「ギョンスさん…わたし、、、彼氏がいるんです、だから…ごめんなさい」

好きになりかけてた…
ううん、、、もう、

完全に好きになってた。

でも…

やっぱりこれは間違ってる。

だから…


バイバイ。。。






ザーーー…
ザザーーーーー……

冷静になったおかげで
少しだけ開いていた窓から
水の音がクリアに聞こえてきて

初めて外が雨だった事を知る。


室内には雨音だけが響いていて二人の沈黙が続く。









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「…知ってました」

長い沈黙を破ったのは、ギョンスさんの落ち着いた声だった。


「エリさんに…恋人がいる事…わかってました」

え…
…それって…どーゆー…

「昨日、菜々緒さんから聞いて…」

あ〜…菜々緒…。
そんな事まで話してたんだ…(汗)

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「でも…それを聞いて…逆に…あぁ…日本語難しいな…。ん〜、ジェラシー…そう、ジェラシーが僕の中に生まれて…」

…ジェラシー?

キョトンとするわたしに向かって。

「こんなこと初めてだったから…。自分の気持ちを確かめる為に…エリさんを誘いました」

「えっ…でも。映画を観たかっただけなんですよね?」

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「もちろん、映画もですけど。とにかくエリさんと二人になりたかった…」

照れながらそう話すギョンスさんに。

すっかり消え失せたはずの幸福感が、心の中でまた増殖を始める。


なんて単純な女なんだ、わたしって。



…でも

「さっきの電話って、、、彼女さん…ですか?」

ハッキリさせておくべき事がある。


そのストレートな質問に対して、ギョンスさんから瞬時に笑みが消えて

真顔になった。


「…はい。ソウルにいる僕の彼女です」

ほら…やっぱり。。。

そしてまた、わたしの中に、嫉妬の渦が巻き始める。



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「でも最近は…喧嘩ばかりで。もうダメかもしれない…」

ギョンスさんが、ふっと悲しげに微笑む。

その顔を見たら。
胸を占領している嫉妬心よりも
なぜか彼の寂しさが強く伝ってきて

「喧嘩するのは、お互い寂しいからですよね?」

自分の口から、そんな言葉がこぼれた。



わたしのその言葉に。
ギョンスさんはちょっと驚いたような表情をしてから、また、ふわりと笑って。

わたしを胸の中に引き寄せた。


…こういうとこが…ホントずるい…。。。

ギョンスさんの体温と
匂いに包まれて
安心するのに泣きそうになる。。。

なんでだろ…。


でも、、、
寂しかったんだよね…ギョンスさん…
わたしには測り知れないほどの
あなたのその寂しさを

わたしが和らげてあげられるなら
癒してあげられるのなら

わたしをいくらでも利用してもいいよ…


でもさ…
女のカラダって…正直なんだよ。
女って生き物は…厄介なんだよ。

カラダと心が太く繋がっていて。

朝まで絶えずギョンスさんから与え続けられた
カラダへの悦 びを
心も同じように欲しがってしまう。

まるでパブロフの犬のように。。。

だから今
こうしてギョンスさんの胸の中にいると
またギョンスさんを欲しくてたまらなくなる。


ギョンスさんのカラダも心も
両方欲しくなっちゃうんだよ。。。


それでもいい

って事なんだよね?



《お互いに恋人がいる》

今、ハッキリとわかったくせに。
わかったからこそ。

このまま二人の関係を終わらせたくなくて。
どうしたら続けていけるんだろうって。

なぜか、そう考えてしまうわたしは最低な女だよね?

わたしって…そういう女だったんだって。
ギョンスさんのせいで、初めて知った。



それでもいい…。

それでもいいから…


「ギョンスさんが欲しい…」

自分から、ギョンスさんの唇を強引に奪う。


一瞬驚いたように目を見開いたけど、わたしの押し付けた唇を優しく包み込むように受け入れてくれるから。

わたしはもう、止まらない。


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ガラスを叩きつける雨の音が激しくなり。

私たち二人の昂りも強くなる。

その唇は…今までに感じた事のないくらいの幸福感をたくさんわたしに注いでくれる。

甘くて深くて優しい、濃厚な蜜の味…。
理性を麻痺させるそんな魔法に、本能がまた暴走を始める。

鼻と鼻がたまに擦れると、その度に、ふふっと微笑むギョンスさんがたまらなく愛おしい。



彼女にも…こうしてるの?

暴走した本能に嫉妬のスパイスを効かせて。

わたしは、ギョンスさんに乗っかるようにして押し倒し、上に跨って自ら服を脱ぎ捨て、私たちの間を邪魔するTシャツをギョンスさんのカラダから強引に剥ぎ取る。


シンデレラタイムの終了なんて、関係ない。
自分でまた再開させればいい。


今だけは彼女の事を忘れて?

ギョンスさんの寂しい気持ちを…
わたしが共有してあげるから…


そんなわたしに対して
何かが吹っ切れたような顔になったギョンスさんが。

今度は、わたしを組み敷いて

「僕…なんか変です…」

そう囁いて、わたしのカラダに指をゆっくり這わす。

「エリさんを…僕だけのものにしたい…」

下半 身に到達したギョンスさんの指が、ゆっくりとショーツをずらして、秘 部にあてがわれる。

「…ダメですか?」
「…んっ…ダメ…じゃ…ない」

強く擦られたと思った瞬間、遠慮なく中に入ってきたギョンスさんの指。

あぁ…どうしよ…
すごく…いい…

「エリさんの感 じてる顔、僕にたくさん見せてください」

わたしの顔をジッと見つめたまま
指を動かし続けるギョンスさん。

…は…恥ずかしい…。。。

思わず顔を横に逸らすと、

「逸らさないで…ちゃんと僕の目を見て…」

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片方の手でわたしを自分の方に強引に向かせると
わたしの目をジッと見つめてくる。


…そんな目で…見ないで…
ギョンスさんのその熱い視線だけで…
おかしくなっちゃう…


もう片方でゆっくりとわたしの中を掻き 回すギョンスさんの指は。
一本また一本と増えていき、スピードも少しずつ増してきて
わたしのカラダはそれに正直に反応する。

「ん…あっ…ダメ…やめて…んんっ」
「…エリさん…今…すごくいや らしい顔してる…」

わたしのカラダの熱に合わせるように
リズムを変えるギョンスさんの動き。

「んっ…ダっ…ダメダメ…もうダメっ…イッ…」
「僕の指で気 持ちよくなって」

……!!!

そのままギョンスさんの指に導かれるままに
天国に到達させられて。

頭が真っ白になった瞬間に
全身に降り注ぐ快 楽と同時に
ギョンスさんの唇が降ってきて。
わたしは首に腕を回して必死にしがみつきながら、その唇に吸い付く。


…好き

…ギョンスさんが好き


しばらくそのまま唇に吸い付いて、
自分のカラダの突っ張りと
快 楽の波が少しだけ緩くなって唇から離れたら。

ギョンスさんはすごく優しい顔をしていて。

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「エリさん…すごく可愛いです」

そうやって少しだけ照れて笑うから。


幸せ過ぎて。泣きそうになる。


少しして、自分だけが気 持ち良くなってしまった罪悪感が生まれて。
ギョンスさんにも気 持ち良くなって欲しくて。
わたしがギョンスさんを気 持ち良くしたくて。

元気になったギョンスさんに口元を持っていきながら、「いいですか?」と聞いたら

「いや…それよりも…」

となぜか拒否されて

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「今は、僕がエリさんを…悦ばせたいんです」

そんな事を平気で言っちゃうところも愛おしい。


ギョンスさんは不思議な人だ。
常に、静と動を行ったり来たりしている。

今は動の時なのか。
静の時なのか。

そのスイッチはどうやって切り替わるのか。

ギョンスさんの事がもっと知りたくてたまらなくなる。


ゆっくりとわたしを組み敷くと、限界すれすれまで元気になったギョンスさんがグンと遠慮なく入ってくる。

「…んあっ!!!」

あまりの快 感に声が出てしまうと。

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「もっといっぱい聞かせて…エリさんが僕を感じる声を…」

腰を激しく打 ち付けながら。
さっきは玄関で声を出すなと命令したオトコが
今はもっと吼えろとわたしを奮い立たせる。

「ダメ…いや…んんっ…おかしくなっちゃう…!!!」
「…僕と一緒におかしくなればいい」

子 宮が悲鳴をあげるほど
激しい快 楽を与えられて
必死にギョンスさんにしがみつき。

わたしたちは一緒に天国への階段を駆け上がる。

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「僕と…ずっと一緒にいて…」

そう耳元で囁かれた瞬間に
二人同時に天国へと到達し、
子 宮が締め付けながらギョンスさんの全てを受け入れたのを感じる。


後頭部に回されたギョンスさんの筋肉質な腕。
ぎゅーっときつく抱き締められたまま、しばし天国を彷徨う。

カラダとカラダが連結した状態のまま。

「このまま…エリさんから離れたくないんです。僕…おかしいと思いませんか?」

ギョンスさんがわたしの目をジッと見つめてそう言った。

「わたしもギョンスさんと離れたくないです。ずっと1つでいたい…」

そう真面目に答えたら。

コクンと一度深く頷いて、そのままわたしを抱きしめる。


果 てた後も二人が1つでいる事が。

こんなに幸せだという事を
初めてギョンスさんが教えてくれる。


わたしに、たくさんの初めてを教えてくれるんだね。。。



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「おなか…空きません?」

…え?
この状況でそんな事聞くの?

「えっと…そう…ですね…」
「じゃ、僕、なんか作ります」

…あっ。。。


そう言うと、ゆっくりとわたしから離れたギョンスさん。





カラダが離れた瞬間に、
わたしを包み込んだこの感情は、一体何なのだろう。

虚しさと。
罪悪感と。
後悔と。
嫉妬と。

それらが混ざり混ざったドス黒い感情が
ズクズクと胸を突き刺す。



服を着て、部屋から出て行くオトコの後ろ姿。

ベッドに横たわったままそれを見つめているわたしと乱れたシーツ。

窓ガラスに激しく叩きつける雨の音が
一人残された部屋に強く響いていた。











続く。