恋人がよりにもよってみーぱんだからってわけじゃない。

 

みーぱんはいろんな子から尊敬されてるしはっきり言ってモテる。

 

握手会だって、みーぱんの列に並んでるのは専属モデルさんに憧れて来る女の子がそりゃもうたくさんだ。

 

だから可愛い可愛い後輩たちにたくさん囲まれるようなことがあっても不思議でもなんでもないし、私だって正直そういうのは大歓迎だ。

 

 

「みーぱんさぁん、机に手ぶつけて痛いです」

 

 

「ん、ほら見せてみ」

 

 

「はい」

 

 

「大丈夫大丈夫、ほらみーぱんが擦ってあげるからねぇ」

 

 

「ありがとうございまーす」

 

 

でも、気づいてほしい。

実はそれ、みーぱんに甘えたいがために近づいて来る子もいるってことを。

 

 

私は日向の中でもお母さんみたいだとか聖母だとか言われてるけど、私からするとそれはみーぱんにも十分当てはまると思っている。

というより私よりだいぶお母さんらしいのがみーぱんだ。

 

 

「みーぱんさん!自撮りお願いしてもいいですか?」

 

 

好ちゃんの次は美穂か。

いつもよく見る自撮りのお願いごと。

 

 

これもいい。

 

だってみーぱんと写真撮るといつもにこにこ楽しそうに映るからね。

私だって良くするし、1期生のみんなにも自撮りの人気者なんだ。

 

ロッカーに挟まれて抜けないだなんて普通は緊急事態なんだけど、それですら可愛く写してしまうのがみーぱんの素晴らしいところ。

 

慌ててる姿がもう可愛いし、お尻が挟まってイゴイゴしてるところなんてもう悶絶ものだった。

番組で披露しているときのニコニコ楽しそうなお顔も大好き。

 

っと、話が脱線しかけたけど

とにかく、みーぱんは後輩たちからすごく慕われている。

 

だから、ほらあれだよ、あれ。

それをいつも見せられてるこっちは嫉妬、そう嫉妬だ。

嫉妬しちゃうんだよ。

 

 

それをわかってくれないんだよみーぱんは!

 

みーぱんのことはずっと前から好きだったし、どんなところもどんな姿も全部が好きなんだけれど、一つだけ嫌いになったところがあるとすればその笑顔を振り撒きすぎるところだ。

 

私と付き合ってるのだから、少しくらい制限かけてくれてもいいのに、それをわかってくれない。

もっとほら、甘えさせなくちゃいけない存在がいるでしょ、ねえってば。

 

 

なんてもやもやして楽屋の机にもたれてるとまたもや危険分子がそろそろと近づいてきた。

 

 

危険分子3号河田陽菜。

 

 

その3号はあろうことか、座ってるみーぱんの隣席に座って頭を差し出した。

 

 

えぇ…!それはさすがに…

 

 

「みーぱんさん…眠いでぇす」

 

 

「んー、ほらしょうがないなぁ」

 

 

「なでなでしてくださぁい」

 

 

「なでなで」

 

 

ピキっという音が前頭部から聞こえた気がする。

 

 

これは駄目

 

さすがの聖母もこれは許すことができないよ。

 

 

だって付き合ってるんだよ、私とみーぱんは。

 

陽菜ちゃんは知らないかもだからしょうがないけど、みーぱんはそれを阻止出来たはずなんだよ。

 

私という彼女がいながら、膝枕して頭なでなで他の子にするなんてさすがに駄目でしょ!!

 

 

向かいの恋人のほうにそんな視線をぶつけるも、当人は己の太ももの上にある頭に夢中になっていた。

 

ひらっと垂れ下がった左の前髪を無意識に耳の上に引っ掛けるみーぱん。

 

私の一番大好きなみーぱんの可愛い仕草。

にこっと見を斜め25°に傾けて微笑む優しい表情。

 

 

そのどれもが自分以外の誰かに向けられてるのだと意識するといてもたってもいられなくなった。

 

 

むかむかが頂点に達する。

 

 

 

バァン!!!

 

 

思わず机の表面を両手で叩きつけて椅子を蹴った。

 

びくっと近くにいた数人がこちらを見る。

 

当然だよね、みーぱんと陽菜ちゃんも目を見開いてこっちを見た。

 

初めてこっちを見たみーぱんの顔はいつもの私の大好きなものではなく、とても悲しそうな色合いが強かった。

 

 

「さりな…?」

 

 

「……」

 

 

「あ、ちょっとどこいくのっ!?」

 

 

「知らない」

 

 

自分でもよくわかんない感情が沸々と湧き上がってきて制御できない。

あんなことした後でもそれは収まることを知らず、楽屋を出て廊下へと歩みを進めれば進めるほどに怒りは湧き出てきた。

 

 

膝枕だなんて、私でも数回しかしてもらったことないのに。

特別なものだって思ってたのに。

 

簡単にお願いされたらしちゃうんだ、みーぱんは。

それがショックだった。

 

 

まあ確かに、後輩たちに頼まれたら仕方なくやってしまうのはわかる。

それもみーぱんとあれば誰に対しても優しくて、面倒見のいい性格だからしょうがないのもわかる。

 

だから、そんな優しいだらけのみーぱんに恋してる自分が怖いんだ。

 

恋っていうのはこういう恐怖感を味わうものなんだ、ってそれを思い知らされたような気がして。

 

 

廊下をすたすた歩く自分の足取りはぶるぶる震えて一定では無かった。

 

もうどこかに止まってしまいたい。

 

階段の踊り場の下にたどり着いたときにはもう、立っていられなくなって膝を折った。

 

それとともに眉が上がらなくなって、涙が溢れてくる。

 

 

「さりなぁ!!」

 

 

「っ…」

 

 

「さりな、どうしたの!?みーぱんが悪い?」

 

 

「みーぱんは悪くない…」

 

 

「ううん、みーぱんが悪いよね?」

 

 

「悪くない…」

 

 

「絶っ対!!みーぱんが悪いよね」

 

 

自覚あったんだ。

自分で悪いことしてるって自覚が。

 

 

「なら、なおさらみーぱんが悪いよ!!」

 

 

「ごめんなさい」

 

 

「謝っても許さないよ」

 

 

みーぱんは丸くなった私の背中を優しく擦ってくる。

優しくて優しくて、いまはそれが一番痛かった。

 

 

「だって、さりな…2期生ちゃんと仲良くしてても怒らないから、ちょっと不安になって…」

 

 

「…え!?」

 

 

「ごめんねぇ」

 

 

「みーぱんも不安になってたの?」

 

 

「うん、でも謝っても許してくれないよね」

 

 

「ううん、許す」

 

 

「許す、…ってええ!?」

 

 

「私も同じように膝枕してくれるなら許してあげるよ」

 

 

「いいよ」

 

 

「じゃあ、今ここでして」

 

 

「えっ!今?」

 

 

「今じゃなきゃ許さない」

 

 

「うーん、わかった!!じゃあ今するね」

 

 

みーぱんは私の隣りで地べたに座り込んで正座を作ってみせた。

 

みーぱん、そんなところで座ったらせっかくの制服が汚れちゃうよ。

でも私が今じゃなきゃ駄目だって言ったんだよね…

 

 

本当にしてくれるんだ。

 

 

みーぱんはまだちょっと焦りが滲み出たような表情をしていて、それでいても笑顔を作っていた。

 

 

あぁ…私の好きなみーぱんの優しさだ。

 

 

私は這い寄ってみーぱんの膝に頭を落とした。

地べたに背中をつけてるから制服だめになっちゃうかもだけど、今はそんなの関係ないよ。

 

 

見上げると、大好きなみーぱんの顔がそこにあって、いつものにこにこ楽しそうに笑う表情だった。

 

さっき陽菜ちゃんにしたみたいに頭をなでなでしてくれて、幸せ気分いっぱい。

 

みーぱんは私の顔を覗き込んできて、それで自然に垂れ下がった前髪を片耳にかきあげた。

 

 

「戻ろっか?」

 

 

「ううん、もう少しだけ」

 

 

「さりな、寝ちゃうんじゃない?」

 

 

「寝てもいい?」

 

 

「いいよ」

 

 

ふふって笑い合って私は目を閉じた。

 

戻ったら、うんと甘やかしてもらうんだから覚悟しててよね、みーぱん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煌びやかもどほどに

 

 

 

 

 

 

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猫丸ポン太さんからのリクエストでみーぱん×なっちょでリアパロ

二人は付き合っていて後輩に人気のあるみーぱんになっちょが嫉妬する

というお題でしたー(*^^*)

 

日向坂小説は第3段で、しかも初出場のお二人でした。

 

みーぱんの呼び方って「さりな」で合ってますよね?

ちょっと不安になってきた…

 

ともかく、リクエストありがとうございました(*´ω`*)