天守閣から | HOODのブログ

天守閣から




簡単に記せば、鴫野から大阪城内までは単純に市民の軽散歩コースだ。
だが、三百年前の鴫野攻防戦や七十年前の大阪空襲、その死者を思いやると徳川三百年の平和とは庶民・支配層に関わらず貴重な時間であった事が知れる。

何より近現代史において、江戸が終わり政治・経済の中心を東京に奪われた喪失感が、この地にはある。そのコンプレックスが大阪の原動力にも感じるが、温もりの中にある裏腹な一抹の寂しさも、また大阪なのだ。


天守が近づくにつれ、今や城内は中国人や韓国、中近東、欧米人だけが目につく。城は大阪のシンボルだが(たぶん…)、厳かな武士文化の魂など城内や公園には微塵も見当たらない。テーマパークそのものだ…。

関西弁よりも遥かに難解な異国の言語を並べ立てる人々を掻き分けて、天守閣に辿り着く。そして、先ほど歩いてきた鴫野方面を眺望した。



もし、今の大阪の眺望を一瞥した秀吉ならば感慨を漏らすに違いない。


『ぁあ、左様か…』