ビデオ・モニタリングと面白いサイン

先週のことです。病棟で、ある患者さんが（彼女の看護師と一緒に）歩行しているのを見かけて嬉しくなりました

その患者さんは、先月悪性のリンパ腫ために抗がん剤治療を始めることになったのですが、私がその最初の抗がん剤を投与することになってしまったのです。その患者さんの癌はCNS（中枢神経系）の方まで転移している状態で、当時彼女は自分が病院にいることすら理解できていない状態でした。

そしてベッドにじっと横たわっていることができずに、頻繁にベッドから起き上がろうとしたので、そのたびに彼女のベッドサイドに行って、「今、病院にいるんですよ。これから抗がん剤の治療を始めますね。」と説明するのですが、説明した時は「OK」と理解してくれるのですが、また３分後には忘れて同じことを繰り返す、という状態でした。

（ちなみにその患者さんは自分で治療の決断ができない状態だったので、今回の治療はPOA（自分で決断できない患者さんの代わりに医療的な決断をする人のことです）である彼女のダンナさんから（治療に関しての）同意を得ていました）

彼女のように、かなりConfusedな患者さんの場合には、以前は安全のためにシッターさんにベッドサイドについてもらうことになっていました。特に彼女の場合は転倒も危険ですが、抗がん剤のために新しい静脈ラインも手術でつけられたので、それを誤って引っこ抜かれたりしたら大変なことになってしまいますしかし我が病院では３年ほど前から、シッターを頼む前にまずはビデオ・モニタリングシステムを使って、その患者さんが本当にシッターが必要かどうかトライアルをしなければいけなくなったのです。シッターさんの方が人件費がかかるので、必要以上にシッターを使わないために考えられたシステム、というわけなのです。

それで、これが我が病院で使われているビデオ・モニタリングのユニットです

写真ではかなり小さく見えますが、おそらく２メートルはあり、かなり大きいです

このユニットにビデオカメラがついているのですが、そのカメラを通してテクニシャンが別室から患者さんの様子をモニターするシステムです。そして患者さんが、一人で立ち上がろうとしたり、また静脈ラインを引っ張ろうとした場合など、即座に担当の看護師（この場合私です）に連絡してきます。そして同時に、このシステムからテクニシャンが患者さんに話しかけることもできるので、例えば「＊＊さん、一人で立ち上がらないでください。看護師が来ますから待っていてください。」などど、呼びかけることができます。（でも、このような機械からいきなり声が聞こえるのも、ちょっと怖い感じもしますけどね）またプライベート機能もついていて、例えば患者さんがガウンを着替えるときなどはカメラの作動を止めてもらうこともできます。

しかしこのシステム、例えば患者さんがドレインチューブや静脈ラインなどを引っ張ろうとするときは、はっきり言って役には立たないと思います。というのは、常に誰かがベッドサイドにいて、そのような患者さんの行動に気づいて即止めることができるのと違って、モニタリングしているテクニシャンが私に伝えるために、例えばもし私が他の患者さんのケアをしているときなどに伝えられても、すぐにその患者さんの元へ駆けつけることが難しいからです。（その場合はCNAというナーシングのアシスタントの人に連絡がいったりしますが）そんなわけで、患者さんの安全を脅かすような状態であれば、やはりシッターを雇うことになります。

その時受け持った患者さんは、（ありがたいことに）自分の静脈ラインを引っ張ったりすることはなく、ただ（お手洗いの目的で）助けをかりずに一人で立ち上がろうとするだけでした。そして私も初めての抗がん剤治療のために頻繁に彼女のバイタルなどを取らなければならなかったので、彼女の側に四六時中いるような状態だったのです。とにかくその患者さん、ベッドから立ち上がってからも、自分が何をしたいのか、どこへ行けばよいのか、すぐに忘れてしまっているような状態でした。足元もふらついて、トイレまでの歩行すらおぼつかない状態だったのです。それでも抗がん剤の副作用もなく、無事に治療を終えることができたのですが、そのような経験を覚えていたために、先週彼女が担当の看護師と一緒に病棟を歩いているのを見て、とてもびっくりしたし、同時に嬉しく思いました

ちなみに今回のMRIでは腫瘍が小さくなっているのが確認できたようです。彼女もあの時とは別人のようで、とても元気そうでした

今日は朝に昨日買ってきてもらったパンを食べましたが、その中に「あんぱん」がありました。黒ゴマがのっていたので、あんぱんかも？と思ったらやっぱりそうでしたこのあんぱんはパンにバターの風味がしていましたが、そういえばバターと餡って合いますよね。久しぶりにあんぱんを食べましたが、とても美味しかったです。

甘いものを食べたらやはり熱いお茶がほしくなりました

さて、昨日ワンコの散歩に行ったダンナが、近所で面白いサインがあったよ、と教えてくれました。それがこちらです

これと同じサインが近所の家の庭に立てられていました。さすがに写真は撮れなかったので、インターネットから同じ写真を見つけました。STDというのは、知っている人も多いと思いますが、本来Sexually transmitted diseases（性病）の意味です。それとトランプの(STOP THE DONALD)を重ねているのです。下に書いてある「感染を広めるな」というのも、もちろんSTDの本来の意味も兼ねてトランプが落選することを皮肉っているのです。そしてもちろんコロナ感染のことも意味しているのだと思いますが、、、 

マスクをしなくても良い、とか、世界的に権威のある科学者を「バカ者」と呼ぶトランプに、２週間後の大統領選で敗れて退陣してほしいと願っている人は多いようです。下のようなサインも見つけました。この髪型だけで誰だか分かるのもすごいと思いました

何だかアマゾンやナイキのロゴを思わせます

今回の大統領選の投票用紙です。私は残念ながら今年の選挙選には参加できませんが、どうなるのか見守りたいと思います。