信仰深い彼らの最後を知る物は誰もいない。

彼らは

大地から大地へ渡り

部族を滅ぼし

財宝を奪い

自らが信仰する神こそが絶対であり

他を許さなかった

多くの略奪品を積んだ船は波に揺られ

その成果を信仰する神の元へと持ち帰る途中だった。

その日は静かな夜だった

月明かりに照らされ

風と波は穏やかで帆船の進行が遅いくらいだ

辺りが心地よい波の音で包まれていた

だが 一瞬妙な静けさが船の周りを包み込み

船底から異様な音が聞こえた。

波に揺られ軋む音とは別の何か

その音に耳をすませる間もなく船に衝撃がはしり

船は進むことをやめた。

岩にぶつかったのかと 船乗り達が慌ただしく

辺りを見て回る

しかし 岩らしきものは見当たらなかった。

だが一向に船が進まない。

何が起きている

そう考える間もなく

異臭と共に丸太より巨大な何かが船を捕らえ

船乗りたちを恐怖のどん底へと引きずり込もうとしていた。

船乗り達はその巨大な何かを船から引き剥がそうと 剣や斧 銃や大砲を用いて抗おうとした。

船を捉えている巨大な何かは沢山の砲弾をあび 海中に沈んだと思った。

次の砲弾を詰める間もなく 

更に7本のお友達をつれて帰ってきた。

それ等には多くの吸盤がならんでおり 同じ事態に陥り、抗ったのであろう 多くの剣や斧が沢山刺さっていた。

その目の前にある 光景が

前に同じ目にあっている人々がいる痕跡が

抵抗の無意味さを物語っている。

多くの船乗りが海に放り出され 暗い海の底へ引きずり込まれていく。

助けを求めるもそれは叶わず 沈む。

恐怖し神に祈る者

残してきた家族を想う者

最後まで抗った者

祈りも


想いも


勇気も


何もかも海の底へ消えていった。


神の加護を得る事も


故郷で待つ家族や友人に会う事も


神への捧げ物を持ち帰る事も


叶うことは無かった。


すべて


暗い海の底へと沈んで行った