漢南洞へ行くと、いつも人の多いメインストリートを歩いていました。

 

有名なショップやカフェが並び、初めて訪れても楽しみやすい場所です。

 

でも、その日は少し違う道を歩いてみることにしました。

 

漢江鎮駅を出て、賑やかな通りとは反対側へ。

 

地図に保存しておいたショップを目指し、北側の細い道へ入っていきます。

 

数分歩くだけで、人の声も車の音も少なくなりました。

 

周囲に見えるのは、落ち着いた住宅と静かな坂道。

 

本当にこの先に店があるのだろうか。

 

少し不安になりながらも、スマートフォンの地図を頼りに進みました。

 

到着まで、あと30メートル。

 

あと10メートル。

 

そして画面には「目的地に到着しました」と表示されました。

 

漢南洞の静かな住宅街で隠れた韓国ブランドのショップを探す女性

地図が示したのは、普通の住宅だった

顔を上げても、目立つ看板は見当たりません。

 

大きなショーウインドーも、店の前に並ぶ人もいない。

 

目の前にあるのは、静かな住宅街に溶け込んだ一軒の建物だけでした。

 

「場所を間違えたかな……」

 

もう一度住所を確認しても、数字は合っています。

 

入り口らしき場所へ近づいてみましたが、外からでは中の様子もほとんど分かりません。

 

引き返そうかと思った、そのとき。

 

閉まっていた扉の向こうに人影が見えました。

 

続いて扉がゆっくり開き、外観からは想像できなかった空間が少しだけ見えたのです。

 

漢南洞で本当に見つけたかったものは、賑やかな大通りではなく、この扉の先にありました。

 

▼住宅街に隠れていたショップと、その先のブランド巡りはこちら

 

 

東京とソウル。

 

離れて暮らす私たちは、毎日のようにメッセージを送り合うようになっていました。

 

最初は、韓国語の勉強を手伝ってもらうため。

 

分からない表現を質問すると、彼はいつも丁寧に説明してくれました。

 

それが、いつの間にか電話になり、気づけば何時間も話している日が増えていきました。

 

今日食べたもの。

 

仕事であった小さな出来事。

 

眠る前に思い出した、どうでもいい話。

 

話題がなくなっても、電話を切ろうとする人はいませんでした。

 

でも、私たちがどんな関係なのかは、一度も話したことがありません。

 

友達なのか。

 

それとも、少しだけ違うのか。

 

考え始めると、彼からの連絡を待っている自分まで意識してしまいます。

 

東京とソウルをつなぐビデオ通話で韓国人男性の返事を待つ日本人女性

聞きたかったのに、聞けなかったこと

ある夜も、いつものようにビデオ通話をしていました。

 

彼はソウルの部屋から、私は東京の自宅から。

 

何気ない会話を続けていたはずなのに、その日はどうしても一つの疑問が頭から離れませんでした。

 

聞いてしまえば、今の関係が変わるかもしれない。

 

それでも私は、できるだけ冗談のように尋ねました。

 

「毎日こうして電話するの、ほかの友達ともそうなんですか?」

 

それまで自然に話していた彼の表情が、ほんの少し止まりました。

 

そして、画面の向こうから言葉が消えました。

 

数秒だったはずなのに、返事を待つ時間がひどく長く感じられます。

 

彼は何かを言おうとして、一度視線を外しました。

 

次に聞こえた言葉で、曖昧だった二人の距離が動き始めました。

 

▼彼が沈黙のあとに返した言葉はこちら

 

 

韓国H-1ビザの申請方法を確認し、次に始めたのが必要書類の準備でした。

 

残高を証明する書類。

 

保険に関する書類。

 

韓国での活動計画を説明する書類。

 

すべてを一度に準備するのは大変そうだったため、取得できるものから早めに集めることにしました。

 

銀行へ行き、必要な証明書を発行。

 

健康診断に関する書類も準備しました。

 

そのほかの書類もファイルにまとめ、忘れないようにチェックを入れていきます。

 

申請予定日までは、まだ少し時間があります。

 

「早めに準備しておいてよかった」

 

机の上に並んだ書類を見て、すっかり安心していました。

 

韓国H-1ビザの必要書類と発行日を机の上で確認する日本人女性

【ここに画像を挿入】

書類の内容ではなく、日付で止まった

申請前にもう一度確認しようと思い、管轄公館の案内を開きました。

 

書類名を一つずつ照らし合わせます。

 

必要なものは、すべてそろっているように見えました。

 

ところが、各書類の注意事項を読み進めていると、発行時期に関する記載が目に入りました。

 

私は慌てて、準備していた証明書の日付を確認します。

 

早めに取得したことが、必ずしも安心につながるとは限らない。

 

その可能性に、ここで初めて気づきました。

 

さらに確認すると、書類によって見なければならない日付が同じとは限らないようです。

 

このまま提出できるのか。

 

それとも、もう一度取得し直さなければならないのか。

 

準備が終わったと思っていた私の手が、書類の日付の上で止まりました。

 

▼H-1申請書類の有効期間と準備する順番はこちら

 

 

※必要書類、発行期限、申請方法は管轄公館や申請時期によって異なる場合があります。申請前に利用する韓国大使館・総領事館の最新案内を必ず確認してください。

韓国人の夫と暮らし始めてから、食卓には日本料理と韓国料理の両方が並ぶようになりました。

 

ある日、夫の前で日本の味噌汁を作ることにしました。

 

韓国にも、味噌を使ったテンジャンチゲがあります。

 

同じような料理を何度も食べている夫なら、味噌汁の作り方を見ても特に驚かない。

 

私はそう思っていました。

 

だしを取り、具材を入れ、最後に味噌をゆっくり溶かします。

 

夫は鍋の横に立ち、興味深そうに手元を見ていました。

 

「味噌、それだけ?」

 

量を見た夫が、不思議そうに尋ねます。

 

「うん。これくらいで大丈夫」

 

あとは味噌の香りを確かめ、沸騰する直前に火を止めました。

 

日本の味噌汁を作る妻と鍋の火加減を見つめる韓国人夫

火を止めた瞬間、夫の手が伸びた

私がコンロから手を離すと、夫がすぐに聞きました。

 

「もう終わり?」

「うん、完成だよ」

夫は鍋の中を見つめています。

 

まだ十分に煮込んでいないと思ったようでした。

 

そして次の瞬間、止めたばかりのコンロへ手を伸ばしました。

 

「もう少し煮た方がおいしいんじゃない?」

 

私は慌てて、その手を止めます。

 

味噌を使った汁物なのに、なぜ火を止めるのか。

 

なぜもっと煮込まないのか。

 

夫には、私の作り方が途中で終わったように見えていました。

 

しかし翌日、夫がテンジャンチゲを作る姿を見た私は、今度は反対に声を上げることになります。

 

同じ“味噌のスープ”だと思っていた二つの料理には、作り方だけではない大きな違いがありました。

 

▼夫婦がお互いの作り方に驚いた続きはこちら

 

 

韓国留学を考え始めてから、ソウルにある大学を少しずつ訪ねています。

 

今回向かったのは、地下鉄7号線の子供大公園駅に隣接する世宗大学。

 

駅から近く、毎日の通学にも便利そうです。

 

地図を見ると、出口から大学まではほとんど歩きません。

 

「今日は迷わず到着できそう」

 

そう安心しながら、地下鉄の改札を出ました。

 

ソウルの大学といえば、大きな校舎や近代的な建物が並ぶキャンパスを想像していました。

 

ところが、駅から地上へ出て大学の方向を見た瞬間、そのイメージが完全に変わったのです。

 

韓屋を思わせる世宗大学の正門を見上げる日本人留学生

駅を出て最初に見えたもの

目の前に現れたのは、大学の正門というより、韓国の王宮を思わせるような建物でした。

 

大きな屋根。

 

重厚な柱。

 

遠くからでも分かる、韓屋を思わせる伝統的な造り。

 

「ここ、本当に大学だよね?」

 

地図を見直しましたが、場所は間違っていません。

 

門の先には、正門とは雰囲気の異なる校舎が並んでいます。

 

外から見るだけでも、伝統的な韓国と現代的なキャンパスが同じ場所に存在していることが分かりました。

 

しかし、私が本当に驚いたのは正門ではありません。

 

キャンパスの中を歩き始めると、留学生が世宗大学を選ぶ理由につながる、さらに意外な場所が現れました。

 

正門の美しさだけで大学を選ぶわけにはいかない。そう思っていた私の考えが、ここから少しずつ変わり始めました。

 

▼正門の先で見つけた世宗大学のリアルはこちら

 

 

韓国ワーホリへ行くことを決めたら、次はH-1ビザの申請です。

 

必要書類を集める前に、まず申請日を予約しよう。

 

そう考えた私は、実際にH-1ビザを取得した人たちのブログを調べ始めました。

体験談には申請方法が詳しく書かれていた

検索すると、申請当日の体験談がたくさん見つかりました。

 

予約サイトで訪問日時を選ぶ。

 

必要書類を持って大使館や総領事館へ行く。

 

旅行会社を通して申請したという人もいます。

 

写真付きで説明されている記事もあり、このとおりに進めれば大丈夫そうに見えました。

 

私は紹介されていた予約ページを探し、空いている日程を確認しようとしました。

 

ところが、同じ画面が見つかりません。

 

韓国H-1ビザの申請先と予約方法をパソコンで確認する日本人女性

公式サイトには、別の案内があった

「サイトが変わったのかな?」

 

念のため、韓国大使館の公式ページを開きました。

 

H-1ビザに関する最新のお知らせを探し、掲載日を確認します。

 

そこで見つけたのは、以前の体験談とは異なる申請案内でした。

 

これまで調べていた予約方法が、そのまま利用できるとは限らない。

 

さらに、自分が住んでいる地域によって、確認する公館も変わる可能性があります。

 

古い記事だけを参考にしていたら、存在しない予約枠を探し続けていたかもしれません。

 

「では、私は最初にどこへ連絡すればいいの?」

 

最新のお知らせを読み進めると、申請を始める前に必要な新しい手順が書かれていました。

 

今のH-1申請は、予約日を探すことから始まるとは限らなかったのです。

 

▼自分の申請先と現在の手順をMISSION 02で確認する

 

 

韓国の大学へ編入することを決めたとき、気になったのは学費でした。

 

入学金に授業料。

 

韓国で暮らすための家賃や生活費も必要です。

 

少しでも負担を減らせないか調べていると、韓国外国語大学には留学生を対象とした奨学金があることを知りました。

 

「私も対象になるかもしれない」

 

そう思い、まずは出願準備を優先することにしました。

奨学金の確認は合格後でいい?

編入出願には、用意する書類がたくさんあります。

 

卒業証明書、成績証明書、家族関係を確認する書類。

 

発行や認証に時間がかかるものから準備しているうちに、奨学金については後回しになっていました。

 

大学に合格してから申請方法を調べればいい。

 

私は、そう考えていたのです。

 

韓国外国語大学KFL学部への編入準備中に奨学金の案内を確認する日本人留学生

募集要項を読み直して、手が止まった

出願締切が近づいたある日。

 

提出書類に漏れがないか、募集要項をもう一度確認しました。

 

その途中で見つけたのが、入学時に受けられる奨学金の案内です。

 

条件を満たせば、授業料の負担が大きく変わる可能性がある。

 

期待しながら説明を読み進めました。

 

ところが、注意事項に書かれた一文を見て手が止まります。

 

奨学金の対象になるためには、ある証明書を決められたタイミングで提出しなければならなかったのです。

 

「これ、合格してから出すのでは遅いの?」

 

すでに持っている人でも、提出する時期を間違えると対象から外れる可能性がある。

 

同じ成績を持っていても、たった一つの確認不足で結果が変わってしまうところでした。

 

▼学費を左右する書類と提出タイミングの続きはこちら

 

 

外国人登録証を受け取り、韓国での生活に必要な手続きを一つずつ進めていた私。

 

次に待っていたのは、自分名義の銀行口座を作ることでした。

 

ところが、インターネットで体験談を調べるほど不安になっていきます。

 

「外国人は書類をたくさん求められた」

「在職証明書がなくて断られた」

「本人名義の携帯電話が必要だった」

 

書かれている内容は人によってバラバラでした。

無職でも口座は作れる?

韓国へ来て間もない私は、まだ仕事をしていません。

 

自分名義の携帯電話も準備できていない状態でした。

 

「オッパ、私でも本当に通帳を作れるかな?」

 

そう尋ねると、夫は笑いながら答えました。

 

「大丈夫。もしダメだと言われたら、窓口で聞いてみよう」

 

頼もしい言葉でしたが、銀行へ向かう夫の手も少し汗ばんでいました。

 

韓国の銀行窓口で外国人名義の口座開設について相談する日韓夫婦

番号を呼ばれ、窓口へ

「102番のお客様」

 

案内を聞き、私たちは並んで窓口に座りました。

 

夫が先に事情を説明します。

 

「妻名義の通帳を作りたいのですが、韓国へ来たばかりで、まだ仕事はしていません」

 

銀行員は私の外国人登録証を確認しました。

 

在職証明書は持っていない。

 

本人名義の携帯電話もない。

 

ネットで読んだ体験談が頭をよぎります。

 

断られるかもしれない。

 

そう思っていると、銀行員が画面を確認しながら口を開きました。

 

「口座を作ることはできます。ただし――」

 

そのあとに続いたのは、私たちが知らなかった口座の条件でした。

 

 

夫が説明を聞き返し、私は思わず銀行員の顔を見つめました。

 

普通の口座が、そのまま作れるわけではなかったのです。

 

▼外国人の私に提示された条件と、口座開設当日の続きはこちら

 

 

「いつか韓国で暮らしてみたい」

 

旅行から帰るたびに、そう思っていました。

 

好きな街で生活しながら韓国語を学び、現地でアルバイトも経験してみたい。

 

そんな私が最初に思い浮かべたのが、韓国のワーキングホリデーでした。

まずはビザの条件を調べることにした

韓国のワーホリで必要になるのは、H-1ビザ。

 

何から準備すればよいのか分からなかった私は、まず申請条件を検索してみました。

 

すると、検索結果には少し気になる言葉が並んでいました。

 

「韓国ワーホリは25歳まで」

別の記事には、

「30歳まで申請可能」

と書かれています。

「結局、どちらが正しいの?」

 

同じ韓国ワーホリについて調べているはずなのに、表示される年齢が一致しません。

 

韓国ワーホリの年齢や申請条件をスマートフォンで調べる日本人女性

ところが、年齢条件を調べてみると

SNSでは、

「30歳になる前なら大丈夫」

という体験談も見つかりました。

 

それなら自分も申請できるかもしれない。

 

少し安心しながら、今度は韓国大使館の公式案内を開きました。

 

しかし、対象条件が書かれた部分を読んだ瞬間、指が止まります。

 

そこには年齢だけでなく、私がまだ確認していなかった条件も並んでいました。

 

さらに、同じ年齢でも全員が同じ扱いになるとは限らないようです。

 

「もしかして、“30歳まで”という言葉だけを信じてはいけない?」

 

ワーホリへ行けるつもりで準備を始める前に、自分が本当に対象になるのか確かめる必要がありました。

 

そして公式案内を読み進めると、25歳と30歳という二つの数字が存在する理由が見えてきたのです。

 

▼自分が韓国ワーホリの対象になるか、MISSION 01で確認する

 

 

韓国でワーキングホリデーを始めてから、少しずつ一人で食堂へ入れるようになりました。

 

メニューがすべて韓国語でも、写真を見ながら注文できる。

 

店員さんの話す言葉が聞き取れなくても、以前ほど緊張しない。

 

「韓国の食堂にも、だいぶ慣れてきたかも」

 

その日も、私は少し自信を持って席に座りました。

注文までは順調だった

店内はランチを食べる人たちで賑わっていました。

 

周囲の声に負けないよう、いつもより少し大きな声で店員さんを呼びます。

 

注文が伝わると、テーブルには小さなおかずが次々と並べられました。

 

そして間もなく、湯気の立つメイン料理も到着。

 

美味しそうな香りに、思わずお腹が鳴りそうになります。

 

ところが、食べ始めようとした瞬間でした。

 

韓国の食堂で料理を前に箸とスプーンを探す日本人女性

料理が並んでも、食べ始められない

テーブルの上を見渡しても、お箸とスプーンがありません。

 

料理とおかず、調味料は揃っているのに、肝心のカトラリーだけが見つからないのです。

 

もしかして、店員さんが忘れた?

 

忙しそうに動く店員さんへ声をかけようと、私はタイミングをうかがいました。

 

そのとき、隣のテーブルに新しい料理が運ばれてきました。

 

席に座っていた女性は、店員さんを呼びません。

 

立ち上がってカトラリーを取りに行く様子もありませんでした。

 

代わりに、慣れた手つきでテーブルの横へ手を伸ばします。

 

「えっ、そこに何があるの?」

 

彼女の手元を見た瞬間、私はようやく気づきました。

 

日本の食堂と同じつもりで座っていたら、見つけられないはずです。

 

▼韓国の食堂で知っておきたい“意外な当たり前”はこちら