水性ホビーカラーを使っていて困るのは、色の種類が少ないことだ。

 

特に、最近のキットは色がMr.カラーで指定されていることが多く、 それに対応する水性ホビーカラーがないと、色番号の欄が空欄になっていたりする。 (特にMr.カラーの100番台以降)

 

そうなると、Mr.カラーから水性ホビーカラーに移行してしまった身としては、 なんとかして代わりとなる色を探す必要が出てくる(アクリジョンも同様)。 そこで、近似として利用可能な色をまとめてみた。

 

なお、ここで記述したのはあくまでも近似色であり、当然ながら100%の対応を保証するものではない。 おおむね、それらしい色を並べただけである。厳密な対応が必要な場合は、他を探してみることをお勧めする。また、つやについては各自で調整されたい。

 

現在のMr.カラー 300番台以降の航空機カラーは、アメリカの装備品の塗色の基準になっている Federal Standard 595 の色調に厳密に合わせたものが多く、それらはFSで始まる5桁の数字で表されている。 しかし、それ以前のカラーでも、それなりに調査した結果そうなっているわけで、まるで使えないわけでもなかろう。ということで、100番台以前のカラーで水性ホビーカラーに相当するものを上げてみる。

アメリカ海軍機 (1950年代〜1970年代)

上面ライトガルグレー、下面ホワイト(その後全面ライトガルグレーに変わる)の時代。

 

空自のF-4EJファントムII旧塗装、E-2Cホークアイ、海自のS2Fトラッカーなども同様の塗色だった。上面ホワイト、下面ライトグレーの海自P-3C旧塗装やヘリなども、上下が入れ代わっただけだった。(関連記事:海上自衛隊機の塗色指定)

 

 

表1:アメリカ海軍機 (1950年代〜1970年代)
Mr. カラー 水性カラー 説明
C315 グレーFS16440
C325 グレーFS26440
H51 ガルグレー 上面色 ライトガルグレー。FS16440は光沢、FS26440は半光沢を示す。 Mr.カラーの前身であるレベルカラーが1970年前後から発売されたため、「現用アメリカ海軍機」と記述されている。当時は現物を基地祭などで容易に見られたし、基地外で写真を撮る人もいたので、そう間違った色でもあるまい。
C316 ホワイトFS17875 H21 グランプリホワイト
H1 ホワイト(白)
H11 つや消しホワイト
下面色 ホワイト。脚庫内、増槽、ミサイルなども同様。 厳密にはインシグニアホワイトであり、全くの真っ白というわけではない。 微妙に暗い色であり、H21 グランプリホワイトくらいでいいと思う。 気にならないなら、H1 ホワイトかH11 つや消しホワイトでも構わない。
C317 グレーFS36231 H57 エアクラフトグレー
H53 ニュートラルグレー
ダークガルグレー。コクピット内部など。ただし、空自の機内色としてはC324 ライトグレーが指定されている。
C327 レッドFS11136 H3 レッド(赤)
H13 つや消しレッド
脚カバーの縁、エアブレーキの裏側、A-4、A-6等のスプリッタープレートおよびインテイクリップなど。 厳密にはインシグニアレッドで、少し暗めの紅色。H3 レッド(赤)にH33 あずき色を混ぜるとそれらしくなる [現在、H3 (90%) + H33 (10%) で試行中]。
C304 オリーブドラブFS34087 H52 オリーブドラブ(1)
H78 オリーブドラブ(2)
爆弾など。一説によれば、H78 オリーブドラブ(2)が1943年以前の色に近く、H52 オリーブドラブ(1)がそれ以降の色に近いと言われている。ならばH52を使えばよいということになる。ただし、H52は半光沢でH78はつや消し。
C318 レドーム H27 ライトブラウン(タン)
H44 薄茶色
FS33613。タンや薄茶色あたりを混ぜて、それっぽい色にすればいいと思う。H1 ホワイトに H34 クリームイエローを混ぜていくと、クリームイエローの量が増えるに従って色調がアイボリー→ベージュと変わっていくので、その中間あたりでちょうどいい色を選ぶという手もある 。なお、レドームはホワイトやブラックに塗られていた場合もあるので要確認。

 

Mr. カラースプレーでの代用色

奇跡的というか何というか、ここで使われている色は、すべてMr. カラースプレーで代用可能である。次の表に詳細を示す。つやの違いはトップコートで調整のこと。

 

表2:Mr. カラースプレーでの代用色
Mr. カラー Mr. カラースプレー 説明
C315 グレーFS16440
C325 グレーFS26440
S11 ガルグレー 上面色 ライトガルグレー。半光沢。
C316 ホワイトFS17875 S1 ホワイト
S62 つや消しホワイト
S69 グランプリホワイト
S107 キャラクターホワイト
下面色 インシグニアホワイト。色合いは、グランプリホワイトが少し暗い。キャラクターホワイトも、ホワイトとは色合いが違うらしいが、よくわからない。つやは次の通り。
  • S1 ホワイト (光沢)
  • S62 つや消しホワイト (つや消し)
  • S69 グランプリホワイト (光沢)
  • S107 キャラクターホワイト (半光沢)
C317 グレーFS36231 S13 ニュートラルグレー  
C327 レッドFS11136 S3 レッド(赤)
S108 キャラクターレッド
キャラクターレッドは、普通のレッドとは色合いが違うらしいが、よくわからない。つやは、レッドが光沢で、キャラクターレッドは半光沢。
C304 オリーブドラブFS34087 S12 オリーブドラブ(1)
S38 オリーブドラブ(2)
使い方の注意事項は、水性ホビーカラーと同じ。
C318 レドーム S44 タン 使い方の注意事項は、水性ホビーカラーと同じ。

 

以下余談。

Mr. カラースプレーの色の選択は、いろいろと謎が多い。次に列挙してみる。

  • 基本色はそろっているようだが、なぜかブラウン(茶色)だけがない。2024年2月にはS59オレンジ(橙)が発売されたけれど……。
  • 最近は色指定に使われないS11ガルグレーが残っている。(個人的にはそれは嬉しいことではあるが。)若い人は何の色か知らないのではないか。
  • 第二次世界大戦中期のアメリカ海軍トライカラー迷彩に使われるS14 ネービーブルーはあるのに、中間のミディアムブルーがない……などと言っていると、2024年2月にはS72ミディアムブルーが発売された。これでトライカラー迷彩もスプレーで可能になる(下面はS69グランプリホワイトで)。
  • 第二次世界大戦中の日本海軍機の色は一通り揃っているように見えるが、なぜか明灰緑色(中島系)およびカウリング色がない。まあ、それぞれS35明灰白色(三菱系)とS92セミグロスブラックとで代用すればいいのだけれど。
  • 第二次世界大戦中のドイツ空軍機の色は、S115 RLM65ライトブルーおよびS117 RLM76ライトブルーしかなく、たくさんあるその他の色は全く存在しない。