(この記事は2017年7月に書いたブログの再掲です)
「最近、うちに妖怪が現れるみたいなんだよ」
朝食を食べながら、家人が真剣な顔で相談してきます。思わず私も真剣に答えます。
「え?どんな妖怪?」
「あれ……枕返だと思うんだよね……なにか悪いことがおきないといいんだけど」
さて、妖怪『枕返』とは?
水木しげるの『ふるさとの妖怪』(現代教養文庫1988年初版発行:社会思想社)から抜粋します。
……
夜ぐっすりと眠っているうちに、枕が東西ひっくり返ってしまうことがある。しかも決して寝相が悪いというわけでもない。枕だけがひっくり返っているのだ(中略)
この枕返があらあわれると、その家では何かのわざわいが起こる。その人が病気になったり、近いうちに事故にあったり、家が焼けたりするというのである。
………
まあ怖い!
確かにここのところ、朝起きると、隣で寝ていたはずの家人が見当たらず、あらぬところで寝ていることがよくある……何か悪いことが……って、ん?
確かに家人は見当たらぬが、枕はちゃんとそこにある。
枕は1ミリも動いていなさそう。
というわけで、夜じーっと家人の動きを観察。
最初はおとなしく定位置に寝ている家人。
しかし、2時間もするとむっくり起き上がり、もそもそトイレに行く。
意識はほとんど無いのか、あちこちにごんごんぶつかる音がしている。
戻ってくると私の足元にネコのように丸まって寝る。
そのうちまたもぞもぞ動きだして、布団からはみだして、フローリングの床に身体を押し付けて寝る。
身体が痛くなってきたのか、明け方になるとまた布団に戻って寝る。
ただし寝入ったときとは、頭と脚の位置が逆……。
うん、それ妖怪のせいじゃないと思う
しかしなんでそんなに動くのか、家人が動いたあとを追ってみると、エアコンの風が当る位置や、ひんやりした場所を求めて無意識に移動していたことが判明。
ネコかよ。
(上の図は男の子の場合の取穴部位になります。女の子は左右逆になります)
そんなわけで、エアコンの夜の設定温度を黙って2度ほど下げて、ついでに寝る前に家人の背中に小児斜差の灸(しょうにすじかいのきゅう:主に小児疾患、特に疳の虫に効くと言われています)をしてあげたところ、我が家から妖怪はすっかりいなくなりましたとさ。
店主
あいざわゆ
きこ