人間が味覚を意識するのは、90%以上が視覚によるもので、食べたら危険とか、危ないと感じることも見ることで直感的に知っている。脳の機能の半分くらいは、視覚の処理に使われているのだ。

 

味覚によるものは、僅か1%なんだとか。

また、人工着色剤の歴史は、実は石炭を燃焼させる時に出来るコールタールのような、炭化水素化合物のような化学式を持つものである。タール系色素とも言う。つまり人工着色剤は、体に毒だと言う事。こういう化学物質を人間は人工着色剤として1900年代の初めから食材に大量に使って来た一体誰が石炭由来のこの物質を安全だと言って使ってきたのか。

昔から多くの人工着色剤は、FDAに登録申請されており、少量の使用は健康に問題ないと言われても、我々は毎日モノを食べるし、飲む。安全性の担保は、形式的なものである。

 

この問題に火がつき始めたのは、ドイツ、英国。発がん性が言われ始めている。子供の多動症(ADHD)と合着との因果関係。欧州発の研究が公表され始めたのは、2010年と比較的まだ日が浅い。以前米国の展示会で偶然知り合ったドイツのGNTと言う食品着色剤メーカーを訪問、技術的な事を色々話し合ったことがある。彼らはいち早く子供たちが良く食べる、グミキャンディーのブルー色素を、中国製のスピルリナから抽出した天然のフィコシアニンブルーに切り替えたと言っていた。確かに今市販されているグミキャンのブルーは、中国製スピルリナを抽出したブルー。

当時僕は、スピルリナの販売の責任者をやっていて、カリフォルニア州で栽培、培養しているスピルリナも使って見てくれ、とお願いしていた。我々は既に人工着色剤の危険性を知っていて、ブランドメーカーへその問題を提案、天然着色材のフィコシアニンを使用して欲しいと言う提案も行った。しかし何度もグローバルな大手食品メーカーの厚い壁に跳ね返され、打ちのめされた。

 

人間の視覚のトリックを使って長い間、危険な合成着色剤を使用し続けてきた。モノを知らない、知識がないというのは、命を危険に晒すというのと同じことだ。特に子供が問題となる。

 

人間の視覚の錯覚を利用したマーケティングの方法論なども紹介されていた。こういう発想は、化学の本質から外れている。化学の役割は、人間生活を安全に。快適に導く必要がある。黒いものはクロ、と言い切る度胸が必要なのだ。

 

青い食材は、食品メーカーの最後の関門で、合着に代わる新しい代替物は簡単に見つからない。数年前のことだが、米国大学の薬学部の院生が、その物質をイエローストーンの熱水で生きる或る種の藻類の中に含有していることを発見した。

University of Illinois grad student in pharmacognosy (the study of medicinal substances found in nature), who has spent several years searching for new blues, recently found a previously unknown blue pigment in algae growing in a hot spring in Yellowstone National Park.

問題はこのブルーの物質の化学構成、安全性が担保できるのかどうか。この学生さん、頑張って研究を継続し、Scientistの王道を走って欲しい。