やはり愛機は必要
ミノルタXE…発売は1975年であったか、ライカ・コパル両社によって開発されたシャッターを搭載、静かなレリーズ音と滑るような巻き上げ。
このXEの損壊寸前ジャンクを二十年も前に骨董屋の主人に頂いた。そして、ほぼジャンク状態のまま(外側が壊れていたが、完璧に撮影は可能だった…)で、初めて能楽を撮影した。
ジャンクで撮影依頼を受けるとは、あまりにいい加減な奴と思われるだろうが、写真家の初陣において、華やかな機材が揃うのは稀な人だと思う。最初はカメラ一台にレンズ数本であろう。
そのジャンク機も幾度か部品を買い集めながら、修理と整備を繰り返し、今でも手元にある。
XEについては幾度かブログに記している。当機はけっして推奨できるカメラではない。今さらの旧式なフィルム一眼であり、発売年数が四十年近く経過し、常に故障の危機にあるからだ。
それでも、いつしか次第にXEのジャンク機を集めてしまった。最初の一枚を保証してくれたカメラという意味合いもあるが、非常に使っていて気分が良い機械なのだ。快適な操作感は、仕事で使用している一眼デジカメとは全く異なるものだ。
仮にフィルムが無くなれば単に無意味な機械に過ぎないが、フィルムが無くなっても私は当機を下げて歩くかも知れない。
ただ見たいシーンにカメラを向けてファインダーを眺める。そしてシャッターを切り、巻き上げる。
それは、フィルムがないのに虚しい撮影をしている風狂な老人と見なされるか、それでも盗撮として警察に連れて行かれ取り調べられ、しかし、フィルムが入っていないのだから…どうしようもあるまい。
それでも迷惑行為として立件されるのだろうか。
だが、そんな空想や心配は無駄なのだ。私の撮影する行為自体に芸術としての結果があるとすれば、ファインダーから眺めた世界が私の作品世界なのだ。もはや、外の世界は無関係になっているはずだ。
しかし、まだ私は現実の世界に生きているし、ありがたい事にXEも元気だ。フィルムもある。
狂気に身を委ねるには先は長い。
