終焉の足音 | HOODのブログ

終焉の足音

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昨夜、B/Sで『柳生一族の陰謀』を放映していた。東映1978年制作・監督深作欣二、オールスター時代劇の挽歌とも言うべき、それは『偉大なる駄作』である。大時代的な東映時代劇の終焉を見事に飾る作品だった。

たぶん茨城弁で言うところ『ごじゃらっぺな話だけっと、まぁ、終わりとしちゃ、いかっぺよ!』


先週、池波正太郎原作・『鬼平犯科帳』中村吉右衛門主演も最終回の幕を閉じた。

鬼平シリーズの最終話として『雲竜剣』を持ってきたのに対して異論はないが、ストーリー展開において平蔵の腹違い妹『お園』の婿である義弟小柳安五郎が斬死する展開には驚愕であり、いささか呆れた。池波の原作に従わずに、小柳安五郎を斬死させる展開を書き下ろしたとするならば、あまりに長年に継続してきた作品群が哀れである。これでは積み上げてきた脚本の自己放棄に等しい。


最終話の担当者等は原作シリーズを熟読していないのか。もとより、主演の吉右衛門自身が気がつかないはずもない。もしも、主演者等も意見をしなかったというのならば、どうにも訝しいことだ。

そこを考え合わせると…『もう、お互いにだな。お役目、お勤めも御仕舞いにしょうじゃねぇか』…と平蔵の嘆息が聞こえてくるような思いがした。これはネタバレなどと言う軽薄な問題ではない。原作にない展開を書くという事は、作品世界に対する冒涜であり、どうにも後味の悪いな最終回であった。

『そう、怒るな。俺たちの世界を継ぐべき人がいなくなっちまったんだよ…これがな、御仕舞いってやつさ…』


ついでだから、触れておくが、私は『ネタバレ』という表現・言い回し、この言葉をシタリ顔で使う人々の見識など…全く理解出来ない。