思い出すこと② | The Nude Cask

思い出すこと②

 世界がどんなものなのか確かめたかった俺は、旅へ出た。ネパールのカトマンズからインドのデリーへ。二ヶ月にわたるエアーチケットを手にバクタプル空港に降り立つ。初めて足を踏み入れた異教の地。29日だった。空港でビザの手続きを済ませカウンターを出たが、泊まる場所も決めていない上、インドのガイドブックしか持っていない。――というのも、当初インドへ行く予定だったのだが、カトマンズ・イン、デリー・アウトのエアーチケットの方が安く、さらにはネパールにも行ける、という旅行会社の女性の勧めでカトマンズ経由を選んだ。ネパールにも行けるという蠱惑がその時の俺を奇妙に惹きつけたのだ。空港で宿泊先を紹介してもらい、そのホテルへ行くため空港を出て、泥濘をよけつつタクシー乗り場まで行くと、客引きの人集かりができていた。俺は少し怯んだ。誰が信用できて信用できないのか、今からどこへ連れて行かれるのかもわからない。殺伐とした嫌な雰囲気も漂う。「コニチウヮニホンジデシカ」――日本語らしき言葉で周囲のネパール人が次々に話し掛けてくる。どこか胡散臭い。皆、一様に背が低く、やさぐれた、少し崩れた雰囲気がある。眼が鋭く、廋けていて、貧しさが充満していた。