さて昨日は我が家のベッド事情について話しましたが、今日は病院での患者さんのベッドにまつわるお話です
私は癌の病棟で働いています。
通常、患者さんたちは「ホスピタル・ベッド」と呼ばれる、ボタンを押せば胴体や足を上げたり下げたりできるタイプのベッドを利用しています。
私たちの病棟に入院している患者さんたちは、Post-op(術後)であったり、抗がん剤を受けるためであったりとその病状は様々です。
特に新しく癌が見つかって、急遽抗がん剤を始めなければならない患者さんたちは、時にはかなり長い入院をしなければならないことがあります。
例えば急性骨髄性白血病の患者さんなどは、一番最初に受ける抗がん剤から一か月近い入院が必要になることが多いです。
抗がん剤を初めて受ける患者さんは、もちろんとても不安だし緊張しています
患者さんが抗がん剤を始める前にドクター、薬剤師、そしてナースから抗がん剤にまつわること(どのような薬なのか、または副作用など)についての様々な説明を受けるのですが、、、ますます不安になってしまうのは当たり前だと思います。
特に抗がん剤の副作用は、聞けば聞くほど不安になってしまうからです。(私も同じ立場だったらきっとそうなると思います。)
以前、若い女性が初めての抗がん剤を受けることになったのですが、かわいそうなくらい緊張しているのが分かりました。
実はその抗がん剤自体、メインの副作用が全身性のアレルギー症状というものだったので、彼女が心配しているのはよく理解できました。
もちろんその抗がん剤の前に、そのような副作用を抑える薬も投与しているのですが、残念ながら副作用はそれでも起きるときがあります。
その時、病室には彼女のパートナーも一緒についていてくれたのですが(我が病棟はすべて個室です)、抗がん剤を始めるにあたって
「パートナーから手をつないでもらいましょうか?」
と提案させてもらいました。(おせっかいおばさん、笑)
それで彼女のパートナーが抗がん剤投与の間、彼女の手をぎゅっとつないでくれることになりました。
もちろんアナフィラキシーのようなショックはそれでも起こるときがあります、、、
しかし身近な人の手を握っているだけで、彼女も精神的に少しだけラクに感じてくれるようでした。
そしてそのうち、そしてパートナーが彼女の手をつなぎながらベッドの上に頭を伏せていたので、
「もし良ければ彼女の側で(同じベッドで)横になってください。」
とお願いしました。
彼は少しビックリして「いいんですか?」と言いましたが、「いいんです。どうぞ、どうぞ!」と言いました。
患者さんのベッド自体はツインサイズ(日本で言うシングルベッド)なんですが、彼が側に横になってくれたことで、彼女も安心して眠りについてくれました。
副作用も無事に起こらずに済みました。
彼も彼女も狭いベッドで窮屈かも?と思いましたが、彼らは(特に患者さんの方は)むしろ安堵の表情でした。
私たちは不安に感じるとき、人のぬくもりによって癒さられることがあります。
ハグや手をつなぐだけでも、自分の不安が少しだけでも解消することがあります。
私は小児科に勤めていないので分からないのですが、幼い子供の場合は特に両親の「ぬくもり」を感じられる環境にいることが大切に思います。
その後も患者さん(特に抗がん剤を受ける患者さんたち)によっては、家族のメンバーが一緒にベッドに横たわってあげたりする人たちがいました。
私が薬やバイタルで病室を訪れると、患者さんの隣にいた家族の人が
「あ、すみません。」
ときまり悪そうに誤って、ベッドから立ち上がろうとするので、その時は
「あ、良いですよ。そのままでいてください。」
と言っています。(逆に入ってきた私の方が申し訳ない感じもするのですが、)
家族(や友達)のサポートは、やっぱり治療の上でもかかせないものだと思います
しかし昨年からのコロナのために、今はそのようなことがなかなかできなくなってしまいました。
うちの病棟も2か月前からようやくビジター(見舞客)が患者さんにつき一人だけ許されることとなりました。
でも決まりで、病室にいる間は患者さんからディスタンスを取り、マスクは必ず着用することが義務づけられています。
免疫の弱い患者さんを守るためなので仕方がないのです、、、
さて昨日紹介したトレーダージョーズで買ってきたヒヤシンス
すくすくと育っております
![下矢印](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/121.png)
![ドキドキ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/031.gif)
![グッド!](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/187.gif)