アメリカ経済は、トランプが打ちだす予定の大幅減税、公共事業投資、規制緩和などへの期待感から空前の株高、実質完全雇用の達成などトランプラリーに沸いている。少なくとも内外のメディアからはそう報じられている。
だが、それは単に表面をなぞっているにすぎず、トランプ景気はアメリカ経済を新たな危機に誘導しているのが実相である。
端的に言えば、アメリカはこの秋、株の暴落に晒される。
==(以上、内容紹介の一部を引用)==
アメリカ在住の投資ファンドマネージャーである大竹氏の警世の書。
リンク先の内容紹介でも書いてある通り、大竹氏は『自分の予測に基づいて一〇〇%のポジションは組まない。メインのシナリオはじめ常時四、五本のサブシナリオを立て、それらがどれほどの確率があるかに応じて、それぞれのポジションを組むのが流儀である。』とのことなので、その点の注意は必要です。
(メインシナリオ)
コストプッシュインフレにより秋頃に米国市場は暴落、日本市場も円高/金利急騰/資源高により暴落する、というもの。
その根拠は以下の通り。
◆現在アメリカは好景気だが、コストプッシュインフレが近づいている。
ex.非識字率13%のアメリカで4%台の失業率はほぼ完全雇用
ex.銅を始め、鉱物資源の価格が上昇し、製造業のコストと製品価格に転化され始めている
◆FRBは3月に利上げしたが、今年あと3回前後利上げせざるをえない(しないとインフレになってしまう)が、それは景気を壊してしまう。
◆米国債のイールドカーブがフラット化し、逆イールドカーブに近づいており、将来の暴落を予見した状態に近づきつつある。
※逆イールドカーブとは…
イールドカーブ(利回り曲線)で信用リスクと通貨が同一の債券の利回り曲線が右肩下がりになっている状態のことを指します。つまり、期間が長くなるほど金利が低下する減少であり、「短期金利>長期金利」となっている経済状況を指します。対義語は「順イールド」で通常の経済状況では金利は順イールドとなることが多いです。
日本では、逆イールドが確認されたのは1989年から1991年にかけてのバブル崩壊後で、この時期は将来的な景気の悪化による政策金利、長期金利の将来的低下が容易に予測されたためです。また、アメリカでも2006年ごろには政策金利(短期金利・FFレート)よりも、10年の米国債(国債)の金利の方が低いという逆イールド状態となっていました。
逆イールドが発生する条件としては「目先のインフレ懸念が強い」「短期金利が急騰している」などがあげられます。
(サブシナリオ)
トランプ減税が実施され、発生した余剰資金が市場に流れ込み、暴落は避けられる。
この場合も、資金が実物資産に向かい、資源価格が上昇することになる。
著者は、米国株は既にほとんど売却し、資源株にシフトしているとか。
【ゆかぴょんの感想】
大竹氏は恐慌芸人ですからなw
相場には上げ下げがつきものですけど、wikiで著書のタイトルを見る限り、「上げ潮じゃぁぁ!!買い!買い!買い!」というものはありません。
経済/株式評論家は、「買い」もしくは「売り」一辺倒しかいないのは何故なんでしょうね?
己のスタンスを貫いて外す分にはいいけれど、スタンスを買えてテンコシャンコになったら、評論で喰っていけないから…じゃないかとゆかぴょんは思っています。
(ここからは買い!ここから先は売り!とスタンスを切り替える評論家がいたらコメントください)
1998/8-1999/6に出版された「ジパン戦記」シリーズでは、日経平均は1万円割れると主張し、ITバブルで2000年4月にNK2万円を挟んで、翌年911で実現しました。
でも、それ的中とは言えないですよね?
2005/05には『日経平均4000円時代が来る』を出版。
ご存知、2005/08には小泉・郵政解散総選挙を機に日経平均は1万8000円台まで駆け上がり、翌2006/01ライブドアショック→2007サブプライムショック→2008/10リーマンショックとなり、日経平均7000円台へ。
2009/11には『日本金融恐慌 間奏曲~日経平均4000円時代が来る』を出版。
民主党政権下で株価は低迷、2011/3に311で日経平均は8000円台へ。
この3つの事例を見るに、大竹氏が警告した時点から
・株価の天井はまだ上である(さらに一相場ある可能性すらある)
・そのピークがいつ、どれくらいになるかはともかく、1年後には下げ相場入りする可能性が高い。
といったところでしょうか。
「頭と尻尾はくれてやれ」的な考え方でいけば、
・買いポジションは縮小
・下げ相場になったら、何を買う(売る)か、上げ相場で安くなっているものは何かを検討、仕込んでいく
ではないかなー、と。
資源株、既に騰がっているものもありますが、金鉱株・原油株なんかどうでしょうね?
そして、資源が上がるなら、ギリシャ株に次いで割安に放置されているロシア株なんかどうでしょう。
トランプは、ブリュッセルに訪問した際に『 欧州諸国に対する国防予算増額要求を前面に出し、「払っていない」、「支払え」と連呼』 したと報じられています。
そして、 ドイツ製の自動車が米国市場に溢れていることを指し、『「ドイツは悪い、非常に悪い」、「これは止めなければならない」』と述べたと報じられています。
米欧の関係に亀裂が入れば、欧州はロシアと手を結んで経済制裁の解除の方向に進む可能性が高まる…というシナリオも描けます。
それと、これはタイミング次第ですが、VIX指数や日経平均先物の売り、putオプションの買い、日本債券ベアファンド(5倍型)なんかもどうかなー、と。
ただ、大竹氏のメインシナリオで気になるのは、景気悪化→恐慌といえるような暴落となるのなら、資源価格は上昇しないんじゃね?ということ。
(ニワトリとタマゴで、資源価格が上昇すること→コストプッシュインフレ→景気後退→恐慌(&資源価格暴落)という予測なのかもしれませんが)
リーマンショックの時みたいに、株価が下がれば金・原油・その他資源も同様に暴落するんじゃないのかな?
(金は逆相関で上昇するのかも)
うーむ、ここ数年CP高めのまま、ほとんど無為に過ごしてきたゆかぴょんだけに最高値近辺でフルインベストメントに切り替えるのは抵抗がある。
買うべき時に買ってなかったという失敗は失敗として素直に認め、ならば大縄跳びのように「お嬢さん、お入んなさい」のタイミングを見計らって、上昇したら持ち株を売却していき、安くなったら買いを繰り返すようにすべきではないのかなー、と考え中なのであった。ちゃんちゃん。