ようかいの村には年に一回だけ電車が通ります。


だけど、どこから来てどこに行くのか誰も知りません。


モモノちゃんは、今年は電車が来たら乗ってみようと思っていました。



ホームでキスしているカップルを見ながら、ずっと電車を待っていると

電車が来ました。


だけど人がぎゅうぎゅうで大変。


そのうちだんだん降りていって、海辺の駅で、モモノちゃん一人になりました。


ずっと乗っていたら、車掌さんが回ってきて

「キップを拝見」というので

キップってなんだろう、きっとキッスの仲間だ

と、おもったモモノちゃんは、車掌さんのほっぺにちゅっとキスをしました。


車掌さんはびっくりして、小指くらいの大きさになってしまいました。


モモノちゃんは、

ちょっと大胆すぎたかな?手の甲にキッスとか、投げキッスくらいでよかったのかもしれない

と思いました。


そのままずーっと乗っていると、

夜になってしまいました。


周りはどんどん田舎になって

外は真っ暗。

はたして電車が走っているのか、ただゆれているだけなのかも

わからなくなってきました。


モモノちゃんは、いつのまにかウトウト寝てしまいました。




目を覚ますと、ようかいの村駅に戻っていました。


びっくりしたモモノちゃんは、小さくなった車掌さんに

「何で戻ってきちゃったの?」

と聞きました


「終点まで行って折り返しました」

「終点てどこ?」

「夢の国です」

「ああ、なっとく」




おわり