【CoCo壱のカレーの話】

 

東京にいた15年ほど前のことです。

東西線葛西駅横にCoCo壱がありました。

私のアパートから徒歩8分ほどの場所です。
 

蒸し暑い8月の土曜日の夕方、腹が減ったのでテイクアウトをしにCoCo壱へ。

「ロースカツカレーの5辛、500gで」と破壊的な注文を繰り出し、出来上がりを待ちました。

どうやら、顔がえなり君っぽい新人さん(以下、えなり君)が対応している様子で、結構時間がかかりました。

15分ほど待ち、ようやく白いビニール袋に入れられたカレーが出来上がり、意気揚々と自宅へ戻りました。
 

自宅に戻り、エアコンをMAXにして、オレンジジュースも用意万端!

さあ食べるぞ!と思いビニール袋の口を開いてカレーを出してみたら、そこにあったのは





 

【カツが乗った500gのご飯】







 

はぁ??? ルーが無いやん…

 

補足:CoCo壱のテイクアウトの場合、ご飯400gまではあの丸い容器にご飯と三角形のルー容器が収まるのですが、ご飯500gになると丸い容器はご飯だけ、ルーは別の容器になるのです。
 

つまり、えなり君が「ルー」の容器をビニール袋に入れ忘れたため、私は「ビッグなカツご飯」だけ渡されたのでした。


 

「あの野郎!」




 

私は楽しみにしていたカレータイムが台無しにされた怒りが沸いてきて、肩で風を切りながらCoCo壱へ向かいました。

店が近くなってガラス窓から中を見ると、えなり君が


 

「うわぁ!やべぇ!あいつが来たぁ!」





と言っているような顔をして、殺人鬼でも見るような顔でこっちを見ています。

私が店に入るとえなり君が飛んできて

「も、申し訳ありませんでしたぁ!」とちゃんと謝っているにも関わらず、

 

「お前はもういいから、店長呼んで」


 

と、冷徹にえなり君に伝えました。

 

その後、店長から謝罪と、改めて「ロースカツカレー5辛、500gを作り直す」と言われて、帰りには、ビニール袋パンパンにビッグカツご飯とルーが2つ、ちょっとした買い出しにいった状態で家に帰ったのでした。


 

今考えてみたら、別に怒る要素が無いんですけど、当時の私はめちゃくちゃ怒ってました。




 

【以下は当時の考察】

 

•空腹による低血糖を起こしてイライラ

→アドレナリンで血糖を保ち、かなりの興奮状態

(怒りやすい人は「血糖コントロール」がうまくいっていないことが多い)
 

•普段の食事が荒みすぎていて、慢性的なエネルギー不足、副腎疲労の極み

→朝食べない、昼は外食•コンビニ、夕食はマックかラーメン、吉野家(よく生きてたな)
 

•ミスをしてしまったえなり君を許せない

→恐怖の意識レベル「えなり君はダメな奴」だと強くジャッジ

→怒りの意識レベル「えなり君を責めてやろう」と加害対象を設定

 

こんな感じで著しくエネルギーを無駄に消費する考え方をしていました。

さらに人にまで当たるという控えめに言って最低、最悪な人間です。
 

帰ってきて食べたカレーは全然美味しくなかったです。

当たり前です。
 

カレーぐらいであんなに怒って、えなり君に申し訳ないことをしたなと、反省した一日でした。



 

【後日談】

この件があった2ヶ月後、懲りずにまたCoCo壱に行きました。

えなり君もバイトに慣れてきて、店内を回していました。

 

「ロースカツカレー500g、5辛でお願いします」

「かしこまりました!」

 

えなり君も元気を取り戻してくれてました。辞めてなくて本当に良かった。

 

出来上がったロースカツカレー入りのビニール袋をもって、気分よく自宅へ向かう道路を歩いていたその時、





 

「すみませーん!お客さまー!」


 

 



と後ろから声が。

 

なんとそこには「ルー」をもって全力で走ってくる

えなり君がいるではありませんか!




 

「すみません…はぁ…はぁ…ルーを入れ忘れちゃって…はぁ…はぁ」


 

「え?そうなの、ありがとう」






 

えなり、また「ルー」入れ忘れてました😑
 

あれだけ私がブチ切れても、またやらかしてました(笑)

 

結局、恐怖や怒りで動いても、何も生まないことがよくわかるエピソードでした。
 

なんとも言えない表情でえなり君の後ろ姿を見送った、秋の東京の思い出です🍂