神域というもの
市内にある『素鳶神社』境内。この日は、まだ新年を迎える準備に入っておらず、境内にそびえる樹齢四百年と呼ばれる大欅の落ち葉が、境内一面に散っている。
買ってきた缶コーヒーを開け、一人呑気に一年を振り返る。
周囲の農村風景、年末の作業も終えたのか静かなものだ。
さて…帰ろう。
社殿を振り返り、『また、新年に来るよ…』と心に呟いた。
その時だ。急に風が吹いた。社殿に積もっていた落ち葉が、旋風に巻き上げられて、人形に立ち上がり境内を走り去った。
確かに、風に任せて神様が走り去った。
不思議な瞬間だった。
目に見えるものを信じる必要はない。いや、信じない方がマシかも知れぬ。
だが、古来から見えない力や存在はあるのかも知れないな。
面前には左義長の準備されていたし、大晦日・正月の風景も近い。


