エキスパートナース2011年8月号(照林社、定価1100円)
全体評価
●業界ダントツの売り上げ部数を誇る看護総合雑誌。現場感覚に優れ、切れ味鋭い特集が魅力だったが、ここ最近は、ぼんやりとした切り口の記事が目立つように。書店での売上部数もかなり落ちていると聞く。休刊、廃刊が続く看護雑誌低迷のきっかけは、本誌の牽引力が落ちてきたのが原因か。巻き返しを期待したいが、果たして。
8月号評価
●「褥瘡治療に栄養がどう役立つか」、というタイトルが大きく表紙に。いまどき看護学生の教科書にも載っている情報を、“目からウロコ”的なタイトル付けでごまかしてはいるが、買って読もうとはなかなか思いにくい目新しさのないテーマ選択。
●とはいえ、褥瘡について看護の第一人者である真田氏(東大)が監修であるのは魅力的の一言。看護師は、医師とは違って「誰が書いているかより、何が書いてあるかで本を選ぶ」というが、真田氏と褥瘡に関しては別格。1つ1つの内容にも安心感があり、絞り込んだ基本と最新知識をコンパクトに解説。誌面の見せ方については、数ある雑誌で群を抜くうまさでもあり、2本目の記事だけでも、一読して損はない。
●ただし、この号を「1100円出して買う」となると、おすすめできる1冊とはいえないだろう。勉強熱心なスペシャリストにはコンパクトすぎて物足りず、若手向けなら、もっと使える情報だけに絞り込まないと、というのがモニターから集まった声の大半。誌面上、仕方がないのかもしれないが、せっかく真田氏に登場してもらいながら、情報の出し方があまりに中途半端。編集者の企画構成の設計ミスといわざるをえない。
●「WOC認定看護師を目指して勉強中」という方で、栄養により関心が強く、さらに最新情報を漏らさず確認しておきたい、という場合でも、特集の2本目を中心に、5分ざっと立ち読みして事は済むか。
●さらに気になるのは、4大特集がウリだったはずが、今号から、なぜか2大特集にボリュームダウンしたところ。年間購読をしているモニターさんからは、「え?」「残念」という声もきかれた。
●もう1つの特集・中心静脈カテーテル管理も、わかりやすく読めて引き込まれる魅力的な解説にはなっている。ただし、内容は管理者向けではなかろうか。とはいえ、感染に詳しい管理者に聞いてみると、すでに「知っているわよ」の回答。「でもCDCはわかっちゃいるけど使えないこともあるでしょう」という声が聞こえてきた。使うなら、講義資料かな、というコメント。それが目的でもよかろうが、現場レベルでCVラインをここまで知り尽くしてもケアに本当に生かせるかは甚だ疑問である。
●2つの特集しかないのに、2つとも対象が絞られていては、たとえば若手に、日々の業務にすぐ仕えるよ、とはすすめにくい。編集者の好みか、それともたまたまこうなったのか。どちらにしろ、読者目線でなく、編集の思い込みで作った誌面。
●最後になるが、特定看護師の特別記事に、「看護師の10人に1人が認定看護師である」との大誤植。そもそも、この雑誌の編集者が、認定看護師の人数をこのように認識していたとしたら、あまりに現場を知らなすぎる。ネットの速報記事のほうが、どれだけわかりやすくて速いか。さらに間違ったデータを元に構成されているとすれば、読者にウソページを売りつけるとんでもない話。
今月の評価
10点満点中2点★★☆☆☆☆☆☆☆☆
お買い得感
1100円に値上げした上に、編集記事は80ページ程度のボリューム。紙を厚くし、本の厚さを出してはいるが、うすっぺら感は否めない。真田氏の監修はかなり目を引くが、あまりに項目が少ない。広くおすすめできる内容とはいえない。残念
