③から2ヶ月くらい経ってしまったが、まだ続けている。そして3ヶ月ほど続けてやっと1人と会った。その人は5つ上の人で、年上は私の人生で付き合ったことはおろか、デートすらしたことがなく、人生初の行事となった。まず彼から「いいね」がきたが、その人は顔がしっかりわかる写真はあげていないし、プロフィールの内容も2行くらいで、色々な条件なるものもあまり選択していない人だった。普段ならスキップするのだが、そのわかりにくい写真の雰囲気が私好みでおしゃれな雰囲気がただよっていたため、ある意味賭けで「いいね」を返した。そうしてメッセージのやりとりが始まった。わりとテンポよく返ってくる人で何度かのラリーの後で飲みに行きませんかと誘ってくれた。アプリ熟練者が言うには“1ヶ月くらいはメッセージのやりとりをしてから誘ってくる人が真剣な人“とのことだが、私には知らない人とメッセージを1ヶ月も続けるなんて不可能に近い。アプリで見た情報とメッセージのやりとりだけで相手にそこまで興味を持てない。だから私が会った彼くらいのタイミングは熟練者からしたら相当早いと思うが、私にとってはとてもいいタイミングだった。そうして日にちを決め、ついに対面した。まず思った通りの雰囲気で程良くおしゃれな人だった。口下手で少し不器用そうではあったが会話はそこまで途切れず、特に引っかかることもなくその日を終えた。そして会話の中で向こうから「また会ってもらえますか?」と聞いてくれ、2回目の約束をした。彼の話していたことが全て本当なら、という前提だが、彼も私が初めて会う人らしかった。話した感じで彼を誠実そうな人だと思ったが、いかんせん自分の男を見る目にもはや自信なしである上に、やはりアプリの色々な良からぬ噂からまだまだ彼を信じることはできない。そして2回目も特に引っかかることもなく、私は私で自身がバツイチであることを伝えた。この話は私の中で2回目に言うか、3回目に言うかどちらがいいかでやや悩んだが、知った上で3回目のデートをするかしないかは向こうに判断してもらうという意味で2回目に言うことに決めた。彼は少し黙り込んで「ごめん、自分では経験したことのないことだから何も言葉が出てこない…。今は元気になった?」と言った。今まで「今バツイチなんてたくさんいるし大したことじゃないよー!」そう言ってくれる人がほとんどだったが、この反応は初めてで、これもまた彼を真面目で誠実だなと思う一つの要素となった。そしてそのこと自体は過去の話だし気にしないと言って、3回目も誘ってくれた。3回目はこれからだが、彼がこのまま私が感じたままの人だといいと切に思う。そんな中、他にマッチングしメッセージで会おうと言ってきた人がいた。その人とのやりとりで「アプリの人と会うの抵抗ある?」と聞かれたため正直に「あるし、こわいとも思う。慎重にはなる。」という旨を伝えた。すると「俺が歩み寄っているんだから、君も歩み寄るべきだ。こわいとか抵抗があるならやるべきじゃない」となぜか少し怒りだし、自身の価値観をふんだんに押し付け始めた。そんな彼は最初から「会うのは20時からだな」とこちらの仕事の終わる時間も確認せず勝手に決めたり、高いお酒を飲まれたら困るなーなどと牽制してきたりと、どんどん会いたくなくなる要素を積み上げていた。だから私は途中から心底面倒になり、「あなたの時間を無駄にしてしまいそうなので会うのはやめましょうと」伝えた。最後にまた長々と説教を垂れてきたが、より会わなくて良かったと思う材料となった。そして彼の存在は、先に会った年上の彼をやっぱりあの人はいい人なんだなーと思える良い比較対象となった(比較するのも申し訳ないような男だったが)。この件で学んだことは、違和感を1つでも抱いたらおそらくやめておいたほうがいいということである。アプリでの出会いでもそうでなくてもこれは多分言えることで、自分の譲れない価値観、相手への思いやりや謙虚さなど、そこにはてな(もはやバツ)マークがついたら時間をかけても挽回はできない。数打ちゃ当たる戦法は私にはできそうもないから、もう無理に誰かと会おうとするのはやめようと思った。

 

"愛はお互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである。"

−サン・テグジュペリ−

 

異なる価値観を持った相手にどれだけ歩み寄れるのかは良い関係を築くにあたって大事なことかもしれない。だがその価値観がほとんど同じ方向にない相手との関係を、努力して築こうとする必要はないように思える。少なくとも私の目的・ゴールは「結婚」ではない。結婚するために何かを犠牲にしたり我慢をしたり妥協したりするのは間違いで、愛のために相手と同じ方向に進んでいけるのかの見極めを大切にしたい。そして死ぬまでに最良の人生のパートナーが見つかったらいいと今は思っている。