旅をしてきたカメラ
ワンコイン一枚で買ったジャンクを自己修理、使い始めた古いミノルタ一眼レフ。製造は1968年あたり、前回の東京五輪の頃だ。一見、遠目にはオリンパスOM1に似ているが、デザインは当機の方が早い。意外に使いやすく、目立った故障もない。完全マニュアル機なので露出計を携帯するか、あるいは人間露出計(若い女性の体を使うと非常に正確な数値が得られると云う…)で撮影する。
むろん、フィルムの箱に記載されている数値を参考にして良い。おそらく一番に簡単で間違いない露出と思う。
ともあれ、製造されて四十年あまり。それでもフィルムさえあれば撮影が可能で、思いの外に頼りになる。
写真が想像と創作の
谷間にあって、プリントを見るまでは谷間を抜け出せない気分、あのトンネルに入った汽車の窓を見るような記憶。
それが写真の楽しさであったように、今更だが思えたりする。
だから、デジカメを使えば楽なのは知っていても、フィルムカメラを止められない自分がいる。

