母の介護をしていて思うこと
「そろそろお昼だよ」と声をかけると、母は「あら、もうそんな時間?」と驚いた顔をする。
時計の針が止まっているわけじゃない。
けれど、自由という名の無重力に包まれた老後では、時間という概念がふわふわとどこかへ飛んで行ってしまうらしい。
介護を始めて気づいたのは、
朝・昼・晩と、決まった時間に食事をとることの大切さだ。
若いころは「今日はランチ抜きでいいか」とか、「夜中にラーメン食べちゃおう」なんて無茶もできた。
でも、年を重ねると、それがじわじわと体に響く。
食事と睡眠。
生きるための基本中の基本。
ところが、この二つが崩れると、人はあっけなく体調を崩してしまう。
まるで、土台のゆるんだ家のように。
母を見ていると、自分の未来を先取りして見せられているような気になる。
だからこそ思う。
死ぬまで、食べることと眠ることは、ちゃんと大事にしていこうと。
それが、人間らしく生きるということかもしれない。