夏になると思い出す風景があります。
それは北口にとって、人と人とのコミュニケーション、そして季語に似た風物詩を意識した原風景です。
灌漑用水を埋め立てた緑道の、小学校に近い場所に在った東屋で、
各々で楽器を奏でつつ、音でコミュニケーションを取っている、当時で大学生くらいであろう集団が居ました。
ある夏の日、偶然に、そして人生の中でのたった一度、北口は彼らに出会ったのです。
小学2年生だった北口にとって、見るもの聴く音のどれもが新鮮で、いつまでも飽きさせず、
ず~っとその楽しい時間が続いてくれたらいいのにと思っていました。
そんな時、気の利くメンバーの一人『脛毛さん(仮名)』が、コーラやファンタやアイスを買って来ました。
脛「みんな、まだ小さいから、お兄さんやお姉さんと半分づつだよー」
すると、その中で一番可愛くて、キラキラしていた『早苗さん(本名)』が北口に声を掛けます。
早「北口くんは早苗と半分コだよ~」
嗚呼。その時のコーラとアイスの味は今でも忘れられない特別の味でした。
そして今日、最寄のセブンイレブンで買い物をしていると、とても懐かしい物が目に入った。
そう、それは、あの夏の日に『早苗さん』と一緒に食べた『メロンボールアイス』と『たまごアイス』です。
『メロンボールアイス』はその名の通りメロンの形を模したアイスで、
ラベルを剥すと頭の部分が蓋になっていて、蓋を取ると中にメロンシャーベットが入っています。
当時『マスクメロン』なんて見たことがなく、せいぜい『プリンスメロン』くらしか食べた事の無い北口は、
蓋を開ける刹那に漂うメロンの香りに、ちょっと大人になったような気分でした。
夏の暑い日、北口はこのアイスをよく食べました。
食べ終わると容器を洗い、蓋に切り込みを入れて貯金箱を作ったりして遊んだものです。
そして『たまごアイス』は、厚手の小さなゴム風船の中にバニラのアイスが詰まっており、
その風船から押し出されてくるアイスを、チュウチュウと吸いながら味わいます。
吸い付き、吸い込む、それがどんなメタファーであれ、
やはりちょっとだけ、大人になったようなフィール、背伸びをした感じがしました。
『たまごアイス』は先端の突起を噛み切って穴を空けてもよいのですが、
上手に輪ゴムをとってあげると、風船が傷つかず、後で水風船として遊べたのでした。
久々に食べた『メロンボールアイス』と『たまごアイス』より、北口の記憶は呼び起こされました。
あの時の『早苗さん』は元気かな。幸せに暮らしているのだろうか。
今はもう、確かめる術も無いけれど。
薄っすらと、されど継続的に、北口は『早苗さん』の多幸を祈っているような気がします。
もしかしたら、あれが北口の初恋だったのかもしれません。<嘘。事実は1年8組の直美ちゃん。<馬鹿。
あの日はもはや、特別に戻りたいと思う日では無いのだけれど。
たった100円程度のアイスは北口にとってのタイムマシンになりました。
是非みなさんも、このコ達を手に取り、遠い記憶に浸ってみてください。
それは、遥かなるノスタルジー。もう二度と会えない人に会えるかもしれない記憶の旅です。
※この記事は実験的記事です。
本文に登場する人物・地名・備品は実際のものとあんまり関係が無いかもしれません(汗)