朧
ぁあ、九月なのか。
何か忘れているような感情を抱えて、毎日の時間が私の横を過ぎてゆく。
気晴らしに少し謡ってみる。あえて不協和音っぽい発声で声を出してみた。
基本的に能・謡の発声は絶対音階ではない。音階の軸線を波打つように上下して流れてゆく。さらに、その軸を壊した謡い方なんて、もしかしたら面白いかも…やってみるが、単にズレた音の並ぶだけで、素人判断の徒労なのかもしれないな。
某所で能役者のリハーサル見た。
巧みな長刀使いは、役者の身体や精神が刃先に集約されたように鋭く、生命感を舞台に刻む。あのような長刀の振り出し方も稽古を重ねれば、いつの日か素人でも手に出来るのか。
そうして成すこともないままに、記憶の中に朧気に閉ざされて行く。
