新型コロナウイルスの影響

いまやドラッグストアもコンビニも

マスク棚は空っぽです。

 

神戸の病院ではマスクが6千枚盗難にあったというニュースも流れました。

 

マスクがあってもなくても

今回のコロナに関してはちょっとしたスキをついて感染が起こるようなので

感染を避けること自体はなかなか難しそうですが

 

体内に入ってきたウイルスをそれ以上増やさない

感染しても発症させない

発症しても長引かせない

 

といったことができるとすれば

 

日頃から自分で自分の免疫態勢を整えておく

ということでしょうか。

 

 

がんの温熱療法というのは昔からありましたが

がんに対抗する免疫細胞の種類と

ウイルスやウイルス感染細胞に対する免疫細胞の種類は同じなので

 

温熱療法はウイルス感染症に対しても使われます。

 

例えば、

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対しては

古くから全身温熱療法が注目されてきました※。

 

Yatvin MB et al. Shedding light on the use of heat to treat HIV infections. Oncology 1993  Vol. 50, p380-389.1993

 

20年ほど昔に

猫エイズの原因ウイルスであるネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染猫や

猫伝染性腹膜炎を起こすネココロナウイルス(FIP)感染猫に

全身温熱療法を試みたことがありました。

 

いずれも治療法のない致死的なウイルス感染症でしたが

特にFIVCD4+T細胞の遺伝子の中に

ウイルス自体の遺伝子が組み込まれてしまうので

100%退治することは当時不可能で

(現在はゲノム編集技術が進化していますが…)

 

リンパ球中に潜んでリンパ節に隠れたFIV

宿主の栄養状態が悪くなったり老化が進んだりすると

またワッと増えるということになるのですが

 

猫たちも発熱範囲までマイルドに体温を上げてやると

免疫が必要な状態に維持され

ウイルスの増殖を抑えて

免疫不全状態(AIDS発症)を先延ばしできる

ということがわかっています。

 

ただし

いくらでも高体温にしてやればよいかというと

がん治療の場合同様そういうわけではなく

炎症性のサイトカインが爆発的に産生される

サイトカインストームのような状態はなるべく避けるように

 

安全範囲の中で穏やかに血液を循環させて

一気に体温が上がらないように調整します。

 

 

家庭で誰でもできるのはお風呂での全身浴です。

 

が、気をつけなければいけないのは

家庭内の事故が最も多いのもまたお風呂だということです。

 

室温の低い冬場は特に

血圧の乱高下による入浴事故にはくれぐれも気をつけなければいけません。

 

早く体温を上げようとして熱いお湯に入るのはキケンです。

最初は40℃を超えないくらいのお湯からスタートして

10分くらい浸かったら少し湯温を上げていきます。

 

さら湯のままだと刺激があって

交感神経に影響を与えやすいのでこれもキケンです。

マイルドかつ効率よく血液循環をよくしようとするならば

クエン酸と重曹を使った入浴剤を投入したところへ足の先からそっと入湯し

老眼では見えないような微細な炭酸ガスの泡が出るのをしばらく愛でた後

(ボコボコ大きく泡立つような炭酸ガスは割とすぐに空気中へ飛びがちです)

重炭酸イオンと水素イオンを含んだ刺激のない中性のお湯に変わるのを感じながら

ゆったり浮かぶのが

これまでの実験結果からはおすすめです。

 

今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19

罹患した患者さんも

隔離中の感染疑いの方も

ご無事をお祈りするばかりですが

 

不眠不休で治療にあたる医療関係者の方や

地方衛生研究所でミスの許されない検査を受け持つ方も

どうぞ免疫が弱らないように

夜はせめてどこかで湯舟に浸かる時間がとれますように。。。

 

※FIV感染猫に全身温熱療法を行ったところ、リンパ球が増えた状態がしばらく維持されています。

オレンジ色の折れ線がリンパ球数です。