西武10000系10112編成は何が違う? | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

西武鉄道の特急車両10000系は全部で12編成ありますが、最終編成の10112編成だけは、他の11編成とは仕様が異なります。

(「小江戸」クハ10712・中井〜新井薬師・2016年8月29日)

西武10000系は、初代特急車5000系レッドアロー号の後継車となるNRE(ニューレッドアロー号)として、1993(平成5)〜1995(平成7)年に11編成が製造されました。

1993(平成5)年11月に西武新宿線系統の「小江戸」に投入され、1994(平成6)年からは西武池袋・秩父線系統の「ちちぶ」「むさし」などに投入されて5000系を置き換えました。

(「小江戸」クハ10708・中井〜新井薬師・2016年8月29日)

10000系は全編成日立製作所で製造されましたが、主制御器、主電動機は101系、新501系、5000系のものを流用しています。

そのため、101系、500系と同じく電動カム軸多段抵抗制御方式と150kw出力の直流直巻主電動機、発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ(HSC-D)と抑速ブレーキを備えています。

なお新501系は、101系の主制御器から抑速ブレーキの殺していましたが、10000系への転用に際して晴れて抑速ブレーキ機能が使えるようになりました。

台車は種車のFS-372形、FS-072形のペデスタル式軸箱支持装置を緩衝ゴム式に改造したFS-542形、FS-042形を装着しています。

 

10112編成は2003(平成15)年に日立製作所で製造されました。外観では愛称表示器や行先表機器が幕式からLED式となったことが大きな相違点です。

(「小江戸」クハ10712・中井〜新井薬師・2016年8月29日)

それだけではなく、走行システムは20000系に準じたIGBT素子のVVVFインバータ制御方式を採用しています。主電動機は135kW出力の三相交流かご形誘導電動機を搭載しています。

台車はFS-372形、FS-072形をそのまま流用しています。

窓ガラスは熱線吸収ガラスを採用。シートも新形状となりました。シートについては10701〜10711編成も更新工事で10112編成に合わせられました。

ブレーキは電力回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキが採用され、その一方で抑速ブレーキは非搭載となりました。このため新製当初10112編成は秩父線に入線不可とされていたそうです。

電力回生ブレーキは架線に変換した電力を他の電車が消費することでブレーキ力を得ることができるのですが、逆に電力を消費してもらえないと回生失効して回生ブレーキが効かなくなります。もちろん摩擦式の空気ブレーキは使えるのでノーブレーキにはなりませんが、ブレーキへの負担は大きくなり消耗も進みますので得策とは言えません。

この問題は2007(平成19)年12月2日に吾野変電所と正丸変電所に、回生電力を蓄電する装置を設置したことで解決。現在は回生ブレーキを使うことができます。

10112編成も2011(平成23)年に小手指車両基地に転属して池袋・秩父線系統に使われたこともありましたが、現在は新宿線系統に復帰しています。

 

なお、西武NREはうるさいことで有名ですが、10712編成だけは静かですよ。