漢南洞へ行くと、いつも人の多いメインストリートを歩いていました。
有名なショップやカフェが並び、初めて訪れても楽しみやすい場所です。
でも、その日は少し違う道を歩いてみることにしました。
漢江鎮駅を出て、賑やかな通りとは反対側へ。
地図に保存しておいたショップを目指し、北側の細い道へ入っていきます。
数分歩くだけで、人の声も車の音も少なくなりました。
周囲に見えるのは、落ち着いた住宅と静かな坂道。
本当にこの先に店があるのだろうか。
少し不安になりながらも、スマートフォンの地図を頼りに進みました。
到着まで、あと30メートル。
あと10メートル。
そして画面には「目的地に到着しました」と表示されました。
地図が示したのは、普通の住宅だった
顔を上げても、目立つ看板は見当たりません。
大きなショーウインドーも、店の前に並ぶ人もいない。
目の前にあるのは、静かな住宅街に溶け込んだ一軒の建物だけでした。
「場所を間違えたかな……」
もう一度住所を確認しても、数字は合っています。
入り口らしき場所へ近づいてみましたが、外からでは中の様子もほとんど分かりません。
引き返そうかと思った、そのとき。
閉まっていた扉の向こうに人影が見えました。
続いて扉がゆっくり開き、外観からは想像できなかった空間が少しだけ見えたのです。
漢南洞で本当に見つけたかったものは、賑やかな大通りではなく、この扉の先にありました。
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