夢枕
故人が夢枕に立つという話を耳にする。亡くなった家族や友人などが夢や枕元に現れるのだと。
最初に断っておくが、私は噂に聞く心霊現象やスピリチュアル思考を信じてはいない。世間で言うところの幽霊を見た事
も数回あるが、それでも『気の迷い』に近いと思っている。
だが、昨日の朝方に久しぶりに祖母が夢枕に現れた。祖母は機嫌があまり良くなくて『最近、寝不足』だと言う。しかも、その原因が壁にかけてある『能面』にあるらしい。見れば、確かに祖母の部屋…(それは、見た事もない間取りの部屋だった。)…には小面が飾ってある。『夜、目が覚めると能面が私を見ているようで気持ちが悪い…』で、外してくれと言うので、私は手伝って能面を壁から外して面箱に仕舞った。
これで祖母が眠れるようになるのか、疑問だな…と思ったところで目が覚めた。
こんな話もある。今から二十年前くらいのある日。実家から都内に上京する際に、さて…出掛けようとする私を仏間から祖母が呼ぶ声がした。それは、あまりに明確な呼び掛けであったので、ひとまず仏間に行き仏壇を見ると、そこには『腐った饅頭』が供えてあった。当時、多忙であった両親は、饅頭を仏壇に上げて忘れたらしい。
『これを、下げろという事か…』
生前、生真面目だった祖母ならば、確かに『腐った饅頭』は嫌に違いない。
さて、昨夜の夢だが…祖母は何を私に伝えたいのか。夢など自律神経の延長に過ぎないのだが、ちょっとだけ注意してみるか。
