幕見で。
昨日、浜離宮恩賜庭園に行ったのは正解だった。
書割の庭園風景と、昨日見たもの。
空想上の臨場感が半端ない。
今月初見時より、仁左衛門丈は流麗だった。
そう、いつもの仁左サマ。
姿に魅せられ、音に酔う。
魂の波動に圧倒される。
彼に喰らいつく、、どころではない高麗屋。
自分の芝居を確立し、松嶋屋に挑んでいるように見える。
そして高麗屋の魂の波動も、こちらに寄せて来る。
幕見席の高場も覆い尽くすような勢いだ。
物語をより深く理解できた。
綱豊卿が助右衛門に、内蔵助に、赤穂浪人に何を伝えたいのか。
いずれ天下を担うであろう、武家の頭領となるだろう人の侍心、了見。
私自身の心に深く突き刺さった。
芝居が現実生活とリンクした瞬間だった。
舞台に存在する神聖なもの。
尊いもの。
娯楽を超えて、人生や運命に肉薄するもの。
涙は止まらなかった。