毎年恒例の西武鉄道横瀬車両基地の一般公開イベントに行って来ました。
(クハ3011/クハ5503/E854・横瀬車両基地・2016年11月5日)
横瀬駅に降り立つと、20000系「銀河鉄道999デザイン電車」が留置されていました。
(クハ20058・横瀬車両基地・2016年11月5日)
イベント会場への臨時列車に使用され、そのまま撮影会用に留置したものです。
(クハ20158・横瀬車両基地・2016年11月5日)
相変わらずのインパクト抜群ですね。
横瀬車両基地には電気機関車6両、電車6両、貨車2両、蒸気機関車1両が保存されています。このうち4号蒸気機関車は保存状態が悪く、シートを被せたままでした。またスム201とワフ105は見ることはできましたが、撮影しにくい状態だったので今回は撮影していません。
西武鉄道といえば4両の古典電気機関車が有名です。
E41形E43号機
(E43・横瀬車両基地・2016年11月5日)
E41形は元々青梅鉄道(後に青梅電気鉄道)が1926(大正15)年にイギリスから輸入した1号形電気機関車1号機と、1927(昭和2)、1929(昭和4)年に輸入した2号形電気機関車2〜4号機です。形式が違うのは自重が違うからだそうですが、結局、青梅電気鉄道時代に1010形に形式が揃えられました。
青梅電気鉄道が国有化された後、1011、1012号機は1950(昭和25)年に西武鉄道に譲渡されてE41形E41、42号機となりました。1013、1014号機は1952(昭和27)年にED36形1、2号機に形式変更されましたが、後に西武に貸し出され、そのまま譲渡されてE43、E44号機となりました。
E41形は1987(昭和62)年までに全機廃車され、このうちE43号機が横瀬車両基地で保管されています。ちなみにE44号機はJR貨物に譲渡されて新鶴見機関区で保存されていましたが、2015(平成27)年に搬出されたそうです。
E51形E52号機
(E52・横瀬車両基地・2016年11月5日)
元は1923(大正12)年に鉄道省(後の国鉄)スイスから輸入した東海道線用電気機関車1020形です1928(昭和3)年にED12形に形式変更されました。
1949(昭和24)年に西武鉄道に譲渡され、E51形となりました。
E51号機は1976(昭和51)年に廃車され、残ったE52形も1987(昭和62)年に廃車。以後横瀬車両基地で保存されています。
E61形E61号機
(E61・横瀬車両基地・2016年11月5日)
鉄道省が1923(大正12)年にアメリカから輸入した1010形電気機関車1010号機です。1928(昭和3)年にED11形1号機に形式変更されました。
1960(昭和35)年に西武鉄道に譲渡されてE61形E61号機となり、1987(昭和62)年に廃車されるまで活躍しました。
ちなみにED11形2号機はリニア・鉄道館で保存されています。
E71形E71号機
(E71・横瀬車両基地・2016年11月5日)
元々は鉄道省が1925(大正14)年にアメリカから輸入した1000形1001号機です。1928(昭和3)年の形式称号改正でED10形2号機となりました。
1959(昭和34)年に1号機が廃車となり、2号機のみとなりましたが、1960(昭和35)年に2号機は西武鉄道に譲渡されてE71形E71号機となりました。
E71号機は1986(昭和61)年に廃車され、以後保存されています。現在は国鉄時代のぶどう色に塗り直され、ED10 2のナンバープレートを装着しています。
E851形E854号機。
(E854・横瀬車両基地・2016年11月5日)
西武秩父線の開業に備えて1969(昭和44)年に4両新製されました。
私鉄史上類を見ないF級電機で、その車体デザインや駆動システムは国鉄EF65形をベースとして、重連総括制御を備えました。また台車は国鉄EF81形と同形の物を装着。これがE851形の形式名の由来となっています。
出力もEF65形と同じ2,550kWで、これは私鉄最大級です。
1996(平成8)年に西武鉄道が貨物輸送を廃止したため、E851形は廃車となりましたが、E854号機だけは解体を免れて保存されています。
(E851・横瀬車両基地・2016年11月5日)
E31形E31号機
(E31・横瀬車両基地・2016年11月5日)
西武鉄道が古典電気機関車を置き換えるために1986(昭和61)〜1987(昭和62)年にかけて4両新製しました。ちなみにE31形以降、大手私鉄で新製された電気機関車は、名古屋鉄道が2015(平成27)年に導入したEL120形まで存在しません。
車体はE851に似た近代的なスタイルですが、電車の輸送や工事列車などを牽引するためのD級機で、出力も520kWと控えめです。ちなみに台車は国鉄80系の廃車発生品を流用し、主電動機は西武351系の廃車発生品を流用しています。
2010(平成22)年で西武鉄道は電気機関車を全廃し、E31系も全機廃車となりました。このうちE31号機が横瀬車両基地で保存され、E32〜34号機が大井川鐵道に譲渡されました。
101系
(クハ1224・横瀬車両基地・2016年11月5日)
E851形と同じく西武秩父線の開業に備えて1969(昭和44)年から製造された通勤車です。101系は現在の西武の普通鋼製通勤車ではお馴染みとなっているレモンイエローのカラーを初めて採用しました。
1979(昭和54)年に、前面をモデルチェンジした新101系、新101系の8両固定編成版となる301系が登場。それと区別するために旧101系とも呼ばれているようです。
現在101系はワンマン改造された新101系を残して廃車されていて、旧101系は2010(平成22)年に全廃されました。その最後の先頭車がクハ1224です。
5000系
(クハ5503・横瀬車両基地・2016年11月5日)
西武秩父線の開業にあわせて運行を開始した特急レッドアロー号用の車両として、1969(昭和44)年から製造されました。
スタイリッシュな車体を持っていますが、実は駆動システムは101系と同じで、101系と併結することもできました。
後継車10000系が登場したことで1994(平成6)〜1995(平成7)年にかけて廃車されました。そしてクハ5503が横瀬車両基地で保存されています。1999(平成11)年に登場時の姿に復元されました。
なお横瀬車両基地にはクハ5504のカットボディも保管されています。
(クハ5504・横瀬車両基地・2016年11月5日)
こちらは電照式愛称表示版を装備した晩年の仕様となっています。
3000系
(クハ3012・横瀬車両基地・2016年11月5日)
1983(昭和58)〜1987(昭和62)年に製造された界磁チョッパ制御の通勤車です。西武の通勤車としては最後の3ドア車となりました。
3011編成は2009(平成21)年から「銀河鉄道999デザイン電車」として運用されましたが、2014(平成26)年に引退し廃車となりました。
3011編成のうち、クハ3011、モハ3212、クハ3012の3両は横瀬車両基地で保存されています。
(クハ3011・横瀬車両基地・2016年11月5日)
できれば初代と2代目を並べてもらえると嬉しかったな。
351系
(クモハ355・横瀬車両基地・2016年11月5日)
1954(昭和29)年に登場した501系のうち、1956(昭和31)年まで製造されたモハ501〜520は17m車体、サハ1501〜1520は20m車体で製造されました。
1957(昭和32)年以降は電動車も20m車体となり、1958(昭和33)年からは20m車体のモハ501 〜520を新製して、17m車と差し替えました。
そして17m車は機器を20m車に供出した上411系に形式変更されました。さらに1964(昭和39)年に351系に形式変更されました。
クモハ355は1973(昭和48)年に多摩湖線に転用され、1990(平成2)年まで活躍しました。廃車後玉川上水での留置を経て横瀬車両基地に移動。1998(平成10)年から登場時の姿に戻されて保存されています。
このようにいろいろな車両が保存されている横瀬車両基地は、いつ来ても楽しいものです。