身体拘束道具 | nurseredcatのブログ

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以前は患者さんがぼけてたり暴れてたりしてて、ナースが必要だと思ったらシーツなどを使ってすぐに縛り上げることが簡単にできました。よくやったのは患者さんが椅子に座っているときに、患者さんが一人で立ち上がれないようにシーツで腰のところを椅子の後ろでしばること。ちょっと目を離さないといけないときとかにはすごい助かりました。血管造影などの検査を行った後、足をしばらく曲げられないときなどもシーツで足を抑えてベッドの下でしばって足を動かせないようにしたり。今では患者さんの権利が重視されたのと、ちゃんと監視しなくなって放置状態になり、床ずれを起こしたり間違ってけがをしたりすることが出てきたからでしょうか、身体拘束道具を使わない傾向になってきています。ナースたちの数がちゃんと足りているときはそれでいいのですが、足りないときはケアが大変になり、患者さんが転倒したりナースがけがをしたりとリスクが大きくなりました。

 

現在、基本的に身体拘束道具は患者さんが自分で取り外しができないものはだめになってしまいました。椅子につけるトレイも患者さんが自分で取り外せられるのはいいですが、それ以外はだめ。身体拘束道具としてみなされない例としては自分の口で外せられるミトン、椅子のクッションで股間の前に凹凸があって立ち上がるのを遅くさせるものや、傾斜がついているクッションで立ち上がるのが大変になる物などがあります。

 

呼吸器がついている患者さんなど患者さんの安全を守るもの場合、身体拘束道具を使うことができますが24時間ごとにドクターのオーダーが必要になります。その場合2時間に一度は外して皮膚をチェックしたり、肩や手首などを動かしてあげたりして、それを記録しなくてはいけません。他にはつばを吐いてくるのを防止する顔のカバー、ベッドの中で寝返りをうつことができるけどベッドから出れない帯などもあります。

 

患者さんが暴力的だったりで自他ともに危険になる場合は鍵付きの身体拘束道具を使ったり、4ポイント(手足全部)を縛る場合もありますが、これは必要がなくなったらすぐに外します。なぜかというとドクターが4時間に一度はその患者さんを診察して身体拘束道具をオーダーし直さないといけないし、ナースも15分に一度に状態記録をしなくてはいけないので大変だからです。そして2時間に一度セキュリティーの人が2-3人きてくれて腕の上げ下げを変えるのを手伝ってくれます。(右腕は上、左腕は下というように必ず反対方向に縛る方法。2時間に一度は方向を変える。)普通はこういう重々しい身体拘束道具は2-4時間くらいで外せれるのですが、2日間4ポイントを付けられていた男性がいたことがありました。その患者さんは落ち着いてからまず足の道具が外されて、しばらくしてやっと腕の道具が外されたとたん、ベッドの上に真っ裸で仁王立ちになって暴れだし、Code Grey(危険な患者さん用の緊急コード)を活動させてセキュリティーを呼んで8人がかりでやっと抑え込めることができました。その時の患者さんの狂気の目、今でも忘れられません。

 

道具以外にも薬を使って拘束する方法もあり、それも最小限に使用する傾向になってきています。ただこの方法は道具のようにはっきりとしていなくて、痛みや不安障害のためだと言って使ったりすることもできるので実際に拘束目的で使っているのかを把握するのは難しいです。薬としてはBenzodiazepine系が多いですが、HaldolやOlanzapineなど筋肉注射できるものや最近では口薬のSeroquelなどの使用が増えてきました。集中治療室ではDexmedetomidineを使用することが多く、これは呼吸への副作用が少ないからです。重症の場合は呼吸器を入れてPropofolを使ったりもします。

 

私は身体拘束道具や薬を最小限にするよりも使用した場合のケアを厳しくする方が優先だと思うのですが。。ナースのお仕事はどんどんがんじがらめで大変になってきています。