んだ当時まずとにかく絵の斬新さ、
ラフで力の抜けた感じながらとても洗練されてお洒落に見えました。
今はカッコイイ絵の漫画家はたくさんいるので、今見るとそんなでもないかもしれませんが、当時としては滅茶苦茶かっこよく見えました。


当時は大友克洋の「AKIRA」が全盛、
松本大洋はまだ登場していませんでした。
個人的には、絵のかっこよさでは大友か望月か、この2人が最先端だと思っていました。


とにかくセンスの良さ、こだわりがありながらもオタク的でないおしゃれ感は、この当時のマンガでは他に見当たらないと思いました。


最近、このマンガがすごい的な物で高評価を得ていた某マンガ(青春もの)を読みましたが、絵がちょっと望月峯太郎ぽいなーという以上の感想は特になく、あまりオジサンの心には残りませんでした。

やはり読んだ年齢や時代背景というのは大きいですね。


「バタアシ金魚」 全6巻
主人公カオルが、同級生ソノコくんを振り向かすために水泳に打ち込むという、言ってみれば熱血スポ根マンガなのだが、学生時代を帰宅部で完全に通し切った、スポーツとは無縁・オタク型ボンクラ学生だった僕がはまった理由は何なのか。

これがなかなか上手く言葉にして説明出来ない。
カッコイイ絵の魅力・センスの良さと、主人公カオルの破天荒な自由さ、なのだが、言葉にするとなにか足りない。
読んだ当時の80年代、あの時代にしてはとてつもなく斬新でかっこいいマンガだった、というしかない。


「バイクメ~ン」 全4巻
フィフティーズ趣味のバイク、ロックンロールといった男のロマンを打ち出して、幅の広さを見せつけた。まだ二十歳そこそこだったはずですが。

しかしとにかくセンスがいい。


「お茶の間」 全3巻
バタ金のカオルが社会人になって帰ってきた。
これもリアルタイムでの思い入れたっぷりで一言では語れない。
ラスト、カオルの成長ぶりがすごく、「あのカオルがねえ、立派になって」と感慨深かった。


「座敷女」 全1巻
時代を先取りした傑作。「ストーカー」や「都市伝説」といった言葉は当時まだなかった。
今読むと完成度高すぎて古典的な話に見えるかも。


「鮫肌男と桃尻女」 全1巻
とてもスタイリッシュで映画的な一冊。カッコイイ漫画。浅野忠信主演で映画化された。


「ドラゴンヘッド」 全10巻
連載中かなり話題になり、みんな新しい単行本が出るのを心待ちにしていた。
ついに大ヒット・社会現象化し、超メジャー漫画家か?
しかし、伏線的な要素が散りばめられるも、それらを回収する作品ではなかったためか、終了時に賛否両論。
世間的には、尻すぼみな印象に。
もちろん20世紀末の時代を捉えた、偉大なとても面白い作品だったが。


「万祝」 全11巻
大ヒットした「ドラゴンヘッド」の後の作品にしては、あまりにも話題にならなさ過ぎな気がしたが、世間、冷めやす過ぎだろう。
望月先生の描く、ロマンあふれる海賊もの、悪かろうはずがない。
実はまだ一回しか読んでないので、これから読み返してみます。


「東京怪童」 全3巻
これは個人的に大好きな作品。近年のマンガ作品全てを通じても。
出てくる登場人物が、皆「病んで」いて、コンプレックスを抱えているという割りとヘビーで内省的な話だが、絵のスタイリッシュさもあって、皆チャーミングで、愛すべきキャラクター達。
みんな多かれ少なかれ問題を抱えてるよね、ツライのは自分だけじゃないよね、
というような気持ちになる、カラッとしてポジティブな読後感があるとってもイイ話。


現在連載中の「ちいさこべえ」もとても楽しみです。
思えば初めて「バタ金」の「カオル」に出会ってからもう四半世紀!という事実に愕然としますが。
あのマンガの頃はあんなことがあった、などと思い出したりできます。
これからも一生読み続ける作家ですね。