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このブログではTRUMPシリーズの気になった点や
妄想を交えた仮説を中心に書いて行きたいと思います


有田役使の日記より


後章 【"もも"と"役使"のお別れの宴】

●最期の時間


兄妹二人の食事会の帰り道。

太陽が沈み空が小金色から紺色に染まり
後ろから追いかけて月が昇ってきた。
それは
血の様に真紅に染まった月だった。
まるで太陽の替わりを務めようと辺りを明るく照らしていた。

静かだ・・・

聴こえるのはそよ風と川の瀬世らぎだけ。

秋風が心地よい川原で二人並んで腰掛けて
沈んだ夕日で赤らむ空を眺めていた。


「アハハハ・・・・兄〜さん・・・・」

「何だい」

「久し振りの兄さんとの外食美味しかったね。」

「そうだな・・・」

「私ね、ご飯食べたら眠くなっちゃったな。」

「そうか、まだまだお子様だな〜」

「もう、からかわ無いでよ〜」
「痛い痛いつねるなって。」

「・・・・・ねぇ、兄さん?
            寝ても良い〜い?」

「うん、勿論だとも。」


そう言うと"もも"は僕のヒザを枕に寝転んだ。


「ねえ、兄さん。」

「何だい?」

「今まで有り難う楽しかったよ。」

「コチラこそ産まれて来てくれて有り難うな。」

「ステーシーになったら ちゃぁんと殺してくれるよね?」

「分かってるよ。」

「それじゃあ・・・・
       私、そろそろ向こうに行かなくちゃ」


「行くって何処に?」


「・・・あの世だよ。」

「駄目だ!!やっぱり死んでほしくない!!
イヤだ!!僕を一人にしないで!!死なないでくれ!!」

「大丈夫だよ。兄さん。
     死んでお別れしてあの世に行っても
直にステーシーとして生き返って
また会えるから淋しくないよ。
       ね?」

「ステーシーは"もも"であっても、
   "もも"じゃ無い!!」


「それでも 、"もも"、は"もも"だよ。
      それじゃあステーシーになった私を ちゃんと再殺してね。」

「・・・"もも"・・・・」

   
  「・・・・任せた・・・からね・・・・・」






    「・・・・兄〜さん・・・・・・」
 




それが妹の"もも"の最期の言葉だった
僕のヒザの上で眠る様に死出の旅に行ってしまった





●屍の温もり


シーーーーツクツクツクツク

もうヒグラシが鳴く頃か


秋に鳴くセミの声が僕の耳をくすぐった


"もも"と過ごした14年の思い出

生まれてから ヨチヨチ歩き、
そして始めて立ったあの頃。

両親を亡くしてから親代わりになって
楽しい事も悲しい事も二人で乗り越えて来た。

コレからも二人で支え合おうと誓い合った。

でも!!

【そうはならなかった!!】

可愛かった妹は、
屍少女となって人肉を求めて歩き周る
ステーシーになるんだ。

この絶望からは逃れることは出来無い。




●命日の誕生日

2035年10月5日 午前零時。

夜風が息を潜め、静寂が世界を包み込む。
真紅に染まった月明かりが、
まるで僕たちを傍観しているかのようだった。

星になった、父さん、母さん。見てるかな?

二人は10年前の今日、死んであの世へ行ってしまったよね。

二人の娘の “もも” は、
その命日に14歳の誕生日を迎えたんだ。

こんなに大きくなった “もも” を見てくれるかな?

今日、“もも”とサヨナラをするんだ
天に流れ星になって帰ってきたら

父さん・・・母さん・・・

僕が行く迄・・・

ももの事を・・・・

ももの事を・・・・・・・


どうか・・・

どうか・・・・


・・・くれぐれも頼みます・・・・



僕は天に向かって一生のお願いをしたんだ


●再生死体



息が止まり、脈も無い

ピンク色に染まったももの頬が手が、身体が、

ユックリと血の気が引いて青白くなる。


"もも"が14歳の誕生日を迎えたその瞬間、



ももは死んだ・・・・・
 


抱きしめた"もも"の温もりがドンドン冷えていく。

人から無機質な屍人形へ・・・


それなのに、幸せそうな微笑を浮かべていたんだ。









"もも"を失った。

その悲しみがジワジワ込み上げてきた。

そして頬を涙が伝った時・・・・・



"もも"の身体の表面がカサカサと蠢いている


そして胸が【ドクン】と上下した。


その動きは、生物の生命活動では無かった。

まるで操り人形の糸で操られてる様な
身体の部分のそれぞれが自分勝手に動こうとする
そんな違和感を感じていた。

【再生死体】の前兆だった。


グキキキ・・・カカカ・・・・

身体の外からも中からも骨の軋む音のような、肉が蠢くような、
最早、生者のものではない音がした。



●ステーシー "もも"

そして、

ももの身体や髪の毛から蝶の様な鱗粉が舞い上がり、
月明かりでキラキラ輝き・・・
ハーブティーの香りが・・・

僕達を包み込んでいったんだ・・・・・


そして、"もも"は糸に操られる様に、
ゆっくりと起き上がり、顔を上げ、目を開けた・・・



その目はギョロッと大きく見開いたが、焦点がどこにも合っていない。



口角は不自然に大きく
割けるように大きく
そして引きつれた笑みを僕に見せた、

ダラダラとヨダレを垂れ流し、

舌は喉奥が弛みダランと垂れ下がる。




「ヴェーー !!ヴェヴェー !ヴェーー!!!!」

と汚い声で笑い声をあげたのだ。

その笑いは、幸福ではなく
“死が発する邪悪な無邪気さ”だった。



「"もも"!! お誕生日おめでとう!!
   僕がチャント165分割に再殺してあげるからね。」

「僕が"もも"にしてあげられる事は
キッチリ再殺してあげる事だ。
最初で最期のプレゼントなんだ!
受け取ってくれ!!」


"もも"は、兄である役使をギンと見た。

その眼差しは愛情も思い出も言葉も
“何も思い出さない”。
ただの獲物を見る目。
愛おしい妹のモノでは無くなっていた。



次の瞬間!!
《ヴォヱ〜〜〜〜!!!》
悍ましい叫び声を上げて躊躇無く僕に飛びついてきた!!


噛みつかれたら命は無い!!
ウイルス成の致死毒が有るからだ!!

牙を剥き、爪を立て、肉を裂こうとする!!

その顔には、"もも"の面影があった。
だからこそ僕の心は、裂けるように痛んだ。

「もも・・やめろ・・・! お願いだからやめてくれ・・・!」

僕の言葉は届かない。


必死の抵抗で石ころだらけの川原に押し倒した、
僕は川原で持てる範囲のソフトボールより大きな石を握りしめた。

手のひらが汗と涙で濡れて、震えが止まらない。

これで"もも"を叩き潰せば"もも"は本当にいなくなる。



でも

そうするしか方法は無い!!

「再殺の権利を持ってる僕が再殺する義務を果たさないと"もも"との約束も果たせない」
その重責に気持ちが押し潰されながらも
決意を決め
"もも"をその石で殴り飛ばした。

"もも"はヴェーヴェーと喉を鳴らし、数メートル吹き飛んだ。
だが再び兄に噛みつこうと身を起こす。

僕は額が潰れトマトの様に血塗れになった彼女が起き上がらない様に馬乗りになり、

その顔に石をぶつけようと振りかぶり
"もも"と目が合った・・・・

キラキラと輝く鱗粉とハーブティーの甘い香りのする"もも"を見つめて
血塗れなのに可愛かったあの頃が蘇る。


"もも"・・・・


再殺しなくてはこの子は成仏出来無い!!

掴んだ大きな石をももの頭に振り下ろした !!

ボクン
頭の骨が砕ける音がした。

幼い頃の思い出が一つ消えた。

「・・・ごめん・・・ごめん・・・ごめん、
もも!!もも!!もも!!ごめん、ごめん・・・!」

石で殴る度に僕の心の奥は何かが千切れた音がする度に、
思い出が一つずつ消えて行く・・・・

ボキン!
腕の骨が折れる鈍い音。

ボクン! グシャン !ゴクン! グキン!
頬骨、鎖骨、肩
何度も何度も石をももだった屍少女に打ち付けた

顔の形が崩れ、腕が折れ、人としての形が崩れ軟体のタコの様になった

しかし、グニャグニャの腕伸ばして兄の首を掴もうとした

「"もも"!!もう動かないでいてくれ!!」

僕は泣き声で叫び声を上げながら、石を振り下ろす。
ボクン!

振り下ろすたび、僕の心臓が悲鳴を上げる。
"もも"だったモノの唸り声と兄の泣き声が混ざり合い、
夜の空気に溶けていく。

ボクン! ボクン! ボクン!
しかし――完全な再殺には至らない。






●165 分割


ステーシーは、どれほど壊れても“止まらない”。
再生し、動き、人肉を求める屍だ。

僕は予めスコップを持ってきていたんだ。


使いたくは無かった・・・

僕は冷たいスコップを手に取った。


それは、妹を再殺する為に
ホームセンターで新しく買ったピカピカのスコップだ

普通なら包丁やノコギリ
そしてチェーンソーを持ち歩くんだが

再殺を前提にした道具持ち歩くのは気が引けた
だがスコップは何も無ければただの穴をを掘る道具だからだ

だが・・・・
でも・・・・

「こんなこと・・・僕が・・・・何で・・・」



再殺何てしたく無かった
殺したくは無かった


腕が震える。
目が霞む。
喉が焼けるほど苦しい。
それでも――。
ステーシーになってしまった"もも"を
たった一人の肉親の僕が再殺をしなければ!!


「"もも"を・・・・"もも"を・・・これ以外苦しませたくない・・・!」




「ヴァアアアアアアアアアア〜!!!!」
だから僕は叫びながら、スコップを振り下ろした。

何度も、何度も、何度も。

スコップが"もも"の身体に突き刺さる度に
ぐぅちょ!!

ガチュゥ!!

グチュウッ!!

身体中が切り刻まれ

腕が落ち鼻がもげ

内蔵が腹から垂れ下がり

足も短くなって行き

首が落ちた



僕は涙を流しながら何度も何度も何度も突き刺した。
血飛沫が手を顔を真っ赤に染めて

冷たいハーブティーの血の匂いが鼻の奥にこびり付いた。

「ゴホゴホゴホ!!」
何度もむせる。嗚咽を繰り返し気が遠くなる。

それでも
"もも"が動かなくなるまで、何度でも、何度でも突き刺した。

だが、
ステーシーになった"もも"は止まらない。

確実に“165分割”に細かくしなければ、
再生死体は復活をする。

蠢くバラバラの身体の部品は
主を求めて集まっていく。

僕の手は、幾度と無くスコップを振り下ろした。

手のひらの豆は潰れ自分の血も混じり
"もも"の血と共に真っ赤に染まった。



僕の体温は高揚した。
この僕、"有田役使"の顔はどんな表情だっただろうか?


僕を観察する人が居たなら、
あまりにも生々しい表情だっただろう。


虫も寝静まった頃、
ようやく"もも"だった肉片が動きを止めた。




【再生死体】の活動が終わり
【再殺】が完了したのだ

それでも僕は手にしたスコップで切り刻むのを止めなかった

我に帰った時、
グチャグチャになった身体と血の海の中
全てを失った喪失感に放心状態になっていた


●お別れの儀式


全てが終わった、

足元には、
"もも"だった"もの"の血塗れな小さな肉片がグチャグチャに散らばっていた。

僕はハーブティーの香りと
宙を舞う鱗粉がキラキラ輝いて綺麗な光景を眺めていた

「"もも"・・・・」

そしてグチャグチャの肉片の中から
"もも"の唇だった一部を見付けて拾いあげた。


そしてキラキラと"ラメ"の"リップ"で"オシャレ"をした
"もも"だった唇にお別れの"キス"をした。


"もも"が生まれて来てから
"キス"なんかした事が無かった。

相手が赤ん坊でも恥ずかしかったから出来ずにいたのだ。


最初で最期の兄妹の"キス"だった。

こんな形でするなんて思ってもいなかった。


『兄いさん、殺してくれて ありがとう。』

何処か耳の奥で"もも"の声が聞こえた気がした・・・・


「ゔああああああああああああああ」
栓が切れた様に泣き叫んだ。
喉が千切れる程の大声を上げて泣き叫んだ。


彼女の笑顔は、ずっと"僕"心の傷として残り続けた。


"もも"を失った悲しみ。
自分の手で殺した罪悪感。

守れなかった。

悔しかった。

たった一人の妹の人生を“再殺”して終わらせてしまったこの絶望を。

夜が明けるまで泣き続けた。

そして泣き疲れて眠るまでそこから動けなかった。



僕は"もも"を殺した心の傷を紛らわす為に
他人の"少女"を【再殺】で薄める事の出来る


【再殺部隊】に


入る事を決めたんだ





有田役使の日常の終わり