跳び安座…5 | HOODのブログ

跳び安座…5

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先週、撮影仕事先の宝生能楽堂で足袋を買った。能楽堂内に新しい店舗が入っていて、幾つかの商品の中で稽古用足袋が安いのだ。

結局、三足も買ってしまった。舞台の勝負用として使う足袋も含めて、足袋は消耗品である。


実は、学生時代から昨年まで何足も使い潰してきて、それを捨てないで紙袋に保管していた。およそ三十年分の足袋は破れ果てた汚い布の塊にしか過ぎない。

それを引っ越しを機会にして廃棄した。
自分の稽古や様々な思い出と決別する意味もあって、今後は足袋を溜め込む必要はないだろう…と思っていたのだが、また再び破れた古足袋を積み上げるのだろうか。
舞の基本である足の運びによって足袋は損耗する。破れてゆく箇所で、その人の舞癖や運び(運足)の傾向も何となく分かるものだ。踵から破れてゆく人、足の腹付近に大きな穴が開く人もいる。私の場合は一年くらい使うと親指の先が最初に小さく解れてくる。

舞台で使った後、必ずお風呂に持ち込んで古歯ブラシ等で洗う。一説では、足に履いてブラシで洗うと良いらしいのだが、私は手にはめて洗っている。

稽古や舞台が終わって汚れた足袋を洗うのは、どことなく一抹寂しさがある時間帯である。…何の確証もないのだけれど、また使うために備えておく作業だ。そこに、大袈裟に言えば『死装束』めいた気分もあるのだ。