車両形式の付け方が鉄道会社によって様々なのは当然のことですが、そのなかでも変わった形式の付け方をしているのが富山地方鉄道です。
(モハ14766・稲荷町・2010年1月22日)
現在富山地方鉄道には自社発注車の10020形、14720形、14760形と京阪電鉄から譲渡された10030形、西武鉄道から譲渡された16010形、東急電鉄から譲渡された17480形が在籍しています。
これらの各形式ですが、上3桁が主電動機の出力を表しているのです。
例えばこの10020形は75kWの主電動機を搭載しています。
(モハ10020・稲荷町・2010年1月22日)
「75kWなら7520形じゃないの?」と思われた人もいると思います。実は主電動機の出力を馬力換算しているのです。
1kWをイギリス式馬力に換算すると約1.34102hpとなります。hpとはホースパワーのことです。で、75kWは約100.577hpとなります。
ちなみに馬力と聞けばpsが真っ先に思い浮かぶと思いますが、psは厳密にはフランス式馬力の単位です。1kWは約1.35962psで、75kWを換算すると約101.972psとなって少し差が出てきますので、おそらく富山地方鉄道の馬力はイギリス式を使っていると思われます。
一応他の形式でも検証してみましょう。
14722形
(モハ14722・電鉄富山・2010年1月22日)
110kW出力の主電動機TDK-803A形を搭載しています。110kWは約147.512hpですので理にかなってますね。
14760形
(モハ14766・稲荷町・2010年1月22日)
こちらも110kW出力の主電動機TDK-8205A形を搭載しています。
10030形
(モハ10043・稲荷町・2010年1月22日)
元京阪3000系の10030形ですが、狭軌の富山地方鉄道の入線にあたって台車を営団日比谷線3000系のFS-336形やFS-510形に交換しています。これらの台車に搭載されていた主電動機MB-3054形の出力が75kWなので、100030形となりました。
10030形の一部は、後に485系や419系のDT32形台車とMT54形主電動機に交換し、出力も120kWになっていますが、これに伴う形式変更は発生していません。
16010形
(モハ16014・稲荷町・2010年1月22日)
元西武5000系ですが、走行機器は西武10000系に流用されたため、富山地方鉄道には車体のみの譲渡となっています。
そして走行機器は485系のCS15形主制御器、DT32形台車、MT54形主電動機を搭載しました。
MT54形の出力は120kWですので、換算すると約160.923hpとなります。ということで16014形となりました。
仮に5000系の足まわりのまま入線していたとすると、出力は150kWなので形式も201010形になっていたのかも知れません。
17480形
(モハ17481・稲荷町・2014年1月26日)
元東急8590系です。主電動機の出力は130kWなので、換算すると約174hpとなります。
富山地方鉄道の電車の中では最強ということになりますね。
ちなみにこの形式の付け方は電気機関車も同様です。
(デキ12021・稲荷町・2010年1月22日)
デキ12020形の主電動機SE-173B形の出力は90kW=約120.692hpというわけですね。
なぜ主電動機出力で形式を分けたのかは不明ですが、山岳区間が多い富山地方鉄道ならではのルールみたいなものなのでしょうか?