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4月中旬、NHKに一瞬映った 「WSPEEDI」 3月15日被ばく予測マップ

(小佐古辞任文より) 

とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。

 初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福井県*、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。 (*原文ママ)

「福井県*(*原文ママ)」とあるのは、文脈からも福島県のことだろう。小佐古氏は「福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべき」ということで、実際自分はそのデータを見ていてその深刻さを把握しているということを訴えているように聞こえます。

実はこれに相当するような情報が4月半ばNHKニュースで一瞬流れた、との情報が埼玉の自称「天狗」さんから入り、その画面を保存した画像ファイルを送ってくれました。
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私は見たことがない画像だったので驚きました。「天狗」さんによると、これは公表されていないとのことです。このNHKの画面にも、「放射性物質の予測 データ公表見送る」とのキャプションが
あります。「公表見送る」のにどうしてこの画面で公表しているのか不可解ですが、NHKが入手した一部を流したということなのかと察します。これは「先月(3月)16日に計算されていた」 I-131 infant organ dose 2011_03_15_15H ということなので、放射性ヨウ素131による乳児の臓器被ばくの程度の予測で、3月15日15時時点での積算値ということなのではないかと思います。文科省が他に公表しているSPEEDIの被ばく線量予測は、3月12日6:00からになっているので、これもその時点からの積算値ではないかと想像されます。いずれにせよ、一番大量の放射線が放出された後の3月15日午後までのデータだということは意味深いです。3月14日から15日早朝にかけては福島第一で悲惨な事故が相次ぎました。14日昼前、3号機は爆発しました。これは白煙で覆われた12日の1号機水素爆発とは違い、黒煙が高く上がった爆発で1号機の爆発とは質の違うものだと言われています。2号機は14日夕方燃料棒全体露出に続き15日早朝、圧力抑制室で爆発がありました。4号機も15日早朝に爆発しました。これだけ大事故が続いた直後の乳児の被ばく予想というのは重要と思います。上記のマップに「天狗」さんは地図を重ね、埼玉県のご自分が住んでいる町がオレンジ色の地帯(1mSV-10mSV)に入っていたことを知り、危機感を募らせました。


http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/05/blog-post_16.html

1号機二重扉開放へ、放射性物質放出の可能性 (読売新聞)

 東京電力は7日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋内から8日午後にも、放射性物質が外部へ放出される可能性があると発表した。

 原子炉建屋内で人が本格的な作業を始めるのに先立ち、建屋の二重扉を開放するため。東電は放射線量の監視を強化する。

 東電によると、タービン建屋との間にあるこの二重扉を利用して敷設した配管で、原子炉建屋内の空気をタービン建屋側に設置した浄化装置に引き込み、浮遊する放射性物質を除去している。二重扉はタービン建屋側に作った小部屋で覆っているため、両方の建屋は事実上は仕切られていた。

 5日に始めた浄化で原子炉建屋内の放射性物質濃度は下がり、作業を本格化させるめどがついた。今後はこの二重扉から作業員が出入りできるよう、東電は8日午後にも小部屋を取り払い、扉を開放する。

 扉を開放すると、放射性物質を含む原子炉建屋内の空気が、タービン建屋側から流入する空気で押し出され、水素爆発で崩れた天井部分から屋外へ放出される。東電は、周辺の放射線量の数値を変えるほどの量ではないと試算している。

原発勤務恋人いる女性「原発で人生計画が目茶目茶になった」 (NEWSポストセブン)

津波で多くの犠牲者が出た福島県南相馬市は、20km圏内の「警戒区域」、20km圏の外側にありながら放射性物質濃度の積算量が高水準に達する恐れがあるため避難が呼びかけられている「計画的避難区域」、さらに20~30km圏にあり、緊急時には屋内退避や避難ができるように準備が求められている「緊急時避難準備区域」に、市内が分断されてしまった。同市にはいずれの区域にも属さない「安全区域」もあり、これで4分割されたことになる。

 もともと三市が合併した南相馬市は、原発に近い地域から小高区、原町区、鹿島区に分かれる。約7万人の住民は一時期2万人まで減ったが、最近は約3万~4万人まで回復したという。

 ほとんどが“安全圏”に含まれる鹿島区に住む看護師のTさん(29才)は地震後、新潟県内の避難所に身を寄せた。仕事柄、早く南相馬市に戻って人の役に立ちたいと思っていたTさんだが、一緒に避難した両親からは「福島には絶対帰るな」と念を押された。

 しかし時間が経つにつれ、市民が少しずつ戻り始めたのを知り、帰宅を決意。避難所には20km圏内の小高区の住民が多く、「私は帰る」とはいい出しづらかったと語る。

「自分だけ30km圏外の鹿島区だったので、『この人たちに比べたら全然大したことないのに』と申し訳なかったです。それでこっそり荷物をまとめました。避難中は不安で悩んでばかりだったけど、帰ってきたら仕事もあるし、病院で人を助けることもできます」

 海岸近くに津波の傷跡はまだ残るが、復興に向けてわずかに動きだしたと感じる。

 Tさんには長年交際する恋人がいる。福島第二原発で働く恋人は、Tさんが新潟から帰った翌日、プリンを持って勤務先の病院を訪れた。週末にデートする普通の日々が戻りつつある。

「私はこの町が好き。放射線は怖いし外出にマスクは欠かせないけど、たとえ被曝してもここで生活していきたい。原発で私の人生計画はめちゃめちゃになったけど、『ここで死ねたらいいね』という気持ちは彼にもあると思います」(Tさん)

※女性セブン2011年5月12日・19日号

4号機の激しい損壊、水素爆発以外の原因か (読売新聞)

東京電力は9日、福島第一原子力発電所で、原子炉建屋が激しく壊れた4号機について水素爆発以外の可能性があるとみて調査していることを明らかにした。

 建屋5階の使用済み核燃料一時貯蔵プールで、水素を発生させる空だきの形跡がないことなどが判明。別の原因との見方が浮上した。

 建屋内には、原子炉内のポンプを動かす発電機の潤滑油貯蔵タンク(約100トン)があるほか、溶接作業などに使うプロパンガスのボンベもあったとみられ、東電で関連を調べている。

 東電はプールの水を調査。その結果、放射性物質の濃度が比較的低く、水中カメラの映像でも、燃料を収めた金属製ラックに異常が見られないことから、空だきが起きていたとは考えにくいことがわかった。

チェルノブイリ経験医師「100%大丈夫な原発技術ありえない」 (NEWSポストセブン)

 3・11東日本大震災の発生後、東京電力や政府や原子力村の学者達は「想定外の天災による事故だった」と語った。本当だろうか。そう疑問を呈するのは、ベストセラー『がんばらない』著者で、チェルノブイリの子供たちへの医療支援にも取り組む、鎌田實氏だ。

 * * *
 関東の電力を供給するのに、なぜ原発を福島に作るのか。それは事故がありうるからだろう。東京に原発を作って、ひとたび事故が起これば、首都機能は壊滅する。だから作らない。事故が起きうることは想定内なのだ。

 25年前、チェルノブイリ原発が炉心爆発を起こした。ぼくは94回医師団を送って救援しながらチェルノブイリを見てきた。今も原発から200キロも離れていて高汚染が続いている地域がある。原発の傷は想像以上に深い。

 福島原発での事故はチェルノブイリと同じレベル7になった。ということは、25年に1度、原発の大事故が起きる可能性があるということだ。日本の原発は安全と、原発を推進してきた科学者や政治家は言い続けてきた。100%大丈夫な技術などありえないはず。

 日本にあるすべての原発を調査してみるといい。外部電源と非常用電源等、原発で何か起きたときの追加電源の容量は明らかに不足している。そこらじゅうの原発で、ひとたび事故が起きれば、炉心を冷却できない恐れがある。それなのに日本の原発は安全だという神話がまかり通ってきたのである。

※週刊ポスト2011年5月20日号