跳び安座 | HOODのブログ

跳び安座

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能・観世流に『殺生石』という曲がある。狐が玉緒という絶世の美女に化けて帝に寵愛を受けるが、行法者に見破られ、追われて那須野の原で矢に射られて石になる…一説では、鳥羽上皇の寵愛を受け、動乱の要因を招いた『藤原得子(なりこ)美福門院』を妖狐になぞらえた話とも言われるが、解釈解説の詳細は他に任せる。

その殺生石の舞いには『跳び安座』という型があって、能仕舞型では相当の強面である。

簡単に書けば『一足で跳び、空中姿勢を保ちながら、胡座を組んで床に落ちる…』見た目、誰もが『これ、痛くないの、…足首、折れませんか?』なのである。


私が殺生石を師匠から習ったのは学生時代で、さすがに『跳ぶ』のに一瞬躊躇した時、『いいから、跳べ!えっ、跳ぶんだよ!』と鋭い叱責を受けた。

確かに、躊躇いが怪我を生むわけで、習い始めには『意を決する』覚悟がいる。

精神的に緩みきった自分にカツを入れよう、この『殺生石』を久しぶりに習おうか、まずは再予習だ…と、当時は無かったネットを利用して解釈などを探ってみた。題して『跳び安座』で検索した。

誰か名手なり、上手に『跳び安座』を行うコツを書いている人はいないかな…。

しかし、素人弟子や学生サークルの失敗談やネタレベルの記事は幾多あるが、普通に『跳び安座』を解説した人の記事がない。


…見事に某役者の方が『殺生石』を舞っていて『跳び安座』も見事だった…なんて記事はあるが、『そりゃそうだろ、観世の名手だし…』まるで参考にもならん。

特に我々素人弟子達が記した記事がない。素人弟子ならばこそ、さらに語らないのが『花』なのかも知れないが、たかが『跳び安座』だぞ。

ある方のブログ記事によれば、この型が舞えるのは肉体的に三十代までなのだとか。おそらく『跳び安座』だけを実演するならば還暦を過ぎても難しくはない。問題は『殺生石』の舞いの中で演じる事なんだろう。

しょうがないな。自分で考えてみようか。