一月往ぬる といいますが、早いもので今年も1/12が過ぎようとしています。

 

かぼちゃの馬車」(女性専用シェアハウス投資運営会社の経営不振、負債総額1000億円超?)、「はれのひ」(振り袖業者の約定不履行詐欺、負債総額10億円超)といろいろあるもんだなあ、と思っていたら、1/26(金)に仮想通貨急落。

 

「ないごて?」と思ったら、『コインチェックNEM不正流出事件』が起きていた、と。

02:57頃から不正流出が始まり、11:25頃にコインチェックが検知。

午後になって、NEMの入出送金停止、NEM以外のJPYを含む全ての通貨の出金停止、入金の停止と進み大混乱!

 

深夜23:30から東証で経営陣が会見。

・被害額は580億円相当のNEM

・東工大中退社長・和田晃一良(27)が実に頼りない置物ぶり

・代わって広報等を担当する取締役・大塚雄介(38)が説明するも

 「安全に最大の配慮をしてきた」

 「現在、実態の把握と今後の対応について検討中」

と言った抽象的な説明に終始する。

まあ、そう言うしかないよね、という感じ。

 

被害補償についても

「補償するのかどうか、補償する方法も含めてどう対応していくか検討している」

NEM以外の日本円と仮想通貨の保全についても

「確認中、検討中」

 

しかし、

「 株主も含めて協議が必要…」

というコメントにはワロタ。

報道陣にも突っ込まれてたけど、和田・大塚の両名が過半数を占める大株主なんだもん。

 

会見終了後は、

・CCに資産を置いている人は「これはアカん…」

・野次馬「メシウマァァァ!」

という雰囲気でした。

 

ところが、1/28(日)0:46に

不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償方針について

を発表すると、掌が180℃回転。

 

被害総額 : 5億2300万XEM(@110.9円、約580億円)
保有者数 : 約26万人
補償方法 : NEMの保有者全員に、日本円でコインチェックウォレットに返金いたします。
算出方法 : NEMの取扱高が国内外含め最も多いテックビューロ株式会社の運営する仮想通貨取引所ZaifのXEM/JPY (NEM/JPY)を参考にし、出来高の加重平均を使って価格を算出いたします。算出期間は、CoincheckにおけるNEMの売買停止時から本リリース時までの加重平均の価格で、JPYにて返金いたします。
算出期間  : 売買停止時(2018/01/26 12:09 日本時間)〜本リリース配信時(2018/01/27 23:00 日本時間)
補償金額  : 88.549円×保有数(総額:×5億2300万XEM=約463億円)
補償時期等 : 補償時期や手続きの方法に関しましては、現在検討中です。なお、返金原資については自己資金より実施させていただきます。

 

「マジかよ!」

ということで仮想通貨は暴騰。NEMは一時120円まで上昇。

 

さて、ここでネット雀が大騒ぎ。

「2017年、特に年後半の出来高とシェア、スプレッド(買って売ると10%近く)を考えたら、月に数百億円、年間の取扱高から数千億円儲かっていてもおかしくない」

「利根川方式じゃねーの?(返すとは言ったが、何時とは言ってない。 今回まだその時と場所の指定はしていない。 10年後…、20年後ということもありうる!)」 

「債権回収の基本は、いつ返済するか、その原資はの2つ。いつは明示なし、原資は自己資金というけど財務諸表の開示もなし。信用したらいかんよ」

 

論点、突っ込みどころが多々有り、推測・予想が面白すぎる。

 

■定量的な面

まず『金(内部留保、日本円)はあるのか?』でしょう。

・米国の取引所から仮想通貨を仕入れ、マージンを乗せて販売している

・仕入れた仮想通貨を自己保有している分は数十~数百倍の含み益の可能性あり

・取引に際し、スプレッドで儲けている

 

確かに出来高からみて、年間数千億円の収入があってもおかしくはないような気はする。

ただ、それは仮想通貨での受取のはず。

コンビニ・クイック入金、円・ドル出金は日本円の手数料になっているけど、これは大した収入ではないはず。

 

自己資金というのは大部分は仮想通貨の状態なのでは?

だとしたら、現金(日本円)化→460億円分というのはかなりの売り圧力になるのでは?

それとも、適宜、仮想通貨を現金(日本円)化していたとしたら、(今回の事件では損金(賠償)と相殺されるだろうけど、事件がなかった場合)多額の税金を払う想定だったの?

会計のことはよくわからないけど、スプレッドで受け取った仮想通貨をそのまま保有している場合は利益にならないんじゃないのかな?

ここは個人と法人で違うのか、よくわからないけど。

 

■定性的な面

CCがこの仮想通貨ブームで大儲けしていて、最悪でも自己資金で返済出来るのであれば、土曜の会見時にもっと余裕があったのでは?

そりゃ、仮に1000億円~2000億円の内部留保があったとしても、「▲560億円の損失!信用の毀損による顧客・資金流出による逸失利益が!金融庁の取引所登録が不承認で事業継続不可になる…」とショックはデカいと思いますけど、それにしてもあの社長の表情は…。

 

会見にしろ、補償方針の発表にしろ、財務諸表の発表がないので実態は不明のまま。

理屈では「当然、会社と顧客の資産は分別している」はずだと思うのですが、しょせんは私設の見做し取引所。

経営資金や自己売買に流用していてもおかしくない。

取り付け騒ぎになるからとか、万が一にもさらに不正流出が発生してはいけないから、という理屈はあるだろうけども、分別管理しているなら会員のNEMウォレット以外の日本円・仮想通貨の売買・出金は問題ないはず。

 

また、自社の不手際で相場が下落したにもかかわらず、その下落時の価格で補償するのを一方的に決定するのはどうなのか?

筋論としてはNEMを補償するべきだけど、NEMを調達すると価格が急騰してしまうのでそれは無理というのはわかるけど、だったら下落前の価格で補償するべきでしょう。

 

【ゆかぴょんの推測・予想】

定量的には、一千~数千億円相当の仮想通貨を持っている…んじゃないかと思うけど、日本円で数百億円は保有していないし、それを担保に資金調達も出来ないと思う。

ただ、時間をかければ、出来高的には仮想通貨の売却で十分資金調達出来るかと。

 

しかし、定性的にはあの社長の表情は「終わった…」だったと思える。

自作自演じゃねーの?という声もあるけど、もしそうだったら役者すぎるw

時価総額10位のNEMより、BTCとか複数通貨で不正流出が発生していたら、もう一桁違ったはず。

何より、これで金融庁の認可が下りることは無くなるだろうから、金を生む鶏を殺すようなもの。

スプレッド収入+(予想される)上場益を考えれば、割に合わない犯罪だと思う。

 

何より、それだけ儲かっているのなら、「何故、下落後の価格での補償なのか?自己資金があるなら下落前の価格で補償すべきでは?」「何故、セキュリティに金をかけなかった?」「何故、財務諸表を開示しない?」との疑問が残る。

 

金曜・土曜のわずか1日半で「460億円補償します」と決断出来る企業は、多分、東証1部には存在しない。

事実確認、被害確定、経営会議(+監査・法務・公認会計士)で検討・承認とそれなりの時間がかかるはず。

 

社長・取締役の二人で過半数の株を持つベンチャーだからこそ、ともいえるけど、考えられるのは

①「それぐらい余裕!」といえるほど儲かっていた

②「補償する(気はあるけど出来ませんでした、テヘペロ)」

 

「補償の原資はある」

または

「(返済する気があることを示しておけば)詐欺にはならない」

のどちらか。

 

会見時に、二人は過半数を占める株主のはずなのに、しきりと「株主と…」を連呼していたのは決定権が二人ではなくファンドの方にあるからではないのか?

 

だとしたら、「ファンドの立場で得か損か」で対応を決定しているのでは?

A.460億円補償しても存続する方が得

B.金融庁の認可は降りない→3月末で業務終了→だったら破産処理にして、NEM以外の預かり資産と合わせて処理しよう

 

いやあ、面白い展開になってきましたな、と思うゆかぴょんなのであった。ちゃんちゃん。

 

【追記】

21:08に大塚取締役が「(返金原資に関して十分な)現預金がある。めどは立っている」とのコメントした報道あり。

とはいえ、酔っぱらいの「オレは酔ってない」、痴漢の「オレはやってない」、経済事犯の「返済するつもりでした」は信用できない。


・財務諸表は見せられない。ざっくりとした数字も公開できない
・セキュリティを整える余裕もなかった
・セキュティ人材不足

・金融庁のセキュリティ不足の指摘、NEM財団推奨のマルチシグ、どちらも未対応

・他社が通っている申請に通らず見做し業者のまま
・社員の記載をHPから削除
・アフィリエイト停止
・全口座出金停止、入金のみ可
・自己資金で返金はするが期日は精査中

・補償についての問い合わせ先が消える
金融庁今回の報告では、支払い能力を確認できる説明はなかった
・現在、流出したネムを取り戻す方法を検討している

 

これではちょっと信用出来かねますなw

 

マスゴミも

「(業務上、虚偽の発言は命取りになる)顧問弁護士・公認会計士は承知されているんですよね、アナタのその『十分な現預金はある』というコメントを」

と突っ込むぐらいの芸は見せてほしいw

 

また、何故「JPY(円)」で補償する、としたのか?

・実際、現預金(円)があるから

・仮想通貨を担保に借り入れ、または売却で(円)を調達出来るから

・仮想通貨で補償とした場合、価格変動があるから

 

NEMで補償できないなら、(円)で補償するのが一番スッキリしますが、法人が数百億円を現預金(円)のままで保有してることがあるのかな?そのままでは何も生み出さないのに?

また、どうやって現金化したんだろう?

スプレッドとして受け取った仮想通貨は一定額を残して買い注文にぶつけて売っていた?

だとしたら、(売買高が低かった一昨年はともかく)2017年度分は相当な金額が課税されることになるはずだったってこと?

 

ところで、何故NEMだったのだろうか?と考えると、NEMではビットコインなどでいうマイニング(採掘)に相当するハーベスティング(収穫)というものがあります。

株でいう配当みたいなものですが、 PoIスコア(重要度、残高の大きさやNEMのネットワークに積極的に参加によって高くなる)によってNEMが貰えるとのこと。

 

もし、CCが分別管理しておらず、預かり金をNEMに変えて自社保有分としていたら?

そして、ハーベスティングするためにホットストレージ(ネットに接続された状態で保管)だったことを内部の人間が知っておりハッカーと共謀したのなら、「CCで」「NEMが」「ハッキングにより不正流出」する必然性があった、といえるのかな、と。

CCが「顧客の預り金もNEMも自社分のNEMに置き換えといたら、ハーベストでNEMが一杯貰える!」と皮算用していたところに不正流出、だったら「嗚呼、終わった…」となるんじゃないのかな、と。

 

その場合、「(補償する気はないけど)補償します」と発表して時間を稼ぐ。

「(補償する気はないんだけど)下落後の価格で補償する」としておいた方が「下落前の価格で補償しろや、ゴルァ」と揉めてより時間が稼げる。

金融庁の業務停止、あるいは業務再開後の資金流出で資金枯渇→うーん、残念、頑張ったけど破産シマース、なのかな、と。

 

まあ、これまた妄想でありまするw

さて、明日はどっちだw