ランサーエボリューションⅥ          RS トミーマキネン             エディション

概要

三菱ランサーエボリューショントミーマキネンエディション(以下エボ6.5)は三菱自動車がWRCのグループAに第2世代ランエボとして最後に出した車両であり、ラリーアートのエースドライバーであるトミー・マキネンが4年連続でドライバーズタイトルを獲得したことを記念して発売された特別仕様車である。三菱自動車が心血を注いで発売された特別仕様車両は如何なる力を持っていたのか。今回はそれに迫る。

性能変更点

エンジンはトラックにも採用された汎用性化け物エンジンの4G63だ。国内自主規制の280馬力を余裕で達成済み。トルクも38.0kg・mと盛りに盛ったもの。とはいえ、普通のエボⅥとエンジン周りには特段代わりはない。

しかし一方のターボではモディファイを加えられている。

一般のエボⅥはターボに対して、コンプレッサー側のホイールを縮小化、翼断面改良でトラクションのコントロールに効く中低速トルクが増強した。

RSではオプションでこのハイレスポンス・チタン/アルミ・ターボチャージャーが取り付けられた。

上記の通り、エンジンにはあまり手がつけられていない。しかし、ターボを交換するということはエンジンのマネジメントプログラムにも変更が及ぶこととなり、コストがかかってしまう。

これだけでも、三菱がエボ6.5に懸ける思いが分かってくるだろう。

他の部分ではマフラーが大径化され、出口形状も真円タイプにされた。

エボ6.5はターマック路線での発売が計画されていたのか、車高を10mm下げて挙動安定を図られている。なお、これもRSではオプション。普通はグラベル仕様の高さである。

そして、ストラットタワーバー取り付け、前サスペンション周りの剛性を上げる。

ステアリングにはクイック・レシオ仕様が取り付けられた。

厚くなった中低速トルクに安定感が増大した足回りにより、ジムカーナ、ショートサーキットでも恩恵を得ることができたはずだ。

外観

外観で真っ先に目が行くのは、やはり張り出したフロントバンパーだろう。

エボⅥの段階で開口部を開けて冷却性能を向上させていたが、エボ6.5

ではフォグランプを廃止してカナード形状を意識したデザインになっている。これにより、中高速域での空力性能が向上している。

ホイールはWRCのターマックにて使われている競技専用ホイールのレプリカの10本スポークのものを履かされている。

ボディーカラーは実際のワークスマシンで使われた パッションレッドの他にスコーティアホワイト、サテライトシルバー、ピレネーブラック、カナルブルーである。

このうち、パッションレッドの車にのみWRCストライブ、Rally Art ステッカー、スリーダイヤMITUBIAHIステッカー、リアスポイラーアッパーウィング部のホワイトカラー化などが施す、スペシャルカラーリングパッケージが用意された。

内装

ランエボ6.5の内装における一番の変更点はエボ6.5専用に作られたレカロ社製フルバケットシートだろう。

シートの頭が当たる部分にはT.MAKINEN EDITIONという専用のロゴが刺繍されており、レッドファブリック&エクセーヌの二生地を使う豪華な仕様だ。

さらにこの生地使いは後方にも使われている。

メーター周りはエボⅥが青色を基調としていたのに対し、黒色の盤面に赤文字&目盛りの専用カラーが用いられている。

ステアリング自体にはエボⅥと同様のMOMO社製本皮巻きステアリングだが、レッドステッチがあしらわれており、全体の赤基調が図られている。

中古車市場

古い情報となるが昨年2月の中古車市場では400万〜1000万円で取引されている。価格の幅が広い理由として、パッションレッドにのみ行われたスペシャルカラーリングパッケージにより、付加価値がかかっているためだと思われる。

まず、純正オプションでのスペシャルカラーリングパッケージが施された車両が少ないことと、ステッカー類が廃盤されたことにより、今からこの仕様を新しくすることができないことが、その希少性を上げている。

他のエボ6.5は300万〜600万円で取引されている。ものによっては発売当初の金額と変わらないものまである。

また、エボ6.5の価値が高いのは、状態の良さもあると思う。

無論、頭数が少ないので断言することはできないが、エボ6.5は限定車種ということもあってか、丁寧に乗られているものが多い。

対してエボⅥはジムカーナ用などで足回りなどが改造されているたり、変わっていたりするものが多い。

WRC

ランエボ6.5がWRCに参戦したのは2001年だ。実はこのとき、去年のラリーの結果が芳しくなく、ラリーアートは新しく他のメーカー同様、WRカーを導入する予定だった。しかし、たった1年での開発はあまりにも厳しいものだった。そのため、三菱はFIAに今年中にWRカーを導入することを約束し、グループAランエボに本来ならば取り入れることのできない項目を取り入れさせてもらえるように申し込んだ。それは、リアのインナーホイールハウスの拡大とそれに伴うリアサスペンション位置の変更。そして、エンジンのフライホイール軽量化だ。

こうしてランエボ6.5は2001年シーズンの開幕戦に参戦した。まずは、開幕戦をトミーマキネンが鮮やかに三連覇。第2戦のスウェディッシュラリーでは地元スウェーデン生まれのトマスラドストロームが初参戦ながらにして怒涛の第2位。大荒れの第3戦ポルトガルラリーではトミーマキネンが安定の走りでものの見事に勝利した。三菱のランサーエボリューションⅥはたった2点の改造で完全な復活を遂げたのだ。それだけでは止まらない。第4戦カタルニアラリーでは序盤にギアボックストラブルを抱えるも後半にトップに猛追して第3位。第5戦アルゼンチンラリーでも第4位という好成績だ。第8戦のサファリラリーでは緩急をつけた見事な走りで完全勝利に終わった。ランキングトップを独走したのだ。

このあとにランサーエボリューションWRCが登場するが、今回はここまでとする。

ランサーエボリューション6.5は三菱にとってトミーマキネンという名前を冠するだけある強力なラリーでの戦闘車であり、ステッカーもあったことから、かなりの本気度で造られた偉大なる車両である。やはり、いつか見てみたいと思わざるをえない。