おやぢの語り(騙り)は続く。


「日本の人工知能、自動運転、ロボット関連はどんなとこを狙ってまっか?」


「いや、あんまり自信ないけど、銘柄は少ないから、あとは中身を精査してタイミングを計る、かな」

「特に自動運転関連は、技術よりも規制や法的対応なんかのハードルが日本だと高そうだから、技術的には出来たのに、アメリカに先を越されて、世界標準を抑えられて、ということは知財も固められて、日本企業は要素技術や部品の輸出程度、おやおやスマホと同じじゃーないですかwwてなことになりかねないなー、というリスクがあると思うよ」

とそっけない返事。


「あと、他に言ってたフロンティア、バイオとか宇宙ってどうですか」


「バイオはねえ、どうしたって、数が多くて、当たり外れが多いでしょ。例えば、ギリアド・サイエンスなんか、時価総額で世界の上位50位内に入ってるわけですよ。あまたある泡沫メーカーの中から、それを引き当てる自信があるのなら、いいですけど。数多く買う、あるいは低迷している時にいつかバイオ祭りが来ると信じて網を張っておく、ぐらいかなー。インサイダー情報が入手できれば別だけど」


「ふーん、まあ、そうですねえ。どの銘柄も夢が広がりんぐ、な絵は描いてるものの、実現するのは一握り、ですもんねえ」


「指数を買う、ポートフォリオを組む、だとパフォーマンス的にはどうなんだろ、と思わざるをえないわけですよ」


「ふむふむ、それでは宇宙は?」


「宇宙もねえ、多分、投資サイクルの段階というものがあって、軌道エレベーターを建造して安価に宇宙に進出できるとか、月や小惑星から資源を回収できるとか、宇宙でしか製造できない物質の製造工場をつくるとか、コロニーを建造して移住するとか、それがいつ頃かというと・・・・・・」


「まー、10年やそこらの話じゃーないですわな」


「とすると、それが現実味を帯びてきたら宇宙開発バブルが発生するだろうけど、それってどのタイミング?ちゅう話ですわ」


「確かにねー」


いやー、この後、アベノミクスの行く末の話もしていたのだが、時間切れでお開きとなった。

次の機会にまた聞いてみようと思う。


それにしても、このおやぢ、朝礼にしろ、会議にしろ、よその部署からの電話応対にしろ、なんつーか使えねー感ありありのぎこちない応対しか出来ないのに、相場談義となると生き生きと理路整然とそれなりの納得感のある説明をしおるのであなどれん。


たぶん、本部長や部長や課長の方が仕事は100倍出来るだろうが、それらの人間に経済の見通しを語らせたら、多分、おやぢの10%ぐらい言えたら大したもんだと思うぞい。


ま、本部長や部長や課長に言わせたら、

「そんなこと考えてる暇があったら、契約の1件でも取ってこい」

になるんだろうけどさ、それって、サラリーマンの発想であって、ビジネスマンの発想じゃーないと、ゆかぴょんは思うんだよね。


状況が量的努力で何とかなるのなら頑張るだけでいいけれど、環境が変化して質的努力をしないといけなくなった時、ま、本部長や部長や課長もそれなりには出来るだろうけど、普段はそれを無視する土壌の組織と日頃から量的努力と質的努力について考えている組織とでは、結果は大きく違ってくるんじゃーなかろうか。


給料泥棒だからといって、侮ってはいかんなあ、と思ったゆかぴょんなのであった。

ちゃんちゃん。