『鉄鍋のジャン!』というマンガがある。
「料理は勝負!」をモットーとする悪人顔の中華料理人、秋山醤が繰り広げるピカレスク料理バトル漫画なのだが、ライバルや敵役の料理人もそれぞれポリシーを持っている。

曰く、
「…は心」
「…XO醤」
「…は成仏」
「…は変幻自在」
「…は科学」
「…はパワー」
「…はコテコテ」
「…は伝統」
「…はユニヴァーサル」
「…は半歩先」
「…は傾向と対策」

調理法に正解はないように、投資法もまた正解はない。
ファンダメンタル分析、チャート、需給、成長株投資、バリュー、ボロ株、順張り、逆張り…。
それぞれのスタンスで臨めばよいのである。

ただ、ゆかぴょんが、これだけは常に正しいと思っている基本がある。
曰く
「一寸先は闇」
「投資は…とちゃうか?」
「投資は半歩先」
の3つである。

順番に解説していくと、まず、
「一寸先は闇」
これは、未来のことは誰にもわからない、ということ。

もしも、確度の高いインサイダー情報、例えば、政府が10兆円の財政支出をするとか、日銀が為替介入を行うとか、A企業とB企業の強者連合の合併をするなどの、発表をするといった情報を事前入手出来たとする。
しかし、それとて何かの都合や情報の事前漏洩を嫌って中止になる、あるいはその情報の真偽の問題がある。
そして、その情報が真と判断したとて、Aという情報が真ならB(株が騰がる/下がる)となる可能性が高い、ということに過ぎない。

911や311を予見できた投資家はいなかった。
短期の、突発的な未来は予想困難だというのは誰しもわかるであろう。

長期的な予想が短期に比べれば簡単か?というのも、また誤りである。
これは「百年予測」の受け売りだけど
1900年代初頭の「日没することなき帝国」英国が、隆盛著しいドイツが、わずか20年後の第一次世界大戦後にはどうなったか?
いや、そもそも、世界を支配していた西洋の没落が始まろうとは、その時点で予見できたであろうか?

そして、第一次世界大戦後、莫大な賠償を押し付けられ、国土をズタズタにされたドイツがそのわずか20年後には再び欧州を席巻することを予見できたであろうか?

そして、第二次世界大戦後、国土が焦土と化したドイツと日本が再起し、世界有数の経済大国となる日がくることを予見できたであろうか?

そうして考えると、未来を予測するのはなかなかに難しい。
だから、未来を予測するのは大事だし、好きなんだけど、その自分の意見に執着してはいけないのである。

(つづく)