龍の歯医者…生死の境界性
久しぶりにテレビアニメを見た。『龍の歯医者』…どうやら話題の作品らしい。
冒頭から数分後、ファンタジー作品の描く叙事詩なのかと思ったのだが、物語が進行するにつれ『…?』 なのだ。
主人公達が経験する様々な死において、そこに伴うリアルな痛みや苦しみがもたらす生死の境界性を物語的に切断する事でよって喪失させて、より単純な仮想空間で体験化させている。人間を描きながらも、生命活動とは隔離した世界での魂が先行した世界観が主題に選ばれているようだ。もし、それが作者の物語として基軸ならば、あまりに平凡な問いではあるが『人間の生命誕生とは如何なるものか?』と思えた。
『生死の境界性』を一つの視点とするならば、似たような印象はアニメ作品『スカイクロラ』にも感じた。しかし、『スカイクロラ』が描く主題は運命の選択を模索する渇望が底辺にあって、生死を選べぬ苦悩もテーマであったように思う。
来週の後編も見たい所ではあるが…さて。
蛇足だが、艦船マニアとしては今一つ。1930年代の水上艦船がモチーフのようであったが、各艦船の様式年代が不統一だったね。簡単に轟沈するシーンも『妄想ゲーム』的なのが残念。
しかし、アメリカ海軍の艦船って、この手のアニメには向かないデザインなのだろうね。あまりに現代的工業製品であってSFには向くけど、シルエットも含めて童話や説話的じゃないんだ。だからさ、アメリカ艦船は『龍の歯医者』には一隻も見当たらないんだね。
やはり現存するドライさも手伝って、戦艦ミズーリなどは謎の宇宙物体に砲撃したり、極悪なロシアスパイに怒りの砲弾を打ち込むのが似合う。
